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聖女に救われた少年は誓いを立てる  作者: たてみん
第2章 小さな少年は無理をする
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第18話 はしる少年は薬品を調合する

じわじわと僕を取り囲む黒犬たちを警戒しながら、背嚢の中を後ろ手で探る。

黒犬は逃げる相手には積極的に追いかけるのに、こうして立ち止まっていると獲物をじっくりと追いつめる習性がある。

もちろんこの状態から走り出そうとすればすぐに飛び掛かってくるからジリ貧であることには変わらないんだけど。


「っと、あった」


僕は背嚢からもしもの時ように確保していた鉱石を取り出した。

この石は閃光石と言って、強い衝撃や熱を与えると直視できない程の激しい光を放つ。

光に弱いこの黒犬じゃなくても至近距離から見てしまうと失明するだろう。


「さて。じゃあ行くぞ。いちにの、さんっ!」

「「ガウガウガウッ」」

「『発火』!!」

「「ギャンッ」」


すぐ横に立っていた木に飛び上った瞬間、全方位から襲い掛かってくる黒犬たち。

そこを発火の魔法で発動させた閃光石の光が襲った。

一番先頭にいたのは意識まで失ったのか、飛び掛かった勢いのまま地面に激突していく。


「よしっ。今の内だ」


木の陰に居たやつも居るから全部とはいかなかったけど、それでも8割くらいの黒犬が悶えている間に僕は包囲網を抜け出して風上へと走る。


「ガウガウッ」

「当然逃がしてくれないよね」


追ってくるのは大体15匹前後といったところか。


「まだ多いな。なら次はえっと、この辺りならあれがあるはず」


走りながら近くに生えていた薬草や木の実を摘み取っていく。

綺麗な採り方じゃないけど許してほしい。っと根まで取れちゃった。ごめんっ。

それより集めた素材の内容を確認する。

……よし、これだけあれば十分だな。


「『乾燥』『乾燥』『乾燥』『粉砕』」


急ぎ魔法で乾かして粉々にする。

本来なら陰干しにしてすり鉢で粉にするのが正しいやり方なんだけど、時間が無いときとかは雑な処置になるけどこうして魔法で代用する。

手の中を確認すれば十分な量とは言い難いけど、現状を打開するにはぎりぎり足りるだろう。

よし、じゃあこれを後ろから迫ってきている黒犬たちに向かって振り撒く。


「ガウ?」

「って、量が足りないからダメか。なら『そよ風』!」

「ッギャン」「ガフッ」


昔盗賊たちを睡眠薬で眠らせた時のように、魔法で風を起こして撒いた薬が黒犬たちの目や口に入る様にすると、とたんに前足で目をこすったり咳き込みだす黒犬たち。

ちなみに使った薬草は普段食事で香辛料として使っている薬草だ。乾燥させて粉にするとかなり辛くなるから目や口に入るとああなる。

さて、まだ追ってくるのは……5匹か。これなら大丈夫だな。

僕は走る方向を風上からぐるっと回って森を抜ける風下に向けた。


「ガウッ」

「おっと」


追いつかれて飛び掛かってくる個体を木と木の間をジグザグに走ってかわしたり、回り込んできたやつの頭を飛び越えざま踏みつけたりしてひたすら森の外を目指す。

そうして、ようやく森を抜けようとしたところで前方に人影があることに気が付いた。


(まずいな。もし戦闘に慣れてない人だったら守れない)


仕方ない。ここで迎え撃つしかないか。

腰に吊ってある2本のナイフを抜きつつ振り返る。

そうすると血走った眼をした黒犬の1匹が僕の頭めがけて飛び掛かってきた。


ガキッ!


咄嗟に右足を半歩下げながら右手のナイフで黒犬の右足を受け止める。

そのまま黒犬の突進力を利用して左足を軸に後ろに体を回せば目の前を黒犬が通り抜けていく。


「そこ!」

「ギャンッ」


すかさず、がら空きになった横腹を下から左手のナイフで突き刺した。

刺された黒犬はそのままの勢いで通り抜けると頭から地面に落ちて倒れる。

よし、まず1匹。

続いて左右同時に飛び掛かってくる黒犬たち。さっきと違って足を狙ってきた。


「それなら、ふっ、えいっ!」


左から狙ってきた黒犬に、逆に僕から飛び込むように近づきつつ左手のナイフを顔めがけて投げつける。

そして怯んだ隙に更に顔面に喧嘩キックを叩き込むと黒犬は目を回した。


「ガウッ」

「僕の代わりにどうぞっ」

「ギャフッ」


目を回してふらつく黒犬の足を掴んで、反対側から襲い掛かってきたやつに当てて盾代わりにする。

咄嗟の事にそのまま味方に牙を突き立ててしまった黒犬に、今度は右手のナイフを頭に突き立てた。

よし、これであと2匹。

……どうやら立て続けに仲間が3匹倒されて警戒しているようだ。

直ぐに飛び掛からずに隙を狙うように周りだした。

って。


「『パワーアタック』!」

「『エアスラスト』!」

「「ギャンッ」」


多分さっき見かけた人たちだろう。

いつの間にか近くにやってきて、僕に意識を向けていた黒犬たちを一撃で吹き飛ばしていた。



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