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聖女に救われた少年は誓いを立てる  作者: たてみん
第2章 小さな少年は無理をする
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第19話 いそぎ少年は報告をしに帰る

黒犬をあっけなく倒してくれたのは、カウラさんにララさんだった。

カウラさん達は周囲を確認してからまるで散歩に来たかのような気軽さであいさつしてきた。


「やっほー、カイ君」

「こんにちは。いらないかなとも思ったけど、念のため助太刀させてもらいました」

「ありがとうございます、カウラさんにララさん。でもどうしてここに?」

「どうしてって、私たちも冒険者だからね」

「むしろカイ君がこんなところまで薬草採集に来てるほうが驚きです。っと、はい、ナイフ」

「ありがとうございます」


ララさんからさっき投げつけたナイフを受け取りつつお礼をいう。

この2人は現在Dランク上位の冒険者コンビで、2年前に初めて見かけたときにはまだ駆け出しの新人だったのに、今ではすごく堂々とした姿をしていた。


「おふたりはこれから森に入るんですか?」

「ううん、私たちは帰る途中よ。どうも今日の森はキナ臭くてね」

「魔物の数がかなり多いの。もしかしたらボスが出たのかもしれないわ」

「ボスですか。僕もいつもの数倍のゴブリンに遭遇しました。それにこの黒犬だって本来ならこんなところに出ないのに」


手早く倒した黒犬から魔石を回収しながらお互いに情報を共有していく。

ボスというのは魔物の中に時々現れる特殊個体だ。

ボスが現れた場合、まずそのボスと同種の魔物の数が一気に増える。

そしてボスの種類によっては他の魔物も活性化されたり、強力なテリトリーを形成する場合がある。

基本的にボスは同種の魔物より1,2段階強く、更には知能も発達しているのか、周囲の魔物を統制しだすことから魔物の親玉=ボスと呼ばれている。

人によっては通常の魔物が進化した上位個体だっていう説もあるけど詳しくは分からない。

とにかくボスが現れたら手が付けられなくなる前に上位冒険者によって討伐チームを編成して当たることになる。


「なら急いで戻りましょう」

「そうね急ぎましょう」


ここから街まで走れば1時間ほど。

その間、魔物に襲われることもなく、魔法士のララさんが息切れしたので僕が背負って走る場面があったけど無事に街まで辿り着けた。


「おう、カウラたちじゃねぇか。そんなに急いでどうした?」


門番のガルダさんが気遣わしげに声を掛けてくれた。

僕たちは冒険者証を見せつつ報告する。


「もしかしたらボスが発生したかもしれません」

「なんだと!?

分かった。早くギルドに報告に行け。

俺たちも念のため警備を強化するように上に報告しておく」

「はい、お願いします」


門を抜けて街に入った僕たちは一目散にギルドへと駆け込んで受付のミーミィさんにも同じように報告を済ませた。


「ゴブリンと黒犬の大量発生、ね。

他の冒険者からも同様の報告は頂いています。

でも、ゴブリンだけなら近くに巣が出来たって可能性もあったんだけどね。

日中の森の浅いところで黒犬っていうのは不可解だわ。

……分かったわ。直ぐにギルマスに掛け合って調査隊を編成すると共に他の冒険者への注意喚起をします。

他に何か変わったことは無かったかしら?」

「そういえば、これを見てもらえますか?」


僕は背嚢にしまっておいた、黒いシミが付いた薬草を取り出してミーミィさんに見せた。


「薬草?このシミは一体何かしら」

「分かりません。ただ僕も何かすごく嫌な感じがしたので、見える範囲のものを刈り取って焼き払ったんです。

その直後に黒犬たちに襲われました。もしかしたら黒犬たちと何か関係があるのかもしれないです」

「そうね。それを預からせてもらってもいいかしら」

「はい。でも取り扱いには気を付けてくださいね」

「もちろん分かっているわ。

さぁ。ボスの調査もこの薬草の調査も時間がかかるからほかの採取報告だけして今日は帰りなさい」

「はい、よろしくお願いします」


流石に今日はゴブリンだけでも普段の数倍相手にしたのに、更に黒犬たちと追いかけっこから戦闘までこなしたので疲れた。

なので、ミーミィさんの提案を受けてそそくさと宿へと引き上げることにした。

また明日の朝一でギルドに来よう。

その時にはなにかしら進展があるかもしれないし。

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