第24話 Fifteen Steal⑥
~1ターン目~
奴はフラッと俺の前に姿を現した。
瞬間脳が焼き切れるかと思った。
目の前に何食わぬ顔で現れた男に見覚えがあった。
たった4人しかいなかった王石《Crown》クラスの1人。
宝石《Gem》クラスで奴を知らない人はいない。
そんな伝説の男。
動揺のあまり固まってしまった。それを見て奴は不敵に笑い、俺に言った。
青E(翠)「ねぇ、俺と1対1で話さない?」
断る理由はなかった。1年前の“殺しの亮”を賭けた勝負について、2か月前の非張羽、翡翠対決の敗北について、なぜ今、ラピダリーにいるのかについて。
青E(翠)「協力して欲しいんだ。もし、協力してくれるならあんたの願い何でも叶えてあげるよ。」
聞きたいことは山ほどあった。だが、1人のギャンブラーとして願いは決まっていた。
黄E「喜んで協力しよう。なんてったって元王石《Crown》クラス。鈴間翠さんのお願いだ。代わりに約束してくれ、このサーカスが終わったら――」
そして奴から渡された、【1】のカード。
青E(翠)「赤が指名する人をコントロールする。そうすればあとは俺らの勝ちだ。」
*
~2ターン目~
青E(翠)「はい、これ」
翠の手から【1】と【4】のカードを手渡される。
黄E「ああ、受け取った。」
1ターン目で青E(翠)から受け取った【1】と自身が持っている【5】。合計point6で被りは無かったが、2ターン目で3pointとってしまったことにより、6では被りになってしまう。
そこで奴からカードを貰い、被りを回避する。
黄E「残るは今、黄チームにいる赤Aにこのターン指名する相手をコントロールすればいいんだな。」
青E(翠)「あー、このターンは適当に黄を指名しないようにしてくれればいいよ、あとはあいつ多分勝手に青Dを指名するだろうし。ただ、一応黄色チームのpointは偏らせといてね、うちの青Dが黄を指名するだろうし。優秀だから、あの子。」
そう言って奴は親指で青Dを指さした。
青E(翠)「それよりも問題は3ターン目だ。今から言うことを赤Aに言って欲しい。そうすれば奴は最後のターン、俺を指名するはずだ。」
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黄E「ああ。最終ターン奴を指名しない交渉が成立した。奴も生き残るために必死なんだろう。それより、お前。わざわざ黄チームに何しに来た?」
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~最終ターン、分配~
青E(翠)「約束通りよろしくね。これ、【2】【3】のカード。これで黄チームには青チームの全カードが渡ったはずだ。」
黄E「ああ、ありがたく受け取っておくよ。これで交渉通り、最後のターンはあんたを指名しない。ただ、ちゃんと約束は守ってくれよ。あんただったから、こんなことまでしたんだ。」
青E(翠)「大丈夫。任せてよ。」
黄E「カードは全て黄Bに託す。青チーム11pointと黄チーム18pointの合計29point、そのうち俺が持つ1pointを抜いた28pointだ。」
青E(翠)「ありがとう、これであとは勝つだけだ。」
青Eはゆっくりと自分のチームに戻っていった。
黄Eは眼鏡を掛けなおす。照明の光がレンズに反射しきらりと光った。
黄B「あの?Eさん?なんでずっと青Eと話していたんですか?」
黄E「黄B、ちょうどいい、俺らの勝ちだ。全員集まれ。」
そう言って黄チームは円陣を組むように固まった。黄Eがその中央にカードを複数枚投げ捨てた。
【1】【2】【3】【4】 合計10point
黄B「Eさん!これって!」
黄E「ああ、青チームのpointだ。青Eが生き残るための1pointを引いた10point。」
黄A「こ、これがあれば俺らの勝ちは。」
黄E「いや、まだ確定ではない。忘れたか?カード被りはダメだ。」
黄チーム:残りカード【1】【2】【3】【4】【5】
奪ったカード【3】
譲り受けたカード【1】【2】【3】【4】
合計ポイント 28point
黄C「う、逆にこれだけポイントがあるとつらいですね。」
黄E「赤の合計は16point。差は12point。つまり半分の7point以上を取られると俺ら負けだ。後は確率の問題だ。6point取られると同点だが、同点についての記載がない。同点=勝者無し、なんて可能性もあり得る。」
黄B「そ、それはまずいですね…」
これだけ手が多いと均等に分けると6点以上の組み合わせが2つか3つできてしまう。
黄E「大丈夫だ。2ターン目と同じだ。黄B。」
黄B「は、はい!」
黄E「お前が、このカードを全部持つんだ。」
黄B「え?む、無理ですって多すぎます!」
黄E「大丈夫だ。変わらない。1/5だ。赤に当てられないさ。」
大量に積まれたカード。見ているだけで唾液が止まらなくなった。
勝てば100万。
全員がそれを疑っていなかった。
*
青E(翠)「やってたことはあんたと大差ないよ、ただ裏切らなかっただけ。ね、黄Eさん?」
黄Eは眼鏡を掛けなおす。全てはこの男の掌の上だったのだ。
青E(翠)「さて、ゲームは終わりだ。青の勝ち。黄の個人勝利はE、赤は知らないけど、まぁこの焦り様からして赤Aではないだろうね。」
翠は楽しくて仕方がない。そんな顔だった。
『ゲームセット!!!!!勝者青チーム!黄E!赤C!!』
青A「やったぁぁぁぁ!!」
青Aはその場で大きくジャンプをした。
青C「信じられない…勝ったんだ…勝ったんだ…」
青Cは噛み締めていた。
青B(小林)「す、すごい…」
小林はただ茫然としていた。
黄B「そ、そんな。Eさん!!どうして!!」
黄A「ひどいですよ!!裏切ったんですか!?!?」
黄色チームの怒号が響いている、観客はそれを見て腹を抱えて笑っていた。
黄E「悪いな、この世界はこういう世界だ。自分で勝とうとせず俺に寄生した。それで生き残れるほど甘くないんだ。」
黄Eのその声は硬の耳にも届いた。
胸が締め付けられた。
今の俺は翠さんの…
翠「硬ちゃん!俺らの勝ちだ、帰ろうか。」
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