第26話 晩酌
アトラスは新入りの8人全員に公邸を案内しそれぞれの部屋の鍵を渡した。
「なんちゅうか……随分さ賑やかになったっぺな……」
リビングのソファに腰掛け総帥から貰った資料を改めて確認する。
「そったらすても、女神の涙で塗装された艦隊全て沈められるとは信じられんだで………」
資料を全て読み返してみてもバニヤ軍がどのようにしてコーティング船を沈めたのか、その情報は載ってなかった。
分かってる事は件の侵攻で生還できた兵士はごく僅かな事、艦隊はバニヤ軍の攻撃で撃沈した事、生還した兵士は船内の清掃や武器の手入れ等をしておりどのようにしてコーティング船を沈めたのか見ていなかった事。
「そもそもこれおかしな話だで、敵と戦争してる最中なして戦闘に加わらず武器の手入れなり清掃なりやってただでか?そったら事戦いが終わった後いくらでもやりゃよいべ。」
アトラスは資料に疑問を覚えたがこの一件は総帥がラミューズに一任したのでこれ以上考えるのは止めにした。
「あら、新入りの案内はもう終わったの?」
ルジェリカがビールを持って隣に座ってきた。
「今から、呑むつもりですか?」
「そうよ、アンタも付き合いなさいよ。」
「いえ、私は夕飯の支度がありますので。」
姫聖天を軽くあしらい厨房へ入った。
「なによ、つまんない男ね。」
姫聖天は一人で晩酌し始めた。
アトラスは野菜室にさつまいもがあるのを見て早速調理を始めた。
コトンッ
「おつまみもなしにビール呑んでもしょうがないでしょう?これでもつまんどいて下さい。」
アトラスはルジェリカに大学芋のおつまみを作っていたのだった。
「アラー気が利くじゃないの」
ルジェリカは早速大学芋を一つ食べてみる。
「んーこれはゆけるわねー。ビールが進む進む」
ルジェリカはおつまみが止まらなくなったようだ。
「しかし、こうして見ると姫聖天殿完全におっさんですねぇ。昔からこんなキャラでしたっけ?」
アトラスはルジェリカとはそこまで長い付き合いではないが、アトラスの記憶によるとルジェリカはもっと冷酷で冷徹、そして品のある人だと認識していた。
酒を呑んでる所も何度か目にした事はあるものの酔い潰れるまで呑んでも最低限の品位は感じ取れていた。
しかし目の前にいるのは完全に唯のおっさんである。ビール呑みつまみを食べるその姿からは品位など微塵も感じられない。
「おっはんで悪かったわね、どうせあたしは若くないですお〜だ。」
余程大学芋が美味しかったのか頬張って喉に詰め胸を叩きながらビールで流し込んだ。
「ゲプゥアトラスアンタアタヒが前までは上品な女だったのにって思ってうでひょ?人間とひを取れば皆こぅなんのよ。アタヒらってもう若くないんだから。ババアよババア、まだまだ若いって思っへたけろ歳には勝てまへんわゲプゥ」
ルジェリカは酒のせいか饒舌になっていた。
「あへ?もうビールも芋もなくなっひゃった」
アトラスは空になったお皿をキッチンに持ってゆき夕食の支度を始めた。
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「ただいま。」
暫くすると打ち合わせからラミューズが帰ってきた。
既に夕食は出来上がっており全員揃っていた。
しかしここで問題が一つ。
「あの、オレ達は何処で食べればよいのでしょうか。」
食卓を囲む椅子の数は6つ。全員で食べるには椅子が後5つ足りない。
「あ〜完全に失念してたよ。椅子はまた用意してもらおう。それまでの間5人はリビングで食べてくれ。机はちと低いがソファは座り心地よいからな。」
ロッソ、アズーロ、ドラート、ビアンコ、ネロの5人はリビングにて食事を摂る事になった。
「それじゃ、全ての食材に感謝を。」
「「「いただきます!」」」
アトラスが作った食事を皆美味しそうに食べるのであった。




