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天罰戦線の殺神者  作者: 有栖
第七章『神の威光』
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第24話「友よ」


「凌一っ!?」


紬が悲痛な、状況を全く理解出来ていないような声音で、自身に向けてライフルの引き金を引いた親友の名を呼ぶ。

撃たれたから避けたものの、紬は全く状況を理解出来ていない。


「なんなんだよ!なにが起きてるんだよ!!」


紬は凌一に向けて、周りの状況に向けて叫ぶ。


「ごめんな紬……。俺は、俺達はこのときのためにずっと人間社会に潜伏して……。」


そう言いながら凌一はビームサーベルを抜き、紬に向けて飛びかかる。


「くそっ……。フェー!!」

「はいっ!」


紬の意図をくんでフェリスティナが雷の剣を召喚し、凌一が振り下ろした剣を受ける。


「隊長、凌一は俺が!先に行ってください!」

「わかった、任せたぞ紬くん!」


その受け答えを聞き、紬を除いた守護隊がアマテラスの方に向かう。


つばぜり合いのような格好になっている紬と凌一。


「凌一、操られてる訳じゃないんだな。」

「そうだな……。これが俺の任務で、存在理由だから……。」


反動をつけて間合いをとる。

そして今度は紬の方から斬りかかり、剣を打ち合う。


「なんで人間が人間と戦うのが存在理由なんだよ!親友と戦うのがお前の任務なのかよ!!」


紬の叫びに悲痛な表情をする凌一が、剣を振り、ビームを放ちながら語り始める。


「紬、俺は……。俺達はヒトだ。」


その意味を理解出来てしまったが、理解したくはなく、紬は乾いた笑いをこぼしながら凌一に斬りかかる。


「ハハッ…。お前が人なんて当たり前のことだろ?何言ってんだよ……。」

「違う……。違うんだ紬……。俺は、俺達はヒトなんだ……!」


紬の剣を受けて跳ね返し、体制が崩れた彼にビームを数発撃ち込む。それを雷の盾で受け、紬は信じられないというような表情をする。


「じゃあ……。あっちで味方を撃ってるのも、お前も、ずっと俺達を騙して……。」


盾が消えるとそこから覗いた紬の絶望の表情に、凌一は息が詰まる。


「そうだ……。俺達はお前達をずっと騙して極東支部に潜入してた。すべてはこの日のために。それが俺達、使徒型(アポストルタイプ)に課された使命で、唯一の生きる意味…!」


そう言って凌一は、紬に向かいながらミサイルを放つ。尾を引きながら自分に向かってくるそれを、状況が理解出来ないというように紬は呆然と見つめる。


「紬さんっ!?」


フェーの悲鳴のような声が彼の鼓膜を震わすと同時に、紬の三千世界にミサイルが着弾し、彼の視界を爆炎が埋める。


紬を包む爆炎を、悲しげな表情で見つめる凌一。

その煙が晴れつつある中、小さな声が彼の耳に届く。


「俺じゃ――」


俯いた紬が、小さな声で凌一に語りかけている。


「俺じゃダメだったのかよ……。使命以外のお前の生きる意味…。」


顔を上げ、涙を携えた瞳で凌一を見据える。


「俺と!孤児院のみんなと過ごすのは楽しくなかったのかよ!あそこで楽しくやることが、お前の生きる意味にはなれなかったのかよ!!」


吼える紬の声をしっかりと受け止め、拳を震えるほど強く握りしめて凌一は叫ぶ。


「楽しかったさ!お前のことも、みんなのことも大好きだ!一緒にいたかった!!」


徐々に声が弱々しく、震えていく。


「でも…ダメなんだ…。ここでお前と戦えなかったらどのみち俺はアマテラス様に殺されてしまう……。」


そして、懇願するように紬に向けて言う。


「なあ、だからさ、紬。俺を殺してくれよ。お前を殺すくらいなら俺はお前に殺されたいよ。無茶なのはわかってる。でも、頼むよっ!!」


涙が浮かんでいるが、決意に満ちたその目をじっと見つめ、紬は辛そうな表情ながらも雷の剣を構える。


「……ありがとう、親友。」


凌一はそう呟き、自らも剣を構えて紬の方へとブースターを吹かす。紬もそれに相対し彼へと迫る。


あと数秒。それで紬が凌一を斬りつける。紬は断腸の思い。涙は絶え間なくこぼれ、歯をくいしばり、剣は柄が潰れそうなほど強く握られている。凌一は自分に向かってくる親友の姿を目に焼きつけながら、満足そうに小さく微笑みを浮かべている。

紬がいっそう大きく剣を振り上げ、凌一に肉薄する。

剣が、振り下ろされる。

その時──


「天ノ御柱(アメノミハシラ)


ドスッと重い音を立てて、凌一の体のど真ん中が白い柱に貫かれる。

声にならない叫びを上げてヴィトレイヤーの推力を落とす凌一を、紬は慌てて抱きとめる。


「凌一っ!!!」


口から血を零しながら、焦点の合っていない目で紬を見つめ、凌一は息も絶え絶えに呟く。


「つ……むぎ……。」


そして、その目は閉じ、凌一の体から力が抜けた。


「あ…ああっ…。ああああああああああああっ!!!」


紬の慟哭が戦場に響く。それをあざ笑うように、上の方から、彼を見下すように声がかかる。



「敵を倒せぬ軟弱者は不要じゃ。」


守護隊の猛攻を軽くあしらいながら、アマテラスが紬に目を向けてそう呟く。



「アマテラスッ……。よくもっ……!」


紬はギリッと歯を食いしばり、友の敵(かみ)を見つめた。





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