第4章 愛なき組織との対決 2 愛の反撃
響の言葉通り、夜の帳が下りる頃、事態は急転した。
デーモンの工作員たちが、響の両親の職場へ匿名メールを一斉送信した直後、響が仕掛けたプログラムが発動した。
「なんだこれ……!? 送信先にエラーが……!? いや、通信ログが勝手に警察のサイバー犯罪対策課に転送されてるだと!?」
廃ビルに潜んでいた工作員のリーダーが、真っ青な顔で叫ぶ。
響は、その様子を瑞希と共に、別の屋上から静かに見守っていた。彼らはもはや、逃げ場のない檻の中のネズミだった。
「瑞希、今だ。彼らの通信端末をジャックして、この教室の生徒たち全員に『真相』を送りつけてやれ」
「了解。……これで終わりよ、悪夢は」
瑞希がエンターキーを叩くと、学校中の生徒たちのスマートフォンに、一つの通知が一斉に鳴り響いた。
それは、これまでクラスの空気を支配していた「悪意の書き込み」のすべてが、デーモンという組織によって作られた「洗脳システム」だったという証拠だった。
「え……嘘でしょ? 私たちが信じてたあの言葉も、全部作られたものだったの?」
教室で、SNSで、掲示板で。生徒たちの顔から、冷え切った仮面が剥がれ落ちていく。彼らはようやく気づいたのだ。自分たちが何を信じ、何を憎んでいたのか。
「ねえ、響」瑞希が、ふと空を見上げて呟いた。「彼らは、愛を否定した。でも、私たちを守ろうとする家族の想いも、私たちを支える信頼も、全部『愛』から生まれているわ。それって、彼らの計算式には絶対に入らないわよね」
「ああ。僕たちが守りたかったのは、そんな温かくて、予測不可能な『愛』なんだ」
響は、両親が待つ家の方角を向いた。
今頃、夕食の食卓は団欒に包まれているだろう。響はその食卓を守り抜いた。それは、どんなハードルを越えるよりも、確かな達成感だった。
デーモンー巨悪ーは、中々手ごわいですが。
読者の皆様はあまり無理しないでください。




