第18話 紅茶
一パロネア領ジアプス一
一パロネア海軍基地一
カツン……カツン……
コンコンコン
「閣下、アルベロ代将閣下、私です。紅茶をお持ちいたしました。」
「………その声はジェイダム軍曹か、入れ。」
ガチャリ
「閣下、本日のお紅茶はこのジアプス原産の高級茶葉にステラサーペントとゆう主生物の毒を混ぜて作られた現地民の貴族や王族ですら滅多に飲むことができない最高級のお紅茶でございます。」
「毒ゥ!?おいおい私にそんな物を飲ませようとするな!提督の座を露骨に奪いに来よったな!」
「いえいえ閣下、それは誤解にございます。ステラサーペントの毒は非常に強力で人間であれば0.001mgでも体内に入れば即死するとゆう極めて毒性の強いモノでございますがそれは傷口から入った時のみでございます。経口摂取する分に関しましては全く問題ございませんので安心してお飲み下さい。」
幾ら大丈夫とゆわれても毒が入ってる紅茶を飲む気にはなれない。
「そんな紅茶下げろ!ったく王族や貴族ですら滅多に飲めないんじゃなくて毒があるから誰も飲もうとしないんだろ。」
紅茶を下げるよう命じたその時、紅茶の香りがアルベロの鼻に届いた。
(何だ……?この香り、紅茶か……?いや、しかし……)
(私はこの方世界中のあらゆる紅茶を飲んできたゆわば紅茶マイスター。色んな紅茶の香りを嗅いできたこの私がまるで嗅いだ事のない香りだ……)
毒が入ってると聞かされて飲む気が失せていたが、この香りを嗅いだ事により紅茶を愛する者として飲んでみたいとゆう思いに変わった。
「待て軍曹………本当に飲んでも死なんのだな?」
「飲む気になられましたか?閣下。」
「うるさい!質問に答えろ!本当にその紅茶は飲んでも大丈夫なんだな?」
「はい。ステラサーペントの毒は経口摂取であれば問題ありません。ただ虫歯や口内炎があるとそこから毒が体に回ります。今閣下は虫歯も口内炎もありませんよね?」
「あぁ……ない。」
「では、飲んでも問題ありません。」
「………よこせ。」
ジェイダムは笑顔で紅茶を提督の席に置いた。
アルベロは先ずは紅茶の香りを楽しんだ。
(やはり、嗅いだ事のない香りだ………この香りは茶葉か?それとも毒か?)
アルベロは更に紅茶に顔を近づけ大きく息を吸い込んだ。
(とても……よい香りだ。ずっと嗅ぎ続けていたい……)
「閣下、早くお飲みにならなければお紅茶、冷めてしまわれますよ。」
「分かっとる!今飲む所だ。」
アルベロは意を決しカップを手に取り一口飲み込んだ。
「ッ!!?」
(こッ、これはッ!この紅茶はッ!!)
提督はカップを置き額からは大粒の汗を搔き瞳孔を開いて椅子から転げ落ち床を転げ回る。
「閣下!?どうされたのですか閣下!?」
ジェイダムは直ぐに提督に駆け寄り状態を確認する。
(まさか、毒が!?いやそんな筈は……)
(いや、閣下すら知らない内に口内炎が出来ていたとしたら!)
ジェイダムはアルベロの口をあけ口内を確認する。
(虫歯も口内炎もない。ならば何故閣下は……)
「ウォアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
「ッ!!閣下!しっかりして下さい!閣下!」
状態確認などしてる暇はない。
原因は分からない以上直ぐに医療班を呼ぶべきと判断し呼ぼうとしたその時
「ウォアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア………ハァッ……ハァッ……」
床でのたうち回っていたアルベロが起き上がり目をパチパチさせる。
「閣下!?大丈夫ですか閣下!?」
「………美味い!美味いぞこの紅茶!」
ズルッ
ドシィィィィン
なんと余りにも美味しい紅茶を飲んだアルベロのリアクションだった。
しょうもないオチにジェイダムはギャグ漫画の如くずっこけた。
「閣下、紛らわしいリアクションはやめてください。死んだかと思いましたよ。」
「いや〜すまんすまん。紅茶マイスターのこの私が飲んだことのない味だったもんだから。」
「そんな事より、ただ紅茶を持ってきた訳じゃないんだろ。報告を聞かせてくれ。」
アルベロは椅子に座り直し再びカップを手に取り紅茶を啜る。
「はい、先日バニヤ軍鎮守府を偵察にゆかせた軍艦ですが、撃沈されました。」
ブフゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
アルベロは飲んでいた紅茶を勢いよく噴き出した。
「何するんですか閣下、紅茶を噴き出すなんて軍服が汚れてしまったではありませんか。」
「ケホッ、ケホッ、軍艦が撃沈されただと!?」
ガリッ
「いへええええええええええ」
報告の内容が衝撃的すぎて飲んでた紅茶は噴き出し舌を噛んでしまう始末。
「いへぇ、ひのあいがふう……」
(痛てぇ、血の味がする……)
(ん?待てよ、血の味がするとゆう事は………)
血の味がするとゆう事は舌を怪我したとゆう事である。
紅茶を噴き出したとはゆえその余韻はまだ残っている。
ガクッ
傷口から紅茶の毒が侵入し提督は倒れてしまった。
「そんな!しっかりしてください!閣下!!」
ジェイダムが必死に呼び掛けるもその声は提督に届かず命を落とした。
「閣下!閣下!閣下ァァァァァァァァァァァァァッ!!!」
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「ブハァッ!ハァッ……ハァッ……」
「………何だ夢か。よかったぁ。あーやな夢みた。」
外はまだ暗い、深夜のようだ。
夢オチ、まさかの夢オチ。
これまでのやり取りはまさかの夢だった。
「もう一眠りするか……」
アルベロは再びベットに入り眠りについた。




