閑話その肆 『世界』
その前に1ついいか?
「なんでしょう」
なぜ俺にそんなことをわざわざ教えるんだ?
「まぁ、なんというか暇つぶしですかね。老後の趣味みたいな感じで」
...納得はしないがわかった。
「では、始めますね。そもそも世界とは無限に存在している宇宙だと思ってください。それぞれの世界にはそれぞれの物理法則やら魔力やらがあるのです」
俺が以前いた世界には魔力はなかったな。
「次にこの世界について。というよりはこの星についてっといったほうがいいですね。世界史です」
ああ。
「この世界に人間が誕生したのは約500万年前。人間というよりも猿人と言ったほうが適切ですかね。それから今の人間としての形になったのは100万年前くらい。ちょうどその頃、人間に魔力があることがわかりました。あなたのいた世界とこの世界ではそもそも人間という種に違いがあるのです」
へー。
「魔力を使って物理法則を無視している、と思うかもしれませんが、こちらの世界ではそもそもの物理法則が違うのです」
んー、まあわかった気がする。
「次に近代史へと行きましょう。今から約3000年前にとある文明が栄えるのです。その文明は瞬く間に技術力と魔法を上達させ、世界を統一するのです。そして世界歴を定めました。しかし、その文明では内戦が絶えずにたくさんの人間が無駄に命を落としました。それを見た創造神はお怒りになりました」
高度に文明化するには政治の発展が遅れたんだな。
「えぇ。創造神は世界を破壊して回ります。こんな世界になるなら作るべきでなかったと言って。そしてモンスターを生みだしたのです」
創造神がモンスターを?
「はい。一度世界を破壊しても、もう一度同じような悲劇を繰り返すと思ったのでしょう。人類共通の敵がいれば人と人が争うことはないと...」
んー。だからって諸悪の根源のモンスターを生みだすのは...
「それ以降、創造神は現れることはなかったのです。創造神が破壊を続けた結果、創造神としての格を失ってしまったという話です」
...続きを。
「それからの人類はモンスターとの戦いを始め、それからしばらくは人類同士の戦争は起こらなかった」
しばらくは...か。そりゃ余裕が出てくれば欲望に支配される人間が出てくるわけだな。
「悲しいことですが、これが現実。神をもってしても人間の欲望には勝てなかった」
終わりか?
「そうですね。気になることがあれば質問に答えますよ」
じゃあこの世界には特殊な植物やら鉱石やらがあるが、あれってなんなんだ?
「古代文明が残した遺物です。世界が破壊された後、あちこちに自生するようになったとか。特殊金属の鉱石も、古代文明の魔力の影響でできたそうです」
なるほどね...ふわぁ~眠い。
「そろそろあなたの意識は覚醒するようです、また暇なときにお邪魔しますね」
そんなにぽんぽこ出てこられても困るけどね...
「では...」
白い何も存在しない世界は徐々に知覚できなくなっていく。
やがて、その空間がなくなると、いつもの自分の部屋の天井が見えてきた。
ちょっとした異世界の歴史。




