第25話 Stigma elf
「と、ゆう訳で長らく空席でありました六聖天の椅子もこれで漸く埋まりました。それでは六聖天の皆様に皇帝陛下より直々の任務を「待て待て待て!」
「ちょっと待って下さい総帥殿、六聖天の空席は3つです。まさか8人全員六聖天に入れるつもりですか!?」
ラミューズのゆう通り六聖天の席は6つ、既にいる3人と合わせると11人になる。これでは六聖天ではなく十一聖天になってしまう。
「問題は、そこなのですよね。六聖天の席は6つ、今回猊下より出向とゆう形で送られてきた一等護衛官は8人。席の数が何度数えても足りない……」
「であれば席を増やせばよいのです。今日この時を以て組織の名前を六聖天から十一の聖痕へと変更します!」
(((えぇぇ………)))
あまりにも強引に物事を決める新総帥に動揺を隠しきれない3人であったが戦力は多いに越した事はないので取り敢えず納得した。
「そ、それで私達が招集された理由は?次は何処と戦争を始めるのですか?」
ラミューズの問にチャムパは机の上にズラッと書類を並べた。
「順を追って説明しましょう。先日、テルバニヤを攻め落とすべくジアプス海軍基地より艦隊を送り込みました。」
「この侵攻に関しましてはアルベロ代将の独断であり我々パロネア軍本部はテルバニヤへの侵攻はもう少し様子を見てから司令を下すつもりでありました。今侵攻しては周辺各国や世界平和連合機関などから非難される事は明らかです。」
「まぁ、その話は一旦置いておきましょう。話の肝はそこにはございませんので。アルベロ代将は26隻もの軍艦を率いてテルバニヤへ侵攻しました。しかしその結果はバニヤ軍に惨敗を喫しました。」
「女神の涙でコーティングされた戦艦26隻全てがスピタナ湖の底に沈んだのです。これは只事ではございません。女神の涙でコーティングされた戦艦が沈められるなど本来あり得ないことです。」
総帥の話を聞き入っていた六聖天改め十一の聖痕は如何に事態が深刻なのかを読み取った。
女神の涙で塗装された軍艦を沈める事などこの場にいる者は誰一人として出来ない、パロネア軍最高戦力と名高い十一の聖痕ですら全力でやっても小さな傷をつけるのが精一杯なのである。
「………つまり、テルバニヤは女神の涙で塗装された戦艦すら沈めてしまう戦力を有していると。とはゆえ、これだけでは情報不足ですね。」
ラミューズのゆう通り如何なる手段を用いて艦隊を沈めたのかの情報がない。
その手段が兵器なのか人なのか、人であれば大人数か少人数かそれとも単体か。それとも解明されていない女神の涙の弱点を見抜いたのか。
ラミューズは考えを巡らせる。
(例えば兵器だとして、その兵器はレーザーのようなものだと仮定すれば……凄まじい出力さえあればコーティング船を焼き払う事も可能か…?テルバニヤは小国とはゆえ化石燃料が沢山取れる国、エネルギーには困らない。もし兵器によるものだとしたら一番やりやすい。そんな高出力のレーザーであれば固定砲のような小回りの効かない兵器である可能性が高い。私が単身で乗り込んで破壊すればよいだけ。)
「とはゆえせっかくジアプスの基地に軍艦を送り込み侵攻の準備を整えておりましたがこれではパロネア軍の沽券に関わります。バニヤ軍の鎮守府も襲撃を受けてまだ復興途中の筈、攻め込むには今しかありません。」
(例えば人だとして、大人数であれ少人数であれ26隻ものコーティング船を沈めるなど相当の手練に違いない。しかも我々六聖天を越える程だ。しかし我々を越える実力者が早々いてたまるものか。)
「我々パロネア軍はもう一度バニヤ軍の鎮守府を軍艦を率いて襲撃します。そこで六聖天改め十一の聖痕の誰かに指揮を執ってもらいたいのです。ここは新入りの8人よりも古参の3人の中の誰かが適任かと思います。」
(やはり超高出力のレーザーのような兵器か、女神の涙のまだ見ぬ弱点を見抜いたかのどちらかであろうな。)
「………とゆう訳で勇聖天殿に軍艦に搭乗して侵攻して貰いたいのです。」
「えッ!?」
ラミューズはテルバニヤの戦力について分析しており総帥の話を聞いていなかった。
「勇聖天殿?ひょっとして話を聞いておられませんでしたかな?」
「いッ、いえいえいえとんでもございません。テルバニヤに乗り込めばよいのですね?分かっておりますとも。直ぐに準備をッ!!」
(これは丁度よい、バニヤ軍がどんな手法でコーティング船を沈めたか知るにはよい機会だ。)
ラミューズは話を聞いてなかった事を咄嗟に出陣の意欲を示して誤魔化した。
「おぉ、これは心強い。バニヤ軍を滅ぼす気マンマン、とゆう訳でごさいますな。お願いしますよ。」
ラミューズ以外の10人は公邸に帰りラミューズは出陣するにあたりパロネア海軍との打ち合わせに向かった。




