第104話
「ふわぁ、良く寝た」
ローレンはオークの砦を落とした後、自宅に着くと速攻でベットへと向かったのだが...なんと翌朝まで一度も起きなかったのだ。
「寝すぎたかな...」
ローレンは独り言を呟き、ベットから這い出て着替えると、ライフルとショットガンの手入れを始めた。
既に季節は晩秋へと向かっており、開けた窓から時折冷たい風が入り込んでくる。
ローレンはライフルとショットガンの整備を終えると、普段着を着てから町へと繰り出した。
収穫祭が終わった後の町はあまり活気がなく、冬へと向かう季節を感じさせる。
クラムの冬は雪によって閉ざされるため、商人たちも荷造りを開始している。この季節でも雪が降らない南の方へ行き、商売を続けるのだろう。
ローレンは町の様子を観察しつつ、ダッソーの鍛冶場へと向かった。
「おう、ローレン。調子はどうだ?オークの巣を撃滅したんだって?町では噂が絶えないみたいだぞ」
「あはは、俺だけの力じゃないからね。他の冒険者たちの協力がなかったら...」
「だろうな。ところで、ソードオフショットガンが完成してるぞ」
ダッソーは長さ20センチほどの元込め式ダブルバレルのソードオフショットガンを取り出す。
「早くない?」
「まあ何度かショットガンは作ってたからな。構造が簡単なこいつの方が楽なくらいだった」
ローレンはダッソーからソードオフショットガンを受け取ると、中折して銃身内を見る。
「これだけ銃身が短いと射程距離も短いだろうな」
「そうだね、相手に肉薄された時に咄嗟に抜いて撃てるように練習しないと」
「あとライフル弾もできてるぞ。この箱に入れてあるから持って帰れ」
「ありがとう」
ローレンはソードオフショットガンと弾薬が詰まった箱を受け取る。相当な重さだが、自宅まで持って帰るくらいなら問題ないだろう。
「あ、ソードオフショットガン用のホルスターを作って欲しいんだけど」
「ほるすたー?」
「あー。えっと、銃用の鞘だよ」
「ふむ?」
「小型銃器をスリングで肩に掛けるわけにはいかないから」
「あーそりゃそうだな、ずっと手に持っておくわけにもいかないしな。詳しく聞かせてくれ」
「材質は革製で、ひっくり返しても落っこちないように。あとは引き金が誤作動しないようにその部分の保護かな」
「それをベルトに付けるのか?...できるだけ軽量化はしてあるが、少し重いんじゃねーか?」
「うーん...とにかく作ってみないとわからないかな」
「あいよ。革は何にする?スタンダードなのだと鹿だが」
「ていうかダッソーさん、そもそも革細工もできるの?」
「あ?俺がやるわけねーだろ、革細工が得意な奴に外注する」
「えぇ?!」
「というか一緒に作るって感じだな。ソードオフの形状と構造は俺が良く知っているし」
「びっくりした。確かに革細工の専門家に作ってもらったほうが確実だしね。じゃあもうしばらくこれは預けておくよ」
ローレンはソードオフをダッソーに差し出し、ホルスターの製作依頼料を払う。そのあといくつか雑談を交わし、弾薬箱を抱えて自宅へと向かった。
弾薬箱を自室へと置くと、再度町へと繰り出した。
ぶっちゃけて言えば暇だったローレンは午前を散歩に費やし、正午頃に大通りの飲食店へと入った。
店に入り、とりあえずカウンター席へと向かうと、すぐに店員が注文を取りに来る。
「ご注文は?」
「じゃあ...おすすめで」
「はい、すぐにお持ちしますねー」
少し軽い感じの女性店員が注文を取ってからおよそ30秒ほどで、オススメの料理が運ばれてくる。
「3種のキノコスープです」
ローレンの目の前に置かれたのは具沢山のキノコスープと普通のパンだった。
一目見た時はおすすめなのかと疑いそうになるローレンだったが、キノコの豊潤な香りに気が付くとその考えを引っ込め、スプーンで掬って口へと運ぶ。
アツアツのキノコが口の中で暴れるが、噛みしめるとキノコに浸み込んだアツアツのスープが更に口の中で弾ける。
それと同時にキノコの香りが鼻まで突き抜ける。塩加減が旨味を殺していないためキノコ本来の旨味を味わえる。
更に、3種類のキノコがそれぞれの個性を持っているため、飽きるようなこともなかった。
最後に残ったスープは3種のキノコとちょっとした野菜の出汁が凝縮されており、例え固いパンでも浸してしまえば美味しく食べれてしまうようなものだった。
「ふぅ。ごちそうさま」
ローレンは独り言ち、改めて店内を見渡す。
すると店の奥でこちらを見ていた少女と目が合った。
(誰だっけ...あっ)
「えぇっと、マリー?」
声を掛けて軽く手を振ってみると、少しふくれっ面をしながらも、マリーは店の奥から出てくる。
激遅伏線回収。マリーのこと覚えている人いなさそうですが、ローレンがゴブリンから救い出した少女です。




