【資料】 人物紹介・用語辞典 2
本編とは別に、作品の入り口として読める短編を投稿しました。
※『異世界キャバクラに中古製氷機を売ったら、魔石と反社がついてきた件』
https://ncode.syosetu.com/n9402me
本編の時間軸では少し先、ハシュラが加藤周辺に出入りするようになってからの番外編ですが、単独でも読める内容になってます。こちらもぜひお読みいただければと思います。
■ 人物紹介
<日本側>
【加藤】
ヤシマコーポレーション課長代理。36歳。レベル2駐在員事務所で事務と調整を担う。高い越界耐性を持つアンカー。子会社から本社に転籍出向させられ、異世界に送り込まれた。上司の宇田川が失踪し、採掘事業をザファル商会に外注したことで暇になるかと思われたが、裏帳簿を動かし始め、現地調達や歓楽街絡みの火消しにも手を出している。ニャーラやハシュラを伝手に、城壁外のスラムや裏社会へも踏み込み始めた。
【宇田川】
ヤシマコーポレーション次長。現地オフィスの統括責任者で、加藤による引き継ぎまで現地回りの穴も埋めていた。着任初日に加藤を案内し、ナイリザを「備品」と呼んだ男。加藤に引継を終えた一週間後に失踪。離婚済み、一時帰国の履歴なし。語っていた「家族」は3年前に終わっていた。
【城島】
ヤシマ本社の若い人事担当者。採掘部門の人員整理のために来訪。淡々と解雇を処理し、宇田川の失踪を「よくあるパターン」と片付けた。夜の街を楽しんで帰った。その後は本社事情を背負った火消し役として、若手総合職の女トラブル処理を加藤に持ち込んだ。
【坂崎】
内閣府の参事官。レベル2の現地連絡調整室長。日本人だがオークに完全変異している。身長2メートル超の緑色の巨体にスーツを着こなし、正座ができる。レベル2の行政権力者。加藤が持ち込んだ情報を処理しつつ、同時にミスリル採掘の数字でも圧をかけてくる。「ゲートを資源の入口にするか、廃棄物の出口にするか」。
【鰐淵】
所属不明のブローカー。帰還不能者。陶器のように白い肌と体温を感じさせない風貌。能面のような笑顔で近づき、情報と引き換えに食い込んでくる。発火魔法「ナロヤ」を習得している。加藤にザファルを紹介した。
【葛原】
レベル2で「くずはらクリニック」を営む日本人医師。アンカーの耐性評価を行える、この界隈では数少ない指定医。診療所は薄汚く、態度も軽薄だが、腕と口の堅さはそれなりに信用されている。日本で患者を死なせて流れてきた、という物騒な噂がある。
【如月】
レベル1の異界特区派遣後方支援隊本部を預かる二等陸佐。清潔で静かな執務室を好み、兵站と規律を「平時の管理対象」として冷静に処理する女。物資の流れを逸脱なく管理しようとする一方、レベル2の異変そのものには距離を置いている。
【真鍋】
防衛装備庁本籍、技術試験隊隊長の二等陸佐。観測値と機材にしか興味がない観測屋。境界面の励起や合の時期に目を輝かせ、レベル2で何が起こるかを面白がっている。
<現地側>
【ナイリザ・イル=サリヤーン】
エルフ。ヤシマ駐在員事務所の経理担当(契約社員)。元・双陽神聖帝国の宮廷魔術師(序列三席)。100円ショップの老眼鏡に事務用ベスト、ブラウスにタイトスカート。安酒が手放せない。加藤に対して一貫して冷笑的だが、裏帳簿の構築や文書実務を支え、危ない場面では自ら動く。ドリルジャンボ暴走時には地霊を散らして機体を止め、その実力の片鱗を見せた。古い称号は「サーリス・ナジュラ=キル(三位の星読み)」。
【ハシュラ】
ハーフ・ダークエルフの少女。ストリートチルドレン。盗んだメモリカードを加藤に押しつけたことで物語に関わった。偽物のエアマックスを履いていたが、ニャーラの紹介で再び加藤と繋がり、城壁外スラムへの案内役を務めた。歓楽街の裏道に通じ、日本製のゲーム機や本物のエアマックスに強く惹かれている。
【ヴォルグ】
ワーウルフ。採掘現場の元監督(契約社員)。日本的企業文化に過剰適応し「ノルマ」を連呼していた。ドリルジャンボにパッチワークを施して産量を維持しようとしたが、採掘の外注に伴い解雇された。最後に「オセワニ、ナリマシタ」と日本語で言い残し、坑道に消えた。
【ザファル】
ダークエルフ。ザファル商会の会頭。裏の顔は盗賊ギルドの幹部。手の甲に蜘蛛の刺青。ベンチャー経営者風の伊達男で、スーツ、ロレックス、整えた口髭が特徴。メイリオのパワーポイント資料を持参する男。ヤシマの採掘を完全下請けし、中間搾取の構造を作り上げた。必要とあらば「商会」ではなく「ギルド」の論理で人命を値踏みし、同胞の不始末も裏社会の流儀で片づけようとする。
【ギンネ=グアシェル】
レベル2の蝋燭通りで雑貨屋を営む老人。表向きはしがない店主だが、金や人の流れに通じたあっせん人でもある。パッチワーク修理の偽装発注に名義を貸していた。小商人たちの寄り合いを束ねることができる顔役でもあり、現地調達案件に必要な「名板貸し」の仕組みにも通じている。
【ニャーラ】
猫獣人の女。もとはニュー・エデンで「小夏」、夢幻楼では「朝顔」の名で働くキャバ嬢。愛想がよく客あしらいも巧みだが、店の論理や日本人客の身勝手さには醒めた目を向けている。加藤に茉莉花の事情を語り、ハシュラを繋いだ。
【茉莉花】
夢幻楼で働いていたダークエルフの若い女。本名はマーリハ。城壁外スラムのナヒリの集落の出身で、もとはニュー・エデンにいた。日本人客との関係にすがり、日本への幻想を膨らませた末、古い呪術で相手を「渦」に引き込もうとした。恋情と呪いの区別が溶けた末の、被害者であり加害者でもある。
【ラズワーン・イル=ダラハール】
旧帝都西区に屋敷を構える没落男爵。商家貴族の血筋で、金回りは悪いが家名と信用はまだ残っている。加藤の提案を受け、ヤシマの現地調達案件にダラハール家の名を貸すことになった。
■ 用語辞典
【ビニール傘】
透明で軽く、水を通さない日本の工業製品。現地では高級品かつステータスシンボルで、包装用の薄いビニールまで丁寧に保管される。加藤の裏帳簿の最初の商材にもなった。
【パーラー・ニルヴァーナ】
歓楽街四番通りにあるパチンコ店。日本で閉店したホール設備を丸ごと移設した娯楽施設で、缶コーヒーの自販機まで稼働している。現地人や帰還不能者も集まる、レベル2らしい異様な盛り場。
【夢幻楼】
四番通りの入り口にあるキャバクラ。ニュー・エデンよりは格落ちだが、日本人と現地人の両方が客として混じる。茉莉花やニャーラが働いていた店。
【サンドワームの歯板】
本社運用二課が秘密裏に商流確保を命じた現地産素材。登録前のため効能は秘匿されているが、公開前に買い占めて市場を枯らすのがヤシマの狙い。
【名板貸し】
信用のある第三者が名義だけを貸し、実務担当者に代わって契約当事者となる現地の商慣習。小口の偽装発注にも、大口調達の信用補完にも使われる。
【名板貸し人】
名板貸しを行う者。金貨が絡む規模では、土地と一門と位階を備えた貴族級の「名前」が必要になる。
【サヒリ】
現地語で「陽の人」を意味する。定訳は「エルフ」。双陽神聖帝国の支配階級であり、高度な魔法技術を独占していた。
【ナヒリ】
現地語で「夜の人」を意味する。定訳はダークエルフ。帝国崩壊後も多くが城壁外のスラムに留まり、一部はザファルのように裏社会へ流れた。
【ナヒリグム/サヒリグム】
エルフとダークエルフの混血児を指す現地語。ハシュラのようなハーフを指して用いられる。文脈によってはかなりあからさまな蔑称として響く。ナヒリはナヒリグム、サヒリはサヒリグムと呼ぶ。それ以外の種族は単に「グム」と呼ぶことも。
【渦】
ナイリザが語る魔術の源泉であり、スラムの巫者が語る血と泥と情念の深淵でもある概念。観測して写し取る対象であると同時に、人を引き込む呪いの底でもある。
【サーリス・ナジュラ=キル】
「三位の星読み」。ナイリザがかつて持っていた宮廷魔術師としての称号。ちなみに主席は「マハ・シャムラ=キル(陽読み)」、次席は「ナイブ・カムラ=キル(月読み)」。雨乞いなどの大規模な儀式魔術を主宰する技術は席次に応じて伝承されており、双陽神聖帝国の統治の源泉となっていた。
【青い布/ブルーシート】
レベル2では屋根や窓塞ぎに使われる高級実用品。異変の接近で価格と需要が急騰している。
【合】
現地惑星から見て第一太陽(現地名:アグニ)と第二太陽(現地名:ヴァルナ)が重なり合うタイミングを指す。第二太陽は第一太陽の連星で現地惑星から見ると外側を公転しているように見える。合の後、第二太陽は第一太陽を追い越してゆき、第一太陽と現地惑星と第二太陽が一直線に並ぶ衝を経て、再び第一太陽に追いつく。第一太陽と第二太陽が接近する数週間ほどは現地では「双日季」と呼ばれ、魔素が過剰になる時期とされる。また、日本側の観測により、双日季中、特に合の時点で界差が不安定になることが判明している。合から次の合までのシナディック周期と現地惑星の公転周期はずれているため、双日季は毎年暦の上を移動してゆく。雨季終盤の台風の季節と双日季が一致する年は、当たり年として警戒されており、魔素が極端に乱れる「エーテル台風」が発生する可能性がある。
次話は5月23日(土)21時00分に投稿予定です。




