第29話 出陣 その2
(バニヤ軍の秘密を漸く掴んだぞ!!)
ラミューズはボートのエンジンを吹かし最高速度で鎮守府に近付いてゆく。
(あの兵士だ。あの兵士が石礫で沈めたのだ。しかし唯の石礫で女神の涙で塗装された軍艦を沈めるには一体どれだけの力と速度が必要になる………?)
(ってゆかんゆかん。そんな事は今考える事じゃない。奴さえ討ち取ればテルバニヤみたいな小国は簡単に落とせる。奴今はを討ち取る事だけを考えろ。)
ラミューズは余計な事を考えるも直ぐに切り替え鎮守府に接近する。
奴を放っておけば被害が拡大する。
小さなボートとはゆえ、接近してくるものがあれば嫌でも目立つ。
肉松はボートに向かって投石する。
投石された瞬間、ラミューズはその場で大きく跳び上がりハンドガンをボートに向かって構えて撃った。
ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン
ボートは木っ端微塵に爆発しその爆風を利用し上手く鎮守府まで飛んでゆき着地し肉松と対面した。
「Whrely, damturgen ivës paxya……」
「………?」
テルバニヤとパロネアでは公用語が違う為ラミューズのゆってる事が一瞬分からなかったが、直ぐに天恵で言語を理解した。
「Nefiy atticomy, vacim emëlehlydakii derh omnes benosiii ghàhid acricömlãps voñup jët?」
『まぁいい、この前送り込んだ26隻の艦隊全てを沈めたのはお前だな?』
「Leh.」
『そうだ。』
肉松とラミューズの二人は睨み合う。
それぞれ石とハンドガンを手に取り臨戦態勢に入る。
ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン
刹那の睨み合いの後、軍艦の砲撃を合図にお互い攻撃を仕掛けた。
パァン
ピンッ
ラミューズはハンドガンの引き金を引き肉松は小石を弾いた。
ヒュゥンッ
ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン
弾は肉松に直撃し着弾と同時に大きな爆発を引き起こした。
石はラミューズが間一髪躱したが、凄まじい速度で飛んでいった石はソニックブームを引き起こしその衝撃でラミューズは吹き飛ばされた。
「ぐわぁッ」
吹っ飛ばされたものの直ぐに立ち上がり態勢を立て直した。
(何て速さだ。石が全く見えなかったぞ……)
ラミューズは動体視力が優れておりハンドガンの弾が飛んでゆく様を何とか見える程に鍛えられている。
しかし今の投石はラミューズの動体視力を以てしても全く見えなかった。
肉松の指の動きを注視していたお陰で直撃は免れたのである。
ソニックブームの威力は凄まじく思った以上にダメージを喰らってしまったが、肉松は弾丸と爆発を直撃している。勝負はついたと思われていたが煙が晴れた光景を見てラミューズは目を疑った。
そこには怪我一つなく立っている肉松がいたのである。
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ドン!ドン!ドン!
ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン
肉松とラミューズが戦ってる中、鎮守府の海兵達は軍艦との砲撃合戦をしている。
(今勇者殿と戦っている奴は……ええと……勇聖天のラミューズか?)
顔に包帯を巻いているせいで確信は持てないがその装いはパロネア軍の中でも高官である事は間違いない。
「提督、勇者殿が戦っておられますが如何致しましょうか!」
腕に覚えのある海兵数名が肉松の助太刀に入ろうとするがタンビエンは首を横に振った。
「その必要はない。今は軍艦からの攻撃を喰い止める事に全力を注げ。」
タンビエンは肉松の実力に全幅の信頼を寄せているので相手が六聖天であろうとも肉松が負ける可能性などこれっぽっちも考えていなかった。
ドン!ドン!ドン!
ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン
敵船の執拗な攻撃に折角修繕したばかりの鎮守府はまたしても壊れてゆく。
「おのれパロネア軍め、よくも我々の鎮守府を……許さんぞ!」
海兵の一人が魔力の充填を完了させ魔術を解き放つ。
「喰らえッ![FVLMEN]!」
凄まじい雷が軍艦を襲った。
その威力は絶大で軍艦を護る魔術結界を一撃で破壊してしまった。
そして更に別の海兵も魔力の充填を完了させ魔術を解き放つ。
「[GHIACCIO MISSILE] 」
巨大な氷の塊が大量に敵船に向かって飛んでゆく。
ドゴッ
(やはり、女神の涙で塗装された軍艦には傷一つ付けられんか………)
勿論敵船を沈められない事は分かりきっていた。
提督の狙いは別にあった。
ドゴンッ
ザッパァァァァァァァァァァァァン
氷塊をぶつけた事により船体は揺れ乗組員はバランスを崩す。
そして船体が揺れる事により照準が定まらず砲撃の精度が下がる。
こうして鎮守府への被害を最小限にしつつ肉晴が戦いに勝つのを待った。




