第8話 あなたは!?
監視カメラの映像を手に入れる作戦を実行できず1週間が経ったころというもの、あの男の事が頭から離れず玲於奈が心配でならない。
1人でこの作戦は難しいだろう、まず誰か協力者が欲しいところだが平本は真面目だから断ると思うし.....
考えたところで陰キャの俺だぞ友達が居ないことなんて考えても分かるんだが。
◆ ◆ ◆
玲於奈と行きつけの店カフェ・ジャガーの前を通った時、胸の中が空っぽになるような喪失感がした。
最近のデートでは来てないなー。
1ヶ月前は毎日のようにここで話してチョコケーキ食べての幸せな日々を過ごしていたのに、今では玲於奈との間に大きな隙間が空いてしまって自分が幸せなのかすら分からなくなってきてる。
遠くからどこかで聞いた事のある声がする。
「あれ? 君は..... この前はバス停を教えてくれてありがとう! 私の事覚えてるかな?」
「あ!はい!この前はどうもー!」
自分でも分からないくらい謎に喜び過ぎて声が裏返ってしまっていた。
「お、覚えてます!まさかまた会えると思ってなかったです!綺麗ですね!お洒落で素敵で素晴らしいですね!」
久しぶりに会えて動揺しているのか頭の中で思っていることをどんどん口に出していた。
スーツ姿なのに「お洒落で素敵で素晴らしいですね!」とか意味の分からないことも言っちゃうし俺は一体どうしたんだろう。
「どうしたの?なんか興奮してるみたいだけど」
The大人の綺麗な女性は不思議そうに聞いてきた。
「興奮してないですよ!驚いてるだけです!」
顔を真っ赤にして弁解はするがこの動揺してる理由はもしかしたらバレている可能性も...
「そんなに顔真っ赤にして可愛いわね」
「いや..... あ..... え..... っと..... あ!そうだ!!」
恥ずかしくなって段々と声が出なくなっていたその時、前回バスの時にこの女性が落としたハンカチを大事にリュックにしまってあるのを思い出した。
「このハンカチって..... ?」
もしかしたら最初から置いてあった落し物なのかもしれないというのも頭に過っていた。
「あ!私の!な、なんで持ってるの!?」
「バスの時、バス停について降りる寸前に気づいたので渡せなくて..... ごめんなさい。」
「なんで謝るの?大事に持っててくれてありがとう!母から貰った大切なハンカチだったの」
「落し物でバスの運転手に渡した方が良かったのかとも思って。でも!渡せてよかったです!」
「優しいんだね!お礼と言ったらあれかもだけどコーヒーでも飲んでいかない?」
「え!?いいんですか!?」
玲於奈には他の男と2人でご飯はダメだし連絡もとるな話すなと言っていた俺はどこにやら。




