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場面35 ブローギンの怪力

 誠司と新之助がガーデンテーブルで真奈美に送る検体を纏めていると、小雨が振ってきた。


「これは土砂降りになりそうだわい。しかしそう長くは降りそうにないぞ?」


 ブローギンが雨雲を見上げながら呟く。


「そんな事まで分かるのは凄いですなぁ。」


「これから此処でブローギンに色々説明と依頼をしようと思ったのになぁ。まさかこのクソ重いガーデンテーブルを動かすのは厳しいし。」


 素直に感嘆する新之助と、思案する誠司。テーブルは誠司の自作だったが、椅子と一体化し、更にはDIYの作業台としても使えるように頑丈な設計にしたため、運搬には大人4人は必要な重量となっていた。


「そうなのか?どれどれ、すまんが上に乗っている荷物をどかしてくれんか。」


 新之助が荷物を引き取った。テーブルの上に何も無くなると、ブローギンはテーブルの足元に置いておいた自分の巨大なリュックを少しずらして、両手でテーブルを持ち上げた。


「ほうほう。これは中々に重いのう。しかし丈夫に出来ておる。どこに運べば良い?」


 重いと言うその言葉とは反対にブローギンは軽々と持ち上げると、両手と頭で器用に保持した。その後姿を見た誠司は、ひっくり返ったガーデンテーブルが浮いているように思えた。


「ドワーフパワー?…あ、じゃあ納屋に、こっちに頼むよ!」


 全てのドワーフが怪力なのか気になった誠司だったが、今は運搬を優先して納屋へ誘導した。


「ごめん!親父は真奈美さんに検体を送るのを頼む!」


 新之助は唖然としていたが、誠司に声を掛けられて再起動した。


「お、おう。分かった。」


 一瞬ブローギンのリュックを代わりに運ぼうかと思った誠司だったが、見た目に自分では持ち上げる事も不可能だと思ったので、諦めた。


 誠司は納屋に小走りで向かうと、どこに置こうか考えた。


「軒下でも良いけど、いっそ中でも良いか。軽トラックは外に置いておいても良いし。」


 振り返るともうブローギンが来ていた。その表情はとても超重量のテーブルを運んでいるようには見えず、寧ろ軽やかな足取りに見えた。


「ここへ降ろしてくれ!」


 納屋の1階部分のほぼ中央。今は離れに横付けしている軽トラックを駐車していたスペースに誘導されたブローギンは掲げていたテーブルをゆっくりと降ろした。


「なんじゃココは!いや、最初にここに来た時にあの馬も無しに動く馬車と同じくような、こちらには荷台こそないが、意匠の違いであって同じものじゃろ?が気になって中に入ってじっくり見たかったが誰も居らんから遠慮したが、しかしこの車輪はなんじゃ?向こうには車輪が2個しかないモノもあるが、用途が違うのか?これがお主らの世界の馬ということか?何を食うのか、いや、生き物ではなさそうじゃから魔力を食わせるのか?しかし魔力を使って動かすなんぞおとぎ話の世界でしか聞いた事がないからして、しかしこっち、のはすぐに壊れそうじゃな。どのような原理になっているのか、同じ原理なのか?」


 新之助が通勤用に使っている軽自動車と誠司のバイクを視界に収めると、その周りをちょこちょこと動き回りながら再びのマシンガントークだったブローギンだが、誠司もそろそろ慣れてきた為、今回は怯む事なく言うに任せていた。


「テンションがあがると饒舌になるのか…。とりあえずテーブルの運搬ありがとう。質問に答える前に、ブローギンのリュックがまだ庭に有るけど、取ってきた方が良くないか?」


「おお、そうじゃった!いかんいかん。」


 慌てて取りに戻るブローギンの後を追う誠司は芽衣子に食事を頼まれていたのを思い出した。


「お粥でいいかなぁ。しかしマウロ君のクチに白米が合うかどうか。まぁ駄目なら別のを作るか。」


 誠司が思案していると目の前には新之助が居た。


「検体は先生に送っておいたぞ。これからどうする?」


「ブローギンと話さなきゃ。飯を作りながらね。あと親父とも相談したいから二人で納屋で待っていて欲しいかな。俺は具材やら取ってくるからさ。」


「分かった。ではブローギンさん。向こうで誠司を待ちましょう」


 誠司の言葉に新之助は頷くと、ちょうどブローギンがやってきたので誘った。


「セージにも言ったんじゃが、呼び捨てでいい。さんなど付けられては落ち着かん。」


「そうはいきませんよ。他所様を呼び捨てなどと。失礼でないなら敬称はつけさせて頂きます。では我々は先に行きましょう。」


 言葉こそは丁寧だが有無を言わせない妙な迫力を新之助に感じたブローギンは特に文句を言わず、黙って付いていった。


「親父はたまに迫力あるからなぁ…おっと、俺も急ごう。」


 先程は小雨程度だったが少しずつ雨脚が強くなってきたので、誠司は急いで母屋の台所からカセットコンロや食材などを掻き集めると納屋へ向かった。

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