第15話 鎮守府
翌日、朝食を食べ終え鍛錬の為に闘技場へ向かおうとする肉松にメローニャが話しかける。
「どうしたのですか姫様、思い詰めたような表情をしてますけど。」
「あっ、勇者様……実は………」
メローニャは意を決して昨日の議会で肉松を戦線へ出す事が決まってしまった事を伝えた。
「……………そうですか、遂にオイラの出番が回って来たのですか……」
「すみません勇者様、議会では私や国王も反対したのですが、多数決で法案が通ってしまいました。最早私に止める事はできません……」
メローニャは自分の無力感に苛まれ瞳に薄っすら涙を浮かべながら肉松に頭を下げる。
そんなメローニャに肉松は不思議そうな表情を浮かべこう問いかけた。
「………何故謝るのですか?オイラはこの為にこの世界に呼ばれたのでしょう?」
肉松は戦争となった時、この絶望的な状況を打開すべくメローニャが禁書を使い呼び出した。
故に肉松は己が役目を理解しており、いつ出陣するのかと心待ちにしていた。
「しッ、しかし勇者様、相手はあの世界最強のパロネア軍です!異次元世界よりいらっしゃった勇者様はパロネア軍の恐ろしさご存知ないかもしれませんがパロネア軍は陸海空軍全てにおいて世界一の軍事力を誇る連邦帝国なのです。全盛期に比べるとかなり勢いは落としているものの、兵士や兵器の数でもテルバニヤを大きく上回ります。戦争とゆうのは兵器や兵士の数で決まります。幾ら勇者様が一騎当千の実力があるとゆえど、まだ訓練途中の勇者様を戦線へ送り出してしまえば……」
そこまで聞くと肉松はメローニャの肩に手を置き
「大丈夫ですよ。オイラの強さは姫様もご存知でしょう。パロネアが世界最強だとしてもオイラはその上をゆきますから。出撃要請、きっちりと果たしてきますから姫様は安心してオイラの帰陣を待っててくださいよ。」
肉松はそうゆって自室へと戻っていった。
翌日、朝食を摂り終えた肉松の元に早速一台の車がやって来た。
「………随分と、早いのですね。」
「急を、要しますから。」
昨日メローニャから戦線へ送られる話は聞いていたが具体的な日にちまでは聞いておらず、まさか今日戦線へ送られる事になるとは思ってもいなかった。
「勇者様……」
後ろにはメローニャが立っていた。
見送りに来たのだろう。
「そんな悲しそうな顔をしないで下さいよ。別に、今生の別れって訳じゃないんでしょう?」
「そッ、それは勿論です!パロネア軍の侵攻が落ち着けばまたこの王宮へ戻ってこられます。ですからどうか、どうかそれまで……」
一どうかご無事で一
その一言がどうしてもゆえなかった。
自分達の都合でこの国に呼び出しておきながらどの口がそんな台詞を吐けようか。
肉松はメローニャに一礼して車に乗り込んだ。
肉松が乗り込むと車は直ぐに出発しあっとゆう間に見えなくなった。
車が見えなくなってもメローニャは車が走り去った方向をずっと見続け心の内で肉松の無事を祈っていたのである。
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車に揺られる事数時間後
車は漸く止まりドアが開いた。
肉松は車から降りる。
「勇者様、ここがバニヤ軍の鎮守府です。」
スピタナ湖のすぐそばに建設された鎮守府
最近できたばかりの鎮守府は歴史あるテルバニヤ城とは対照的に近代的な雰囲気を醸し出していた。
「あれ………?おかしいな………」
兵士は辺りをキョロキョロ見渡している。
まるで何かを探しているようだ。
「……?どうしました?」
「本日勇者様をこちらの鎮守府に配属するにあたり、提督が出迎える手筈になっていたのですが……」
「………居ませんね……全く仕方のない人だ。勇者様、このまま司令室まで案内します。出迎えもなく申し訳ありません。」
肉松は兵士の後を歩き鎮守府に入っていった。
鎮守府はかなり広く司令室に辿り着くまでにまぁまぁ時間が掛かった。
コンコンコン
「提督!勇者様がご到着されました!」
…………………………
中から返事は返ってこなかった。
「提督!入りますよ!」
ガチャリ
「提督!あれ?いない……」
中には誰も居なかった。
「一体何処に……あっ!」
机の上には山のように積み上がった書類があった。
「全然進んでへんやないか……………勇者様申し訳ありません。提督を呼んで参りますのでお待ち下さい。」
そうゆって兵士は肉松を司令室に残して飛び出していった。
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