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第四話「王太子のこと」
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王太子が、エルネスティーヌに声をかけたのは、その週の終わりだった。
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宴の席だった。
王太子は、二十二歳だった。
美しい顔をしていた。
しかし、その目に、疲れがあった。
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「モンクレール伯爵家のご令嬢ですね」と王太子は言った。
「はい、殿下」とエルネスティーヌは答えた。
「宮廷には慣れましたか」
「まだ慣れておりません」
「そうですか」と王太子は言った。「慣れないうちが、純粋でよいのかもしれません」
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王太子は、しばらくエルネスティーヌを見た。
それから、レオンを見た。
レオンは、少し離れた場所に立っていた。
近衛として、王太子を警護していた。
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「レオンとは、仲良くなりましたか」と王太子は言った。
エルネスティーヌは、少し驚いた。
「散歩でお会いする程度です」と言った。
「そうですか」と王太子は言った。「あれは良い男ですよ。不器用ですが」
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宴が続いた。
エルネスティーヌは、王太子との会話を終えた後、レオンの方を見た。
レオンも、こちらを見ていた。
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目が合った。
レオンは、すぐに視線を外した。
職務に戻った。
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不器用、と王太子は言った。
その言葉の意味を、エルネスティーヌは考えた。
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(第四話 了)
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