第48話 十層監獄②
【参加者が全員集まりました。これより「十層監獄」を始めたいと思います。】
その表示と共にプロジェクターが切り替わる
【1階:1000万
2階:500万
3階:100万
4階:50万
5階:10万
6階:10万
7階:50万
8階:100万
9階:500万
10階:1000万】
玉木硬と鈴間翠はその画面を見て嫌な予感を感じ取った。
「お、おい」
「なんだこれ…」
硬「翠さん…これって」
翠「なんだか嫌な感じがするね…」
ざわつく10人の参加者を設置されたカメラがとらえていた。
【ルール】
階層の表示を映したままルールが表示される。
【~十層監獄~
基本ルール
・制限時間 30分
・参加者は制限時間内に好きな階へ入り、階段側の扉の「内鍵」を閉めること。
・制限時間が終了した時点で、各階に表示された金額が「獲得」か「没収」かが、「1階から順番に」発表される。
・タイムアップと同時に内鍵の仕様が変更され、特殊な工程を踏まない限り開錠できなくなる。
ペナルティ
制限時間30分が経過した時点で、以下のいずれかに該当した者は「無条件敗北」となり、「罰金1億円」を負う。
① 重複:1つの階に「2人以上」いる場合
② 未選択:フロアに入らず「階段」に留まっている場合
③ 未施錠:入った階の「内鍵」を閉めていない場合】
翠「…なんというか性格の悪いゲームだね。」
硬「…」
硬は顎に手を当て考えていた。このゲームの違和感を。
【それではこれよりゲームを開始します。】
プロジェクターの画面にはタイマーが表示された。
*
【29:59】
カメラが参加者をとらえる。
「お、おい、どうすんだよ。」
「どうするつったってよ。」
「1000万の借金を負う可能性もあるってことだよな…」
「そ、そんなの嫌だぞ!俺は5階から動かねえからな!」
「な、お前!」
翠「さて、始まっちゃったね。」
翠はざわつく周りを見回しながら硬に話しかけた。
硬は変わらず考えているようだった。
*
10階建てのビル。【各階の提示金額】集められた10人のラピダリーギャンブラー。【サーカス】内鍵。【早い者勝ち?】内鍵が30分を経過した時点で内側からも開かなくなる仕様。【密室】大量に設置されたカメラ【見ている人がいる、これもサーカス】1階から順に発覚【その意味は?必要性は?】
硬の脳が熱を帯びる。目は瞬きを忘れていた。
密室…
密室?待てよ…
もしそうだとすると…
翠「ねぇ、硬ち――。」
硬「翠さん!」
硬は翠の声を遮った。
*
【25:00】
翠「お、おお…硬ちゃんどうしたの?」
硬「お願いがあります。翠さんは下の階をそれぞれ見てきてもらえませんか?俺は5階以上を確認してきます。」
翠「なるほどね、硬ちゃん。」
翠はニヤッと笑うと硬の肩を叩いた。
翠「俺も同じこと言おうとしてた。」
2人は目を合わせると階段に向かって歩き出した。
5階にはまだ、他の8人が言い争いを続けていた。
【23:42】
*
硬「ふぅ…ふぅ…流石に駆け上ると疲れるな…」
扉に手を掛け開く。
10階 1000万フロア
硬「…う。」
異様な光景だった。
はめ込み式の窓には鉄板が打ちつけられ、外の光を完全に遮断していた。
天井に付いている蛍光灯がフロア全体に淡い光を落としている。
換気口はどこも有刺鉄線でガチガチに固定されている。
エレベーターの扉にも鉄板が打ち付けられている。
それなのに、フロアには死角を許さないと言わんばかりのカメラが設置されていた。
そして、この光景はほぼ9階以降6階まで変化が無かった。唯一違っていたのはカメラの台数が下がるにつれて減っていることだった。
硬の予想が確信に変わっていく。
刻一刻と迫る時間の中、硬は1階へと階段を駆け下りた。
扉に手を掛ける。
『ガッ』
ドアノブが、回らない。硬の額に汗が流れた。
【10:38】
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