第21話 Fifteen Steal③
赤A「青のBでお願いします!」
青B(小林)「…は?」
小林は棒立ちしていた。そんな彼のそばに黒服が近づく。
「カードの提示をお願いします。」
青B(小林)「ちょちょっと待ってください。話が違――」
「カードの提示をお願いします。」
ガタイの良い黒服たち声色が一段下がった。小林はカードを出すしかできなかった。
『青Bが持っているのはいきなり高得点!5pointだ!!』
赤A「ご馳走様~」
赤Aは小林から獲った【5】をひらひらと揺らしながらにっこりと笑った。
青B(小林)「…ふざけるな!!」
小林の声が響く。
青B(小林)「指名だ!赤A!お前だ!お前の【5】を寄越せ!」
モニターには怒った小林が映っている。
青E(翠)「まずいな。」
青D(硬)「冷静じゃなくなってる…多分赤Aが今持ってるのは…」
赤A「ご指名ありがとうございます。どうぞ。」
『赤Aが持っているのは【1】だ!残念!青チームリベンジならず~』
青B(小林)「…え?」
赤A「馬鹿だなぁ。変えるに決まってるじゃん。」
小林の眉間のしわが薄れていく。
青A「…」
青C「…」
青D(硬)「っく…」
青E(翠)「あーあ。彼、やっちゃったね。」
青チームは翠を除き言葉を失っていた。
*
『さー残る指名は黄チーム!いったい誰を指名するんだ!』
青C「頼む…」
青A「指名しないで…」
黄チームに4点取られれば、青チームが窮地に立つ。全員が黄色チームの指名先を祈っていた。
ただ、硬と翠は違った。
青D(硬)「大丈夫。多分黄色は青を指名しない…」
青C、A「「え?」」
青E(翠)「だろうね。」
黄E「赤のD。」
『指名は赤のDだ~!pointは~?3point!!』
青A「ど、どうして?なんで青に来ないって?」
青D(硬)「単純な話です。青チームにもう5はない上、今は5pointを獲った赤のポイントを少しでも減らしたい。そう考えれば赤に行くのが当然です。」
青C「い、言われてみれば…確かに。」
そう、赤に行くのは当然だ。だとしても、チームのピンチに変わりはない。
状況を整理しよう。
青チーム:残りカード【1】【2】【3】【4】
奪ったカード【1】
合計ポイント 11point
赤チーム:残りカード【2】【4】【5】
奪ったカード【5】
合計ポイント 16point
黄チーム:残りカード【1】【2】【3】【4】【5】
奪ったカード【3】
合計ポイント 18point
総合ポイントだけで見れば黄チームが最も有利。
でも、このゲームで重要なのはpointの再分配。
個人が持てるポイント数に被りが出てはいけない。
【・所持カードは自由に再分配可能。ただし、個人のポイント数が同数になっていけない。※ただし0pointで同数は可】
つまり、黄チームのポイント分配は
【1】【2】【3、3】【4】【5】
【1】【2】【3】【4、3】【5】
【1】【2】【3】【4】【5、3】
の3パターン。それに対して赤チームは
【2、5】【4】【5】【0】【0】
【2】【4、5】【5】【0】【0】
【2】【4】【5、5】【0】【0】
の3パターン。赤は5分の2で0を引く可能性がある。
となると、青が取るべきは黄チーム。そしてそれは赤も同じ…。
高得点を引けなければ赤との差は開く一方…。
青E(翠)「硬ちゃ~ん?」
翠の呼びかけで我に返る。
青D(硬)「あ、翠さん!すみません、ちょっと考えてて。」
青E(翠)「それもいいけど、始まるみたいだよ2ターン目が。」
モニターにはいつの間にかタイマーが表示されていた。
『それでは2ターン目を開始します!カードの分配を行ってください!』
*
~2ターン目~
このターンに入ってまず行われたのは、小林の謝罪だった。
青B(小林)「みんな、すまない!!!」
彼は戻って来るなり深く頭を下げた。
青C「いや…そんな、謝られても、ねぇ。」
青A「…」
まずい。チームがバラバラになっている。
青C「第一、あんな胡散臭いやつと協力しようとか、ねぇ。」
青D(硬)「ま、まぁ。もう過ぎてしまったことは仕方がないですよ。切り替えて、ここからどうやって勝つか考えましょう。」
青A「そ、そうですよ!カードの分配考えましょう!」
そうだ、分配だ。
翠以外の全員がカードを取り出し、5人の中央に積む。
今の青チームの所持しているカードは【1】【1】【2】【3】【4】の5枚。
ここから被りなく分配するとなると
【1】【2】【3】【4、1】【0】
問題は誰がどれを持つかだが…
青E(翠)「俺は1ターン目と同じ、【1】でいいよ。」
翠はポケットを叩いた。目は冷徹で、勝利を見据えたあの目だった。
青D(硬)「分かりました。翠さんは【1】のままで行きましょう。問題は他の人への配分です。」
青C「とりあえず、小林は【0】だよな。」
青A「…さ、賛成です。」
青D(硬)「え?ちょ、ちょっとそんな短絡的に決めるのは」
正直、気持ちは理解できた。硬も小林にポイントは持たせたくなかった。
下手に高得点を持たせて、最終ターンカードの分配を拒めば1人勝ちは小林の物になってしまう。それが無性に許せなかった。
青C「逆に【1、4】は、Dさんでいいんじゃないかな。」
青A「さっきの赤への協力をちゃんと拒んでましたしね。信頼できます。」
青D(硬)「え?」
思考にノイズが走る。
1ターン目の分配時赤Aは【選ばれた】俺が反対していたのを見ていた。【それが信頼につながった。】
つまり、赤Aは知っている。【指名される】
俺が周りから信頼を置かれ、【1、4】高いポイントを所持する可能性があると。
指名される可能性はある。【指名されなければ?】
指名されなければ?
そうだ、【違う】そうすれば最終ターン再分配を拒めば俺は1人勝ちだ。【そうじゃない】
俺は無事だ。【翠さんはどうなる】
青C「Dさん。これ、どうぞ。」
Cの手には【1、4】が握られていた。
青D(硬)「う、」
硬は震える手でそのカードを受け取った。
青C「後は俺たちのカードをどうするかだけど…」
青A「そうですね…」
硬の熱帯びた目は翠の見つめる勝利とは別の方向を向いてた。
これで俺は安心だ。少なくとも俺だけ負けることはない。負けることは―
青E(翠)「…ねぇ、硬ちゃん。」
硬は体を震わせた。その声は心臓を鷲掴みした。そんな気がした。
青E(翠)「大丈夫?」
青D(硬)「あ、翠さん。大丈夫です。ちょっと悪いこと考えてました。」
青E(翠)「へー、奇遇だね。俺もだよ。硬ちゃん、ちょっと耳貸して。」
翠は硬に近づき呟いた。
青E「…ボソボソッ…」
青D(硬)「え?でも、それって?」
青E(翠)「大丈夫、もう検証済みだから。」
青D(硬)「…。分かりました。信じますよ。翠さん。」
2人の目は同じ方向を向いていた。
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