表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薔薇と剣と、あなたのこと――ある宮廷の恋  作者: Kentarou Tou


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
10/10

第十話「薔薇の小道で」


---


薔薇が、また咲いていた。


一年が、巡っていた。


---


エルネスティーヌは、薔薇の小道にいた。


レオンが来た。


---


「話があります」とレオンは言った。


「聞きます」とエルネスティーヌは言った。


「正式に、申し込みたいのですが」とレオンは言った。


「申し込みとは」


「結婚の申し込みです」とレオンは言った。「不器用なので、直接言います。俺の妻になってください」


---


エルネスティーヌは、レオンを見た。


「不器用ですね」と言った。


「そう言われます」


「薔薇の一本も持ってこなかったんですか」とエルネスティーヌは言った。


「……忘れました」とレオンは言った。


「薔薇の小道に立っているのに」


「気が動転していました」


---


エルネスティーヌは、小道の薔薇を一本、手折った。


レオンに渡した。


「どうぞ」と言った。


レオンは、薔薇を受け取った。


「……ありがとうございます」と言った。


---


「はい」とエルネスティーヌは言った。


「はい?」


「返事です。はい、と言いました」


「聞き逃しました、もう一度」


「聞き逃していません」とエルネスティーヌは言った。「はい、です」


---


レオンは、エルネスティーヌを見た。


灰色の目が、静かに温かかった。


---


「良かった」とレオンは言った。


「良かったですね」とエルネスティーヌは言った。


---


薔薇が、風に揺れた。


赤かった。


鮮やかだった。


---


宮廷は、今日も動いていた。


噂があり、陰謀があり、華やかさと影が入り混じっていた。


しかし薔薇の小道には、二人がいた。


---


それで、十分だった。


---


(第十話 了)


---


# 薔薇と剣と、あなたのこと――ある宮廷の恋 完


---


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ