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聖女に救われた少年は誓いを立てる  作者: たてみん
第4章 少年は誓いを立て、そして
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第39話 少年の報酬と神託の儀

このあたり、あっさり済ませるはずが長くなりました。

m(_ _)m

今日は予想外なことが起きてばかりだ。

先日の街を襲った騒動は、ボスを含め多くの魔物を倒した聖女様が一番貢献していたと思っていた。

いや、それは間違いじゃないんだろうけど。

その次に頑張っていたのが警備隊や冒険者など、街が魔物に襲われないように守った人たちで、僕がしたことなんて、ほんのちょっと薬を造るお手伝いをしただけだと思っていた。

それなのに聖女様をはじめ、多分領主様?から直々にお褒めの言葉をもらっている。


「さて、大変な話をする前に今回の件での報酬を伝えておこう」

「あ、はい」


そっか。これだけ頑張ったってことは結構報酬がもらえるってことなのか。

まだ見たことないけど大銀貨とかまで行ったりするのかな。


「貢献の度合いから考慮して、金貨20枚を授けるものとする」

「は?……金貨、ですか?」

「うむ。不服か?」

「いえ、その。金貨って知らないので銀貨でいうとどれくらいの価値なんでしょう?」

「そうだな。金貨1枚が大銀貨10枚。小銀貨なら100枚だ」

「ひゃくまい!?」


僕の1日の収入が銀貨1枚に届かないくらいだ。

金貨20枚ってことは銀貨でえっと、2000枚?2000日分!?


「そんなに」

「それだけのことを君がしたという事だ。

なお、金は冒険者ギルドに預けてあるので、好きな時に引き出してくれ」

「はい、わかりました」

「続いて治癒ギルドから。

今回提供してもらった薬草類については後日現物で支給もしくは買取をお願いしたいとのことだ。

聞いたところによると宿屋の納屋いっぱいに薬草があったそうだな」

「あー、はい。宿の女将さんの好意で採取した薬草類を保管させてもらっていたんです」

「街の薬草店でもあれだけの在庫はないと驚いていたがな。保管状態もかなり良かったと言っていたぞ」

「あ~はは。この街の近くは魔物も少なくて簡単に集まりました」


納屋いっぱいは採り過ぎだったかな。

でも今回役に立ったから良かったよね。


「魔物はそれなりに居るはずだが……まあ良い。

他に冒険者ギルドを通じて幾つか指名依頼をしたと言っていたので後で確認するように」

「はい」

「それと」

「まだあるんですか?」

「うむ。良かったらうちで働かないかと言っていたな。冒険者の時の倍は給料を出すとな。

興味があったら治癒ギルドに行ってみると良い」

「分かりました」


ギルドマスターのラーズルムさんを始め、色々お世話になったからお手伝いをするのは全然構わないんだけど、働くと言ったらまた違う気がするかな。


「さて、今ここで私から言えることは以上だ」

「??」

「冒険者ギルドからも君に伝えたいことがあるそうだが、それは向こうで聞いた方が良いだろうからな」

「はぁ。分かりました。帰りに寄ってみます」

「ああ、そうしてやってくれ」


冒険者ギルドか。

それこそ特に今回何もしてない気がするんだけど。

この1週間も特に何も言ってなかったし。


「では私からはなぜ今日この場を設けたのかも含めてお伝えしましょう」


どこか沈んだ感じで聖女様が話し始めた。


「カイは魔王については知っていますね?

150年周期で誕生すると言われている魔王が現在、魔境の中心地に居ます」

「あの、魔境の中心地なんて誰も行ったことが無いのにどうして分かるのですか?」

「私が居るからです。正確には聖女のアビリティ持つものが、ですね。

『勇者』『聖女』といった特殊なアビリティは魔王に呼応するように現れると言います。

また近年、魔物が活性化しているのも魔王が誕生している証左です。

そしてこれら特殊なアビリティを持ったものにしか魔王は倒せないと教会は公言しています」

「え?」


最後、何か含みがあったような。


「カイ。カイは教会とはどういうところだと思っていますか?」

「えっと、孤児院を運営している所で、女神様に祈りをささげる場所です」

「そうですね。そして神父は女神様の代弁者である、という人も居ます」

「……違うのですか?」

「神父も人です。

ですからもし女神様のお言葉を聞いて私たちに伝えようとしたとしても、必ずその神父の思惑が含まれるものです。

女神様の願いを第一に考える神父も居るでしょう。

ですが、自分の事を大事に思う人も居れば、教会を守りたいと願う人も居るでしょう。

そして教会のトップに近い者ほど、教会と自分の利権に心を奪われています。

私は幸い、小さいときから彼らと接してきました。

お陰で神託の儀によって私に対する態度が大きく変わるのも見てきました。

残念ながら彼らは私の事を魔物を倒す道具としか見ていません」

「そんな馬鹿な」

「事実です。彼らはこの5年間、事あるごとに私にこう言います。

『魔物を倒せ。魔王を倒せ。その身を犠牲にしてでも世界の為、女神様の為に』

そして最後に渡された魔道具は使用者の命を糧に大爆発を起こすものでした。

つまり魔王に勝てないなら魔王諸共自爆しろということね」

「それは間違いです!

女神様は僕たちの幸せを願っているはずで、間違っても誰かの犠牲になれなどと言うはずがありません」

「ふふっ。そうね。私もそう思います。

だからカイ。教会には気を付けなさい。

彼らは自分たちを脅かす存在を魔王討伐に送ることで排除しようとしています。

今回のことで大々的にあなたを表彰でもすれば、彼らは間違いなくあなたも魔王討伐に向かわせた事でしょう。

幸いこの街はそれほど教会の力は強くありません。

今ならまだあなたの事は噂程度には流れるでしょうが、教会本部に呼ばれたりはしないでしょう」

「なるほど、そうだったんですね」


知らない内に僕は聖女様達に守られていたんだ。

あれ?それじゃあもしかして。


「僕、10歳になる直前でバーラさんに村から出ていくように言われたんです」

「そう。恐らくバーラ様もあなたの事を教会に知られたくなかったのでしょうね。

あなたには間違いなくかなり強力なアビリティがあるようですから」

「え、そうなんですか?」

「ええ。でなければあれ程強力薬を作る事も、生活魔法であれだけの威力を出せることもありません。

なのでカイ。あなたのアビリティを調べたいのですがいいかしら?」

「てっきり10歳の時に何も起きなかったから手に入らないものかと思ってました」

「別にアビリティが手に入ってもすぐに何かが変わる事ってほとんどないのよ」

「そうだったんですね」


僕は聖女様の指示に従って片膝をついて手を組んで目を閉じた。

ちょうど教会のシスターがお祈りしている時と同じポーズだ。

続いて僕の頭にそっと何かが触れる。

これは、聖女様の手かな?

そこから温かい魔力が送られてくると、意識がすぅっと消えていった。

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