表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女に救われた少年は誓いを立てる  作者: たてみん
第2章 小さな少年は無理をする
22/43

第21話 あせる少年は森を突破する

慌てて宿屋に戻ってきた僕を女将さんが出迎えた。


「おや、もう戻ってきたのかい?

……その様子じゃかなりまずいみたいだね」

「女将さん。はい。

と、そうだ。薬草を渡しますので、シェリスさんに薬湯を飲ませてあげてもらえませんか?」

「ああ、それくらいお安い御用さ」

「ありがとうございます」


急ぎ部屋に戻って、背嚢に必要な道具を詰め込んで担いでから、薬湯用の薬草の束を取って降りる。


「じゃあ、これでお願いします」

「任せておきな。その様子だとお前さんも出かけるんだろ?」

「はい。薬を作るのにちょっと特殊な材料が必要なので行ってきます」


女将さんに薬草を預けて再び宿屋を飛び出した。

まず向かうべきは冒険者ギルドだ。


「ミーミィさん!!」

「あら、カイ君。そんなに慌てて……何かあったのね」


扉をぶち開けて入ってきた僕を見て、ミーミィさんもすぐにただ事ではないと顔を引き締めた。

僕も一切の前置きなしに詰めかけた。


「昨日の薬草、どうやら呪いの一種みたいです」

「まさか!いえ、ボスが出たのであればその可能性もあるわ。

こちらで調査を依頼した結果はお昼ごろに出るはずなんだけど、待ってられないわね」

「はい。なので薬草を扱っているところから今すぐシミの付いた薬草を回収してほしいんです」

「分かったわ。直ぐ手配します。って、カイ君!どこに行くつもり!?」

「錬金術師のお店のシェリスさんがすでに呪いに罹ってしまってるんです。

それを治す方法を僕は秘薬しか知りません。なのでその材料を採ってきます」

「秘薬って。そんな材料が簡単に手に入る訳ないでしょ!?」


報告を終えてギルドを出ていこうとする僕をミーミィさんが引き留めようとする。

残念だけど今は問答する時間も惜しい。

いつもの外門を抜けて往来も減ったので更に速度を上げる。


「おはよう、カ……」


目指すは北北西の森の更に奥にあるという山岳地帯だ。

今から急いで向かえば日暮れ前には目的の場所に辿り着けるはず。

最速の経路で行くために街道を北に進むと行商人と思われる馬車とすれ違ったりもする。


「おう、どうした坊……」


普段なら挨拶を交わすその人たちも無視して進んだ後、進路を西へと変えて森の中に突っ込んだ。

森を進めば当然魔物がいる。

この辺りもボスの影響を受けているのか数が多い。


「ギギッ」

「邪魔っ」


出てきたゴブリンをすれ違いざま太ももに浅く切り付けて追ってこれないようにしつつ、無視して奥へ奥へと走った。

そして森の雰囲気が変わりだしたところで、いったん足を止めた。


「はぁ、はぁ、はぁ。この先は魔獣の縄張りだな」


森の中にはゴブリンやオークなど、二足歩行の魔物が多い領域と黒犬を始めとした四足歩行の獣に近い姿の魔物の多い領域がある。

そういった魔獣たちは黒犬が光に弱いように特性を知っていれば対処がしやすかったりする。

特に共通して言えるのは臭いに敏感だ。

僕は背嚢に詰め込んできた魔物避けの薬液を全身に振りかけた。

更に同じものを口に含んで飲み下す。


(グッ、相変わらず苦い)


でもこれで明日の朝まではこの臭いを嫌う魔物は近づいては来ない筈だ。

10分程休憩して息を整えた僕は再び森の奥へと走った。

案の定、魔獣は全く近づいてこない。

その代わり嗅覚の無い魔物、例えば森の掃除人と呼ばれるスライムなどは居るが、それらはこちらから近づかなければ積極的に襲ってくることは無いので、魔物の発する魔力を感知しながら避けていく。

そうして目的の場所を求めて森を彷徨った結果、日が暮れる頃に何とか見つけることが出来た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ