第32話 翡翠VSガーネット
翠「さて、と。そろそろ時間かな。」
Bar琥珀のバックヤードで翠は着替えを済ませ、腕時計で時間を確認していた。
亮「なんだ?今日はやけに早いな。」
亮の不思議そうな声がキッチンから聞こえてくる。
翠「相手が本気だからね、遅刻するわけにはいかないよ。」
亮「そうか…せっかく作ったんだけどな。」
悲しそうな顔をした亮は食パンと目玉焼きが盛り付けられた皿を持っていた。
翠「あー、食べる食べる!だからそんな悲しい顔しないで!」
*
約束の時間まであと10分。
万番柘榴はすでに勝負の会場に到着していた。
机の上には5枚のきんちゃく袋と大きめの箱が自身と相手分の2セット置かれていた。
箱の中には大量の小さな玉。きっと相手の箱にも同じものが入っているのだろう。
そして相手との机の境目、中央には1つ天秤が置かれていた。
その状況からゲームの予想を行っているうちに約束の時間まで5分を切っていた。
柘榴「おい、翠はまだ来ないのか。」
机の端に立つ黒服に声をかける。
黒服「ただいま向かっていると連絡が入っております。少々お待ちください。」
柘榴は「はぁ」と大きなため息をついて足を組んだ。
*
到着したのは約束の時間ピッタリだった。
翠「どうも~」
エレベーターを降り、愉快そうに挨拶をする翠の目に映るのは机の上に置かれた今回使われるゲームの道具たちと黒服。そして――
柘榴「やっと来たか。」
苛立ちからか呆れかえった柘榴の姿だった。
翠「ごめんごめん。美味しい美味しい朝ごはんを食べててさ。」
黒服「翠様、席にお座りください。」
黒服に促され席に着く。
翠「へ~、今回は黒服がいるんだ。」
黒服「宝石《Gem》クラス以上の勝負には黒服が付く。そのルールは翠様が現役時代も残っていましたよ。」
黒服の目は鋭く翠を見下していた。
翠「そうだったっけ?」
柘榴「どうでもいいだろう。早く始めないか。」
柘榴はいらだった口ぶりだった。
黒服「んん。それではまず、今回の勝負条件をおさらいします。」
そう言うと黒服はリモコンのボタンを押し、モニターを起動させた。
【オールイン決闘】
黒服「お間違いないでしょうか?」
翠「うん。あってるよ。」
柘榴「あぁ、間違いない。」
*
黒服『んん。それではまず、今回の勝負条件をおさらいします。』
携帯の画面には黒服のルール説明が始まろうとしていた。
玉木硬はイヤホンで音を聞きながら小走りでBar琥珀に向かう階段を上っていた。
『カラーン』
硬「亮さん、すみません遅くなりました。」
Barカウンターの奥には、そわそわしている亮が右に左にうろうろと動いていた。
亮「硬君!どうだ?ゲームはもう始まったか?」
硬「ま、まだです。今画面見せます。」
イヤホンを外し携帯の音量を最大に上げる。
黒服「それでは今回のゲームの説明をさせていただきます。」
丁度ルール説明を始めようとしていた。
*
黒服「ゲーム~Hundred Scale~。ルールはシンプル。お二人の目の前の箱には100個の玉が入っています。玉の重さは1つ1g。お二人はその玉をこちらの、5枚あるきんちゃく袋に好きなように分配していただきます。」
翠は箱の中の玉を適当につまみその重さを実感していた。
黒服「中央に設置された天秤にその袋を設置し、重たい方の勝利となります。勝負の回数はきんちゃく袋の枚数と同じ5回。一度入れた玉は取り出すことはできませんのでお気を付けください。」
柘榴はきんちゃく袋の中に何も入っていないことを確認していた。
黒服「当然ですが、玉以外の物を入れることは禁止です。5回の勝負を行い勝利数が多い者が勝利となります。また、決着がつかなかった場合、玉を全て箱に戻し分配からやり直しとなります。」
翠「…大佐のゲームか。」
翠のその声は確かに柘榴に届いていた。
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