第33話 少年はお叱りを受ける
起きて早々ぼこぼこにされる主人公
部屋に入ってきた女神様(?)を見てぼぅっとしてたからだろう。
女神様(?)が僕の顔の前で手をひらひらと振っている。
「あの、大丈夫ですか?」
「は、はいっ。女神様」
「女神様?……ぷっ」
僕の女神様発言が可笑しかったみたいで、女神様(?)は小さく笑った。
「残念ですが私は女神様ではありませんよ」
「ですがルイン様は女神様と並び立つほどに尊い方だと私は思っていますよ」
「またミリィは。それ教会などで言ったら罰せられる危険がありますから注意してくださいね」
「心得ております」
そう答えたのは、女神様改めルイン様(?)の後ろに控えていた女性だった。
改めて見れば、最初に会った女性と合わせて3人がこの部屋へと入ってきていた。
「さて、改めまして、私はルインと申します。聖女ですが女神ではありません」
「僕はカイって言います。
僕を助けてくれたのはルイン様ですか?
先ほど後ろの女性から伝言は聞きましたが、シェリスの容態はどうでしたか?
他にも呪いに倒れている人が居ると思うのですが、秘薬の残りはまだありますか?」
「落ち着いて。順を追って話しましょう」
「あ、すみません」
いけない。
どうやら色々と焦っていたみたいだ。
一旦椅子に座り呼吸を整える。
その間に、最初の女性(ミレルさんっていうらしい)がお茶を用意してくれた。
「さて。
私があなたを見つけたのは昨日の午後です。
北からの街道をこの街に向かうであなたが倒れている所を見つけ、治療しつつここへ運びました。
その際、うわごとで背嚢に入っている秘薬をシェリスさんに届けてほしいと言っていましたね。
シェリスさんの治療は昨日のうちに済んでいます。
恐らく2,3日で元の元気を取り戻せるでしょう。
残った秘薬は冒険者ギルドに預けるように頼んでおきました」
「そうでしたか。何から何までありがとうございます」
落ち着いた声で説明してくれた。
こうして聞くとルイン様に助けてもらえた事は奇跡みたいな出来事だったんだと分かる。
「ところでカイさん。お聞きしたいことがあります」
キンッと空気が張り詰めた気がした。
あれ?さっきまで穏やかな笑顔だったのに、リーリアさんがつまみ食いした時の女将さんより怖く見える。
「あの時、シェリスさんの呪いを見て秘薬を取りに行こうとしたことは分かります。
ですが秘薬の材料がかなり危険な場所にあるのは知っていたのですよね。
なぜ一人で行こうとしたのですか?」
「それは、えっと。一人の方が早いし、何とかなるかなって」
「ですが、私があの時助けなければ、命を落としていたでしょう。
そうなると秘薬は街に届けられず、シェリスさんも助からなかったでしょう」
「うっ」
本当にそうだ。
あの時、本当に偶然ルイン様が助けてくれてなかったら、大変なことになってたんだ。
シェリスさんも死んで、街の人も大勢亡くなっていたんだ。
僕が無茶をしたばっかりに。
「カイさんは、誰かに頼ろうにも誰にも助けてもらえないほど皆さんから嫌われているのでしょうか」
「いえ。リーリアさんとか、他にもお願いしたら手を貸してくれると思います」
「カイさんは、勇者のようにどんな強大な魔物が来ても打ち倒せる程強いのですか?」
「いいえ」
「カイさんは一人で街の人全員を助けられるのですか?」
「……(ふるふる)」
ルイン様の言葉にもう首を振る事しか出来なかった。
視界が涙でにじむ。
くやしい。情けない。それ以上に、自分の力不足で皆を悲しませるのがたまらなく嫌だった。
そんな僕をルイン様は優しくなでてくれた。
「ごめんなさい、少し言い過ぎましたね」
「……(ふるふる)」
「ですが、ご自身の過ちは理解できましたね?」
「……(うん)」
「一人で生きていける事は良い事です。
ですがこの世界は一人で立ち向かうには厳しすぎます。
ですので、多くの方と手を取り合って助け合わなければなりません」
「はい」
「あなたが苦手な事が得意な人は居るでしょう。
逆にその人が苦手な事でもあなたが得意な事もあるでしょう。
助けてもらう事が申し訳なく思うなら、それ以上に別の事で助けてあげなさい。
そうすれば、あなたに出来ない事など無くなるでしょう。
あなたはまだ生きているのですから、これから変わっていけば良いのですよ」
「はい。ありがとうございます」
そうしてルイン様は僕が泣き止むまで頭を撫でてくれた。
長々とお説教が続くのも疲れるのでこれくらいで。




