第28話 聖女は錬金術師の家に向かう
ミリィと共に冒険者ギルドに赴いたとき、受付に詰め寄っていた女性に対して一瞬『共鳴』が起きるのを感じた。
ということは、彼女と私の間に何か接点があるということなのでしょう。
「やっぱり探しに行ってくるわ!」
そういって入り口にいる私たちの方へと駆け出してきたその人を咄嗟に呼び止めた。
私がこの街に着いたのはついさっき。
もし彼女との間に何か共通のものがあるとすれば、それはこの街に来る途中に助けた少年しかない。
そう思って訪ねてみたら案の定だった。
「すれ違いにならなくて良かったわ」
「ありがとう。私はリーリア。見ての通り冒険者よ。あなたは?」
「ルインと申します。今日この街に来たばかりでギルドには人を尋ねに来ました。
あとカイさん、でしたか。
彼でしたらだいぶ無理をしたようで、今は傷の治療を終えて眠っています。
命に別状はないですから安心してください」
改めてそう伝えると、多分安否を確認しに行こうとしていたのでしょうね。ソワソワしていたのが収まった。
どうやら彼は相当大事に思われているみたいね。
「それで、ルインさん。あーメイドを連れているところを見ると良いところのお嬢様か。ルイン様の方が良いのかな?
誰を探しているの?私で良かったら案内するわよ」
「さんで構いませんよ。
それなら職人通りのシェリスさんをご存じですか?」
「ベルさんじゃなくてシェリスなのね」
私の言葉に一瞬首をかしげるリーリアさん。
ベル『さん』とシェリスと言うことは、親子か師弟ってところかしらね。
もしくはシェリスさんと言う人はそうそう表に出てこない人なのか。
「ん?あぁ。大丈夫、家の場所は分かるからついて来て」
「ありがとうございます」
考えるそぶりはしたものの、軽快な足取りで案内を始めるリーリアさん。
生来の明るい性格なのか、彼女は初対面の私にも気さくに話しかけてくれる。
「それで?あの子に何の用なのか聞いても良いのかしら?」
「ええ。カイさんから薬を届けてほしいと頼まれたものですから」
「は~それでお嬢様自ら足を運ぶって、なかなか珍しいね」
そうでしょうね。普通の貴族であれば従者に届けさせて終わりでしょう。
でも彼が命懸けで運んできたものですし、なにより。
「頼まれたのは私ですから」
「うん、良いね。そういう義理を通すところは好きよ」
そう言ってカラカラと笑う。
「そういえば、ギルドの中が随分と騒がしかったようですが、何かあったのでしょうか?」
「まあね。森にかなり厄介なタイプのボスが現れたらしいわ。
その影響で街中でも何人かが魔物の呪いで倒れてしまったそうよ。
なもんで、早期にボスを討伐するために準備をしてたってところね」
「呪い、ですか。ならリーリアさん、急ぎましょう。
恐らくそのシェリスさんも呪いに罹っていると思われます」
「そうなの!?」
渡されたのは解呪も出来る秘薬。
届ける相手が錬金術師であれば、その人からの依頼で取りに行っていただけの可能性もあったけど、そうではなさそうだ。
リーリアさんを急かして全速力(リーリアさん的には小走り?)で錬金術師の家に向かう。
錬金術師の家に着いた私たちは扉の閉まった表から裏口に回り、ノックもそこそこに家の中に入った。
「おや、誰かと思えばリーリアじゃないか」
私達を迎えてくれたのは中年の女性で、どうやらリーリアさんとも面識があるようだ。
「女将さん、どうしてここに?」
「私はカイに頼まれてね。シェリスの面倒を看ているのさ」
そういう女将さんの顔からは疲れ以上に辛さがにじみ出ている。
ということはシェリスさんが呪いに罹っているで間違いわね。
「あの、そのシェリスさんを治す為の薬をお持ちしました。
出来るだけ早く処方した方が良いでしょう。
部屋まで案内していただけますか?」
「そりゃ助かるよ」
そうして2階の一室に案内された。
早く先に進みたいけど、しっかり状況を描こうと思ったら話が長くなってしまったので治療までたどり着けませんでした。
1話3000まで増やす?




