その④
昨日、アキト達は七芒星の模様が入った欠片見つけた後、昼過ぎまで真沙美と遊びそして家へと帰宅した。
アキトは帰ってから今までずっと、自分の部屋に引きこもり、その欠片の事で考え事をしていた。
そんな彼を見て勇は心配になり度々彼の部屋へと訪れていた。
「・・・・・・神聖術って言ってたよね?それって凄い魔法?隊長は使えるの?」
ベッド上に座り、静かにアキトの様子を観察していた勇は突然口を開く。
勇に気かれ、アキトの視線は彼女へと移る。
「何個かは知っているが、神の力だ、普通一般の魔道士が扱える代物じゃない。
何せそれを知るにはある条件があるからな。」
・・・・・・条件?・・・・・・
勇はそう思いアキトの言葉に首を傾げた。
「魔力の高い人間が死の淵を彷徨う事だ。」
平然と言う彼に対して勇は少し戸惑いを感じた。
「だいぶ昔の話しになるんだが、オレは死にかけた事があるんだ。
その時、死にたくない!生きたい!と強く思った。そしたら突然目の前に扉が現れて扉がほんの少し開き、オレはそこで力を貰った様な感じがした。」
アキトは自分の両手を見つめた。
「それからと言う物、オレはその時、貰った力を少しだけ扱う事が出来るようになった。」
彼は笑いながらそう言った。
「どんな力?」
勇は質問する。
「昨日、見ただろ?
一番最初に結界の周りにかけた魔法。」
・・・・・・時を止める術?・・・・・・
勇は昨日アキトの使った術を思い出した。
「時間なんて普通の人間には止められはしない。
あれは神の力だ。だが昨日の物はオレなりに使いやすい様アレンジを加えていたから、普通の人間が見れば通常の術式と見分けはつかないはずだ。」
ちょっとビックリしたのか勇は目を丸くさせた。
「それに条件を満たしているのなら神聖術は通常、何も書かなくても知識さえあれば思うだけで扱えるはず。だがここにはその術の基本形式である術式・・・・それが書いてある。
・・・・・つまり、書かなくてはいけない程、でかい術を使った奴がいるって事だ。」
欠片を持って説明するアキトの前で、額に汗すら浮かべつつ、真剣な表情で聞いている勇。
「・・・・・・・・そうだな。例えば別世界へ渡る・・・とか?」
アキトは面白そうな口調でそう言った。
「それなら合点が行く。
だが、神の領域とも言われる世界越えを成し遂げるんだ。人身だけで移動に耐えられるかどうか・・・
もしかしたら命をも落とす結果になるかも知れない。」
アキトはそう言うと再び考え始めた。
・・・・・・これには人形使いのアルバート・二コルが一枚噛んでるとしか考えられないだろうな。
見つけ次第原因を問いただしたい物だが、オレがこの世界に来てから軽く百年以上は経っているらしい。無事に辿り着いていても流石に生きてはいないだろうな・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・しかし・・・・・奴は何故あれだけの人間を人形を変えていた?最初は趣味が悪い奴なんだと思っていたが・・・・・人形の量が桁外れだ。あれも関係しているのか?
「隊長。わたしね。ちょっと買い物行って来るから一人で留守番出来るよね?」
勇の言葉に沈黙する彼。
「・・・・・・
オレは子供か?」
首を傾げる勇。
・・・・・・分かって無いのか?・・・・・・・
彼女を見て苦笑するアキトは溜息をつくと・・・・・・・
「オレも行ってやるよ。
・・・・何処に行くんだ?」
一緒について行ってくれる事が余程嬉しかったのか彼女は嬉しそうに笑ってみせた。
「中古の雑貨屋さん。何でも売ってるんだよ。真沙美ちゃんのフェルシモ人形の代わりを探すんだよ。良いのあるかどうか分かんないけど・・・・」
・・・・・・あぁ~・・・・・そぅ言う事か・・・・・。
アキトは納得した。
「でもそれなら雑貨屋さんより人形屋の方が良いんじゃないのか?」
言われ勇は難しい顔をする。
「わたしのお小遣いじゃ買えないし・・・・。」
・・・・・成程・・・・・
「分かった。
じゃ、さっさと行くか。」
家から数分歩くと人で賑わう商店街が見えて来た。アキトの服が余程珍しいのか彼は周りの人達にジロジロ見られていた。
「見たきゃ見れば良いさ。」
彼の様子を見てクスクスと笑う勇。
「そうだね。
その内何回もここを通っていたら珍しい物でも無くなるから。」
勇はそう言うと突然走り出した。
「ここここ!
ここが例の雑貨屋だよ。」
表に狸の置物や沢山積んだカゴ、またチョウチン、その他諸々等が並べられていた。
「本当何でも置いてそうだな。」
感心しながら勇の後を追って店の中へと彼は入って行った。
店の中では品物が通路にも山積みに並べられていてかなり歩くのに狭く大変そう。
「や、やっぱオレ、外で待っとくわ。
オレみたいな奴がここに入ったら何か踏みそうだしな。」
彼の言葉に頷く彼女。
「すまんな。
外で良い物見つけられる様に願っといてやるから、ゆっくりと探して来い。」
言うと彼は店の外へと出ていった。
奥には眼鏡をかけた顔見知りの店のおばさんが椅子に腰を下ろしこっちを見てたいた。
「今のは、お兄さんじゃなかった様だけど・・・・勇ちゃんの彼氏かぃ?」
言われポカーンとおばさんを見る勇。
「あぁ。そうだったね。まだ勇ちゃんにはそんな話しは早かったね。
でもね。勇ちゃんの歳位の子なら当たり前な話しなんだよ。」
おばさんの言葉にニッコリと笑みを浮かべ・・・。
「ここに人形ある?」
おばさんの話しの最中に本題へと移った。
それを見て苦笑するおばさん。
「人形なら沢山あるよ。フランス人形や日本人形が多いかねぇ・・・・・。」
そう言うと、おばさんは店の奥に近い棚の下にある大きい段ボールを広げた。
そこには無数の人形が放り込まれていた。
「沢山あるからゆっくり見て行きな。」
勇はニッコリと笑んで縦にこくこくと首を振った。
そしておばさんは用事があるのか別の部屋へと入って行った。
目がブルーなピンクのヒラヒラドレスの人形や侍姿の人形・・・・様々な種類が入れられてあった。
勇は楽しそうに中をあさっていると段ボールの後ろに一つだけポツンと人形が落ちているのに気付き、それを拾おうと手を伸ばした。
すると、その人形は突然光を放ち、みるみる内に大きくなり人の姿へと変わった。
勇は突然の出来事に動揺した。
その人は腰のベルトに剣らしい物を下げた女性で、気を失っていたが服は何処となくアキトに似ていた。
勇はアキトの事を咄嗟に思いだし、助けを求めるべく彼が待っている入口を見るがタイミング悪く、中から店のおばさんが段ボールを持って出て来た。
「ちょっと探してみたんだけど中にもあったよ。
・・・・・・ん!?・・・・
誰だい?その人は?気を失ってる様に見えるけど?」
まともに見られ、額に汗をにじませ腕をバタバタさせる勇。
「この人は外にいる隊長のお友達で体が弱いから・・・・・。
おばちゃん・・・・ごめん。今日はこの人連れて帰んなきゃいけないし帰るね。」
言うと勇はその女性の両腕を後ろから引っ張り、物を落とさない様気をつけて狭い通路を通りズルズルと店の外へまで引っ張って行った。
「本当に大丈夫かぃ?」
コクコクと首を大きく縦に振る勇を見て、おばさんは中へと引っ込んで行った。
勇が人を引っ張って中から出て来る様子を唖然と見ているアキト。
「隊長!
また人形が人になっちゃったよ・・・・・。」
アキトは勇が泣きそうな感じになっているのを見て慌てて勇の元へと駆け寄った。そして彼が女性の顔を覗き込むと、そこには知ってる顔があった。
「ラリ・メイビス軍事指揮官殿・・・・・。」
彼女とまさかこんな所で再会出来るとは思っていなかったらしくアキトは動揺を隠せないでいた。
「勇。
こいつはオレの軍の軍師を担っていた仲間だ。
頼む、こいつも一緒に住まわせてくれないか?」
頼みこまれ沈黙する彼女だが笑みを浮かべ・・・。
「うん。良いよ。
またお兄ちゃんが何か言って来そうだけど頑張って説得してみる!」
勇はまかしとけ!と言った顔でそう答えた。
「ありがとう。」
アキトはそう言うとメイビスを背負い勇と共に家へと戻って行った。
メイビスはアキトのベッドで寝かされていた。
あれから半日以上経ったのに今だに記憶が戻らない。
「ったく・・・・・・ここ数日で勇は何人の人間を拾って来るんだ?人間は犬猫とは違うんだぞ。」
予想はしていたが勇の兄、弘樹は会社から帰って来て直後、妹から話しを聞かされ嫌な顔をしていた。
「しかもまた剣を所持して・・・・・」
深い溜息をつき兄は自分の部屋へと歩き出した。
「お兄ちゃん・・・・?」
何も言わずに行く兄を見て疑問に思う勇。
「無理やり出て行け!って言ったら、お前怒るだろ?兄ちゃんは妹の怒った顔なんて見たくないからな。
もう好きにしてくれ。」
その言葉に満面の笑みを浮かべる勇。
「ありがとう!」
そう勇は礼を言うと兄は手をヒラヒラと振り部屋へと入って行った。
「本当にすまないな。勇には感謝する事だらけだ。」
言うとアキトは勇に一礼した。
「良いよ。困っているなら親切にしなきゃね。」
言うと、勇はメイビスの寝ている部屋へと戻って行った。
アキトは何だか自分ではよく分からないが、くすぐったい様な感覚を覚えた。
翌朝、勇は、アキト達のいる部屋のベッドの下で目が覚めた。
昨日は自分の部屋に戻らなかったのだ。
彼女が起きるとアキトも目が覚めた。
メイビスの顔を覗き込むアキト。
彼女の体が少し動いた様に見えた。
「軍事指揮官殿!」
アキトの掛け声に反応するかごとく彼女の腕が動き、そしてゆっくりと目を覚ました。
「ここは?」
彼女はアキトの顔を見て飛び起きた。
「お前・・・・生きていたのか?」
アキトの肩を掴み嬉しそうに話す彼女。
「はい!何とか・・・・・指揮官殿もご無事で何よりです。」
彼は突然敬語になり嬉しそうに彼女に話した。
それをボケーっと側で見ている勇。それに気付くメイビス。
「お前は誰だ? 国民番号を教えろ!」
アキトが言った事と同じ様な事を言われクスッと笑う勇。
「指揮官殿・・・・・実はここは別世界の様で、オレ達の常識は通用しないんです。
彼女はオレ達を人形から解放してくれた子です。」
紹介され勇はコクっと頷いた。
意味が分からないが勇の顔をジッと見つめるメイビス。
「まさか指揮官殿も人形にされていたとは驚きです。」
彼の言葉に何かを思い出したのかアキトに視線を移した。
「そうだ!アルバート・二コル!あいつには弟がいた。
もしかしたら二コルより力は上だったのかも知れない。」
アキトの腕を掴み彼女は真剣な表情で話しだした。
・・・・・・・あれだけ逃げろと言ったのに逃げて無かったのか、この人は・・・・・・・
アキトは一瞬呆れた顔をするが何かを知っている感じがして・・・
「あなたは何を見たんですか?」
そう尋ねた。そして彼の言葉に彼女は口を開く。
「お前はアルバート・二コルと戦った後、奴に人形に変えられた。
お前は確か、リフレクターの術を使ったな。術を跳ね返す術を・・・・・。だが失敗に終わった。
お前の考えはそうだな?」
頷くアキト。
「手ごたえはあったんですが・・・・奴には効かなかったらしくて・・・・・・何故か気付いたらオレは術を受けて、そのまま気を失った・・・・・。もしかしたら体力の限界まで来ていたから術が上手く発動していなかったのかとオレは考えているんです。
・・・・てぇ・・・・それと弟と関係あるんですか?」
聞かれメイビスは難しい顔をして再び口を開いた。
「お前の術は成功だった。」
彼女の言葉に意味が分からないと言った表情をするアキト。
「ちょっと待って下さいよ。だったら何故オレは人形になってしまったんですか?」
「人形になる術を二発放っていたとしたら?」
彼女のその言葉に二コルの弟の存在が脳裏に過る。
「まさか。その弟が別の所からオレを攻撃したと言うのか?」
敬語を忘れているアキトだがメイビスは気にせず頷いた。
「しかもセコイ事にお前の真後ろを狙ってな。
奴は、お前のリフレクターの術の癖まで熟知していた様だな。後ろから攻撃しても跳ね返りは起こらないと・・・・・」
聞かされアキトは愕然とした。
「たまたまわたしはその弟の近くにいてね。全てを知ってしまったんだ。
二コルは自分の術に免疫が出来ていたらしいから人よりは人形になるペースが遅いだけで、結局彼も時間をかけつつゆっくりと人形になって行った。
わたしは側でその弟に色々と教えてもらったんだ。」
・・・・・・・えっ!?・・・・・・・・・
「あなたは側に敵がいるのに戦わなかったんですか?」
首を振る彼女。
「わたしは魔法をかけられていた。束縛の魔法を・・・・・。お前が知っている通り、わたしは魔法を使えない。そうなってしまえばわたしは成す術は無いんだ。」
彼女の悲しそうな顔を見て言葉を失うアキト。
「二コルが人形になった後、奴はわたしにこう言った。『本当は僕達がやっている事は許される事じゃないと分かっている。だけどこれは僕達兄弟の挑戦なんだ。邪魔はしないで欲しい。兄さんもこんなだけど僕さえいれば行けると思うから・・・・・せめて君達二人だけは助けてあげる。』・・・・・と・・・・・
そしてその直後わたしは意識を失った。」
・・・・・・・・僕さえいれば行ける?・・・・・・・・・
アキトはその言葉に引っかかりを覚え考え込みだした。
・・・・・・・人形にしているのに助ける?どーいう事だ?・・・・・・・・
「お前とあいつが激しい戦いを繰り広げていた時、わたしはある部屋を見つけた。そこには神聖術らしき術式の入った模様が沢山ある変わった機械があり、中心のクリスタルには沢山の人形が詰め込まれていた。」
アキトの脳裏に嫌な記憶が蘇る。
「フィーネ諸島の消滅に似てないですか?」
咄嗟にアキトは彼女にそう言うと彼女はこくりと頷いた。
「巨大な術は身体をも滅ぼす。
身体を滅ぼすのを和らげる方法としててっとり早い物と言えば・・・・。人間の代用・・・・・・
あの消滅の事件も、たった一人の男が家族を蘇らせようと千人の人を犠牲にして起こした事で有名だが、
結果として失敗に終わり今も尚、最低最悪な事件として処理されている。
あれと同じ事か・・・・・・。」
メイビスが話し終えるとアキトはポケットから湖で拾った欠片をメイビスに渡した。
「これは、二日前にここの近くの湖で拾った物です。
変わった機械と言うのはこぉいう色でしたか?」
欠片を手に取りジックリ見る彼女。
「あぁ。間違い無い。これだ。
・・・・・つまり・・・・・だ・・・・。
奴等はこっちの世界にいる。」
彼女はアキトの顔を見てそう言った。
「しかも奴等は、自分達兄弟の挑戦と称して、自分達の力を補う形で、多くの人間を生贄にしてたって訳だ。」
メイビスはそう言うと悔しさからかベッドを力強く殴りつけた。
「でもあれから百年以上経ってるから生きてるはず無いよね。」
横で話しを聞いていた勇はそう言った。
「えぇぇぇっ!!!そんなに経ってるのか?」
メイビスの叫びに似た言葉に頷く勇とアキト。
「残念ながら、オレ達が人形になっている間にそれ程、時が経過していたんです。オレも最近知ったんです。」
それに黙り込むメイビス。
「おぃ!お前は、人形使いの悪事を聞いた事無いか?
奴等がこっちに来たなら話しでも聞いた事あるはずだろ?」
聞かれ考え込む勇だが何も思い浮かぶ物は無かった。
「わたしは全然分からないから・・・・・・・
ちょっとお兄ちゃんに聞いて来る。」
勇はそう言うと立ち上がり部屋を出て行った。
「良い子だな。あの子・・・・・・。名前は何て言うんだ?」
メイビスは微笑みそう彼に聞いた。
「大宮勇って言うらしいです。」
・・・・・・・珍しい名前だ・・・・・・・・
彼女はそう心で思った。
「しかし・・・・・お前・・・・・わたしに慣れない敬語はやめろと昔から言っているだろ?お前が敬語を使う柄か?
聞いていると鳥肌が立って来るんだがな・・・・・・。」
メイビスは自分の腕を掴み鳥肌が立ってるかの様に大げさに腕をさすって見せた。
「一応あなたはオレの上司ですから。軍上層部からの命令を伝達する役割もありますし・・・・・
あなたの上手い戦略が無ければ軍は動きませんから。」
「命令を下すのは隊長であるお前の役割だろう。わたしには軍を直接動かす権利は無い。むしろ何の力も無い厄介者・・・・・・。
お前はわたしを厄介者と思った事は何度もあるはずだ。」
心当たりがあるせいか黙り込むアキト。
「それに・・・・・・こんな世界に来てしまったんだ。軍とか関係無いだろ?
わたしはお前とは戦友としてでは無く、友としてありたいんだ。」
彼女の真剣なその言葉に困惑して目線をそらすアキト。
「あなたはオレより五つも年上です。」
「関係無い。っていうか歳の事を言うな。」
観念してか溜息をつくアキト。
「分かった。
たまに変な敬語混ざっているかも知れないがその時は許してくれ。」
「あぁ。」
アキトのその言葉に、メイビスは笑みを浮かべ頷いた。
「アキト・・・・・・お兄ちゃんがパソコンで調べてくれたんだけど全然載って無かったよ。」
突然部屋に入って来る、勇と弘樹。
「目を覚ましたのか・・・・・。
君もそこのアキト君の仲間なのか?」
突然入って来た弘樹に尋ねられ、口を開くメイビス。
「わたしはラリ・メイビス。
軍事指揮官をやっていた。訳あって人形の姿にされていたがそこにいる勇が助けてくれたとか。」
彼女の言葉に、変な目で勇を見る弘樹。
「最近こぅ言う人ばっかりだな。兄ちゃんはお前の成長に心底不安を感じるぞ。」
何だか涙目になりながらそう言うと部屋から去って行った。
沈黙する三人。
「き・・・・気にしないで・・・・。お兄ちゃんは色々と心配症なんだよ。」
メイビスとアキトは顔を見合わせそして笑った。
「さて・・・・・弟と人形になった兄はこっちに来ているはずだが、事件は起きていない。どー言う事だ?」
「そうだな。弟の性格はよく分からんが・・・・・・足を洗ったって訳なんじゃないのか?」
二人は口々に言うがどうもよく分からない。
「分からない以上、ここでジッとしてても時間の無駄。
暫くは調査、及びこの世界の事を覚えなくてはいけないな。
勇。お前の事についても色々調べたい事もある。」
突然メイビスに自分の事を言われアキトに目線を送る勇。
アキトは勇の頭に手を置いて・・・。
「お前がオレ達に掛けられていた術を解放したって言う事は明らかになった訳だ。協力して欲しい。」
不安な顔をする勇。
「何も痛い事はしない。魔力があるか無いかを判別するだけだからあっという間に終わる。
手を貸してみな。」
言われアキトに自分の手を貸した。
「目を閉じろ。そして何も考えるな。」
言われ、言われた様に彼女はする。
アキトの手を通して何かが入って来る様な感覚に襲われる。
「オレの力を勇に注いでいるだけだから気にせず、何も考えるな。」
彼女の動揺が伝わっていたのかアキトは優しく彼女にそう語りかけた。
「何か見えないか?光の塊とか・・・・・。」
首を横に振る勇。
「本当に?
何も見えない?」
横からメイビスに聞かれ首を縦に振った。
「魔力は無いって事か・・・・・。
じゃあ一体何が原因なんだ?」
困った顔をしている二人を見て、溜まりかねず同時に二人の頭を撫でる勇。
「大丈夫。諦めなければきっと見つかるから。」
無邪気に笑う彼女の顔を見てメイビスは立ち上がり・・・・。
「そうだな。 まだスタートしたばかりだ。調べなければいけない事は沢山あるはず!
それじゃ・・・・気晴らしに三人でこの世界の見学にでも行くか。勇は道案内だ。」
「わたしも人形買わなきゃ・・・・」
「OK!
じゃ、その人形を買いに勇に着いてくぞ。アキト。」
行く気満々の彼女を見てアキトも立ち上がり勇の手を取った。
「ほら。お前の買い物の続きだ。とっとと行くぞ。」
こうして勇はアキト達と再び雑貨屋へと足を運んだのだった。




