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聖女に救われた少年は誓いを立てる  作者: たてみん
第1章 幼い少年は一人
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第12話 少年は錬金術師に会う

冒険者ギルドでおっちゃんを見送った僕は、次の依頼をこなすために職人通りと呼ばれる一角に来ていた。

そこは鍛冶師や大工などを始めとしたモノづくりをする人たちが軒を連ねている。

ここでは、昼夜を問わずカンカンコンコンと何かを叩く音が響いたり何かが、焼ける臭いや薬剤の臭いが漂ってきたりするらしい。

その為、普通の住宅地から離れた場所にあったりする。

周囲に行きかう人も男女ともにガタイの良い人や商人もしくは冒険者と思われる格好の人ばかりで、主婦や子供の姿はほとんどない。

そして今回の依頼主の錬金術師の店も、そんな職人通りの中にあった。

2階建ての建物で、1階手前が店舗、奥が多分工房かな。

表に出ている不思議なマークの看板を見ながら店の中へと入る。


「いらっしゃいませ~」


迎えてくれたのは僕より小さい7,8歳くらいの男の子。

このお店の子、かな。


「こんにちは。僕はカイ。冒険者見習いなんだ。君はこのお店の子かな?」

「うん、そうだよ。ホルルっていうんだ。

お兄さんは何が欲しいの?治癒ポーション?それとも魔力ポーション?」


ホルルと名乗った男の子は人見知りしないようで、楽しそうに僕に話しかけてくる。

ただ、その言ってる内容が半分分からない。


「ねぇ、ポーションってなに?治癒って作ってことはお薬の事かな?」

「えぇ!お兄さん、冒険者なのにそんなことも知らないの!?薬とポーションは全然違うよぉ」


思いっきり驚かれてしまった。

どうやらかなり一般常識だったみたいだ。


「いいかい、お兄さん。ポーションてのは、あれ。飲んだり傷口にかけると直ぐに傷が塞がるんだよ」


そう言って棚に置いてある小さな土瓶を指さすホルル君。

他にもいくつも土瓶が並んでいることから、どうやらポーションっていうのは液体のものが多いようだ。


「薬と何が違うかって言うと。えっと、あれ。なんだっけ?」

「こぉら。それくらい説明できないとダメでしょ」


首を傾げるホルル君をたしなめる声が、店の奥から聞こえてきた。

見れば多分ホルル君のお姉さんなのだろう、女の子が出てきたところだった。


「いらっしゃいませ。

ごめんなさいね。うちの弟が迷惑かけなかったかしら」

「いえ、大丈夫ですよ」

「そうだよ、姉ちゃん。今だってこのお兄さんがポーションを知らないっていうから教えてたところなんだ」

「はぁ、それで一番基本の部分が出てこないと意味がないでしょうが」


ため息交じりにホルル君の横に立つお姉さん。


「ポーションを簡単に説明すると、薬効のある素材と水と魔石を錬金スキルによって混ぜ合わせたものよ。

普通の薬と違って即効性が高いので治癒魔法の代わりとして用いられることが多いわ。

ただ、作るのに魔石を消費するし、効果の高いものを作るためには質の良い魔石を使わないといけないから値段も高めなの。

だから高ランクの冒険者は普段使いの低ランクと非常用の高ランクのポーションを持ち歩くのが一般的かしら」

「なるほど。そうなんですね」


値段を聞けば、一番安いのでも大銅貨5枚はするそうだ。

薬で同程度の治癒効果を求めたら多分大銅貨1枚くらいで済むから5倍以上。

確かに使うのを躊躇う金額だね。

っと、今日はポーションの話を聞きに来たんじゃなかった。


「ところで、お姉さんが冒険者ギルドに依頼を出したベルさんですか?」

「それはお母さんね。私はシェリスよ。って君、私より小さのに冒険者だったのね。

お母さんは今奥でポーションを作ってるから私が話を聞くわ。

といっても依頼の内容って多分あれよね」

「えっと、排水溝の掃除だそうです」

「やっぱりね。じゃあ、店の裏だから付いてきて。ホルル、店番頼んだわよ」

「任せといてよ」

「返事だけは良いんだから」


ふぅっと息をついて店から出ていくシェリスさんの後を追って、ぐるりと店の裏へと回る。

すると、むわっと臭気が鼻を突いた。まるで魔物の内臓を腐らせたような臭いだな。

前を歩くシェリスさんも鼻をつまんでいる。


「多少慣れたとはいえ、やっぱこの臭いはキツイわね。ほら、あれよ」


そう言って指し示した先には1メートル四方のため池があり、店から水路が繋がっていた。

この臭いはそのため池から流れているようだ。


「このため池は錬金術で出た廃液が周囲を汚染しないように作られているの。

廃液って言ってもほんの少しだけ魔石と素材を含んだ水がほとんどなんだけどね。塵も積もればっていうのかしら。綺麗にしても半年と経たずにこうして淀んで臭うようになるの。

お願いしたいのは、この排水溝からため池にかけて、壁をこする様に溜まったヘドロを掻きだすの。

完全に綺麗に掻き出すのは無理だろうからある程度でいいわ。

道具はこっちの板を使ってちょうだい。掻き出したヘドロはそっちの台の上にまとめておいて。

じゃ、私は店のほうに居るから、終わったら声を掛けてね」


口早に伝えたシェリスさんは、逃げるように去っていった。

まぁこの臭いから早く解放されたいって気持ちは分かるけどね。

とにかくやるか。

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