第5章 影の先にあるもの 1 共犯関係の深化
デーモンが瓦解した後の街は、驚くほど静かだった。
学校を覆っていた「排除」の霧は晴れ、生徒たちは再び、他人の目を気にすることなく笑い合い、昼休みにボールを蹴り、放課後に他愛もないお喋りを楽しんでいる。
響と瑞希にとって、それは何にも代えがたい勝利だった。
だが、彼らは知っている。デーモンという巨大な組織そのものを、高校生二人の力で完全に消滅させることなど、不可能であることを。背後にはもっと深く、もっと根深い悪のシステムが存在し続けている。
「……結局、私たちは奴らを『根絶やし』にはできなかったわね」
放課後の屋上で、瑞希が空を見上げて呟いた。彼女の言葉には、以前のような復讐の鋭さはなく、ただ静かな諦念と、それ以上の穏やかさが混じっていた。
「ああ。奴らはまた、別の顔をしてどこか別の場所で芽を出すだろう。この世界から悪意が消えることなんて、ないんだから」
響は手すりに寄りかかり、眼下に広がる街並みを見下ろした。
かつては「あんな巨大なハードル」を跳び越えなければならないと肩肘を張っていた。しかし今は、不思議と恐怖はない。
「瑞希。僕たちは彼らを倒すために生まれてきたわけじゃない」
「ええ、分かってるわ。……私たちは、自分たちの日常を守りたかっただけ」
二人は顔を見合わせ、小さく笑った。その笑顔には、死線を共に潜り抜けた者だけが持つ、独特の共犯者としての絆が刻まれている。
デーモンのような巨悪にとって、現代の日本社会のような競争社会はとても都合がよいのです。競争ばかりしていたら、孤独で信頼できる友人ができないからです。
それプラス、自己嫌悪、劣等感です。
だから、社会的価値観はあくまで努力の勲章でその人の価値を決めるものではないです。
社会的価値観を得ていても、集団いじめをしている人たちに価値はありますか?まあ、いつまでも集団いじめをしている人たちですが。
だから、巨悪の洗脳支配を免れるためにも、いじめやデマを流して陥れるなど、悪いことをしていなければ、自己嫌悪になる必要は全くないです。
社会的な立場が何であっても、悪いことさえしていなければ、自信をもって生きてください。




