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薔薇と剣と、あなたのこと――ある宮廷の恋  作者: Kentarou Tou


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第九話「王太子の言葉」


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王太子が、レオンを呼んだ。


レオンは、一人で王太子の部屋へ行った。


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「座れ」と王太子は言った。


レオンは座った。


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「モンクレールの令嬢のことだが」と王太子は言った。


「はい」


「良い娘だ」と王太子は言った。「最初に会った時から、そう思っていた。宮廷に慣れない様子でいながら、芯がある」


「そうです」とレオンは言った。


「お前は、どうするつもりだ」


「正式に、申し込むつもりです」とレオンは言った。「父の件が片付いたら」


「片付いた」と王太子は言った。


「殿下が動いてくださったと聞きました」


「そのくらいのことは、するよ」と王太子は言った。「十年も傍にいる男の父親が、困っているのを放っておけない」


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レオンは、王太子を見た。


「ありがとうございます」と言った。


「礼はいらない」と王太子は言った。「ただ、一つだけ言っておく」


「何でしょう」


「幸せになれ」と王太子は言った。「宮廷にいると、それを忘れる者が多い。お前は忘れるな」


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レオンは少しの間、王太子を見た。


「殿下こそ」と言った。


王太子は、少し苦く笑った。


「俺は、難しいがな」と言った。


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レオンは、部屋を出た。


廊下を歩いた。


庭園へ向かった。


エルネスティーヌが、いつもの薔薇の小道にいた。


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(第九話 了)


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