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第21話 友人です

レイが前に出た。


「殿下」


王子がレイを見た。


「貴様、何者だ」


「私はレイだ」


「は?」


王子がレイをじっと見た。


そして、わずかに表情が動いた。


レイの体格が自分と同じくらいだったからだ。


王子の目に不快な色が滲んだ。


しかし、レイは構わず続けた。


「彼女は何もしていないだろう」


「なぜペットにする?友になればよいだろう」


「は?」


「彼女が獣人だから、というのは理由にならない」


「人種で扱いが変わるのはおかしい」


王子の顔がさらに赤くなった。


「貴様、王族の前で何を言っているのかわかっているのか」


「事実を伝えただけだ」


レイの声は淡々としていた。


しかし、王子の怒りはもう抑えきれなかった。


「貴様らをまとめて捕らえろ」


取り巻きが一斉に動いた。


レイ、フェリク、アシェが囲まれた。


アシェの腕が強く掴まれた。


「いや——」


アシェが初めて声を出した。


フェリクが必死に抵抗した。


しかし、大人の力には敵わなかった。


地面に押さえつけられた。


レイが剣に手をかけた。


しかし、周囲は王子の取り巻きだらけだった。


ここで剣を抜けば、本当に殺される。


それも、レイ一人ではない。


フェリクも、アシェも、巻き込まれる。


レイの手が剣の柄で止まった。


その時。


フェリクが地面に押さえつけられたまま、アシェに目を向けた。


少しだけ、近かった。


小声で囁いた。


「アシェ」


アシェがフェリクを見た。


「あそこの兵隊、俺が抑えるから」


「アシェはその横を抜けて走るんだ」


「南西に走り続ければスラムがある」


「そこまで逃げれば、助かるかもしれない」


アシェが震える声で言った。


「フェリクはどうするのよ」


フェリクが目を背けた。


「俺はいい」


「素性も知れてるしどうにもならない」


「俺の家の名前で男爵家を巻き込めばいい。それで助かる」


「だから、ここはアシェだけでも、逃げてくれ」


「早くしないと、急いで」


アシェがフェリクをじっと見た。

男爵の名前でどうにかなるほど今の状況はよくないことはアシェでも分かった。


言葉が出なかった。


ダルゴアではフェリクは逃げた。


その時、アシェはフェリクを責めなかった。


貴族としてあたりまえのことだと思ったから。


そんなフェリクが。


今、自分のために、必死に命を投げ出そうとしている。


アシェの目から、涙が溢れた。


「フェリク……」


言葉は続かなかった。


レイの目がわずかに細くなった。


王子が近づいてきた。


ナイフを自ら拾い上げた。


「貴様らに王族に逆らった代償を見せてやる」


ナイフをアシェに向けた。


王子が振り上げた瞬間。


レイの身体が動いた。

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