第22話 連邦海軍艦隊 その2
「よし、一隻撃沈だ。」
肉松が喜んだのも束の間、味方の船が沈められたパロネア海軍の砲撃は激しくなってゆく。
ドン!ドン!ドン!
ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァン
一隻沈めた所で焼け石に水、まだ敵船は25隻もあるのだ。
「提督、敵船の砲撃が激しくなってきました!このままでは軍艦も鎮守府も持ちませんッ!!」
「取り乱すな!よいか、我々には勇者殿が付いている。勇者殿の攻撃であれば敵船の魔術結界も女神の涙のコーティングも貫通して撃沈できる。それまで敵船からの攻撃被害を最小限に止めよ!」
タンビエンは無線機を使って戦艦、潜水艦、鎮守府の砲撃隊に指令を送った。
「勇者殿は敵船を一隻づつ確実に沈めていってくだされ。我々はそれまで何とか持ち堪えて見せます。」
そうゆうタンビエンの目は歴戦の戦人の目をしていた。
(勇者殿がふるぱっちゅばい血が滾るみぁ。こげな絶望的ば状況い何年ぶりっちゅわか。)
肉松が敵船を殲滅するまで何としてでも鎮守府を守り抜く、言葉で表すと簡単だが現実はそう容易くない。
敵軍司令官も女神の涙でコーティングされた戦艦が撃沈させられただ事ではないと悟ったのか本気で潰しに掛かってきた。
ドン!ドン!ドン!
ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン
砲撃のみならず魔術師団も攻撃に参加しだした。
攻撃はより一層激しくなる。
勿論鎮守府も黙って砲撃を受ける訳ではない。
敵船からの砲撃のタイミングを見計らい船底目掛けて砲撃する。
当然普通に撃っても魔術結界に阻まれるが砲撃で波を起こす事により敵船の砲撃の照準を合わなくさせ被害を最小限に食い留めていた。
その隙に肉松が小石をじゃんじゃん投げて敵船を一隻づつ確実に沈めていった。
敵船が減れば減るほど攻撃の手は緩くなり時間が経てば経つほどバニヤ海軍が優勢になっていった。
全ての敵船を沈めこの戦いはバニヤ軍の勝利に終わった。
とはゆえ犠牲が出なかった訳ではない。
パロネア海軍の激しい猛攻により鎮守府の海兵18名が殉職、111名が負傷、潜水艦三隻撃沈、軍艦一隻撃沈、一隻大破、鎮守府本丸も大きく損傷するとゆう被害を残した。
(こうでしあらくにゃパロネア軍まこうちくうわそまへんらっしゃろ。ばっけんどこれしきであぱじゆなふちゃっぽどパロネア軍ばそるけんてなか。)
(取り急ぎ本丸ば立て直しけん、軍艦と潜水艦も拵えてもらわにゃにゃらんばい。)
タンビエンは勝利に安心する事なく次の侵攻の対策を考え始めていた。
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連邦海軍艦隊撃破の情報は直ぐに軍務大臣の耳にも届いた。
「閣下、報告します!鎮守府に攻め込んできた連邦海軍艦隊ですが、鎮守府の海兵達の活躍により全てを撃沈いたしました!」
そうゆってオムルトンの机に鎮守府から送られてきた被害状況を記した電報の報告書を置いた。
「本当に………アベレイ殿の仰った通りになったな。しかし、これは……」
オムルトンは電報に目を通すと目頭を押さえため息をついた。
「被害がでかすぎるな………死者18名、負傷者111名、その内復帰に1ヶ月以上掛かりそうな者が82名か……これでは鎮守府としての役割が果たせんではないか………」
「しかし閣下、26隻もの連邦海軍艦隊を相手にこの程度の被害で喰い止められたのは奇跡としかゆえません。やはりタンビエン少将の指揮と勇者殿の力量のお陰でしょうか。」
「そうだな。パロネア軍の軍艦は皆女神の涙でコーティングしている。並大抵の攻撃では傷一つ付けられない。それを撃沈したとなるとやはり勇者殿の力量のお陰か………」
「しかし喜んでばかりではいられない。鎮守府の守りがガタガタになった今、パロネア軍は再び侵攻してくるかもしれない。直ぐに鎮守府を立て直し兵の穴埋めをせねばなるまい。パロネア軍はこの程度の被害で諦めたりはしない。今回の侵攻は序章に過ぎない。寧ろこれからが本格的な戦争の始まりだ。」
これから始まるであろうパロネア軍との本格的な戦争に軍務卿は目頭を押さえため息をついた。




