少年は出会わない
暑い夏。汗をかいても気にならなかった。
「――ボーイ・ミーツ・ガール」、夏と言えばこれでしょう。
男子高校生3人が「ボーイ・ミーツ・ガール」の出会いに向けて奔走する。
「食パンをくわえた少女、西日に照らされる制服少女、うなじの汗が花火に輝く浴衣少女――、それらが僕らにとっては青春だった」
「ボーイミーツガール」はシチュエーションから生まれる!?
青春の管理下、高校生の日常がここに――。
▽第一話▽
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夏休みが始まると、急に蝉も本気を出し始める。
わっと鳴く蝉の声は四方から聞こえてくるようで、なんだか蝉に取り囲まれたように感じられた。
庵野と原田は基本的に約束に遅れてくる。当然、僕も遅れるので、集合時間に皆が集まることは滅多にない。
その日も約束の時間から遅れること十分で瀧野丸公園についたが、まだ誰もいなかった。
ベンチに座って本を開くが、太陽の光が紙で乱反射して眩しい。座っているだけで、じっとりと暑く、汗で髪の毛が重くなっていった。
庵野がやってくると、すぐに口を開いた。
「なあなあ、ビバ青春計画だけどさあ」
と言うので、僕は慌てて止める。
「なにそのダサい名前は」
「え、いいと思ったんだけれど……、ビバ! 青春計画」
と不思議な強弱をつけて庵野が叫ぶ。
滑り台の上にいる少年が驚いたように僕らを見ている。少年は汗で、髪の毛がおでこに張り付いている。どうしてだか、僕にはそれがひどく羨ましく思えた。
原田が来ると、僕らは木立の下のベンチに場所を移して、その日の計画をたてることにした。
「でもさあ」と原田が言う。
「似非ずっこけ三人組は酷いよねえ……、いやさ、ふたりはいいいよ。だってはちべえはかっこいいもの。それに比べてモーちゃんって」
と言うので僕ら思わず笑ってしまった。
「だから言ったろう。お前はドラム、ポジションはキャッチャーとゴールキーパー、似ている芸能人はモーちゃん」
「ダイエットしようかなあ」
と原田は深刻そうに言う。
「じゃあ、今年の夏はダイエット企画にする?」
庵野が笑って言った。
「ああ、それで思い出した」と原田が声をいくらか大きくする。
「ちょっと前に原付乗ったんだけれど、信号待ちの時に焼き豚になるかと思ったよ」
と言うので、僕たちはポルコの丸焼きを想像して少し切なくなる。
原田は笑わない僕たちを不思議そうに見て、
「だから原付の旅は夏にやらない方がいいと思うよ」とまとめた。
いくら日陰とはいえ、夏は暑い。汗が垂れて砂に模様を作るが、それもすぐに消える。
「ボーイミーツガールだよ」と僕は言った。
「夏はボーイミーツガールで間違いない」と。
唐突の僕の言葉は宙に浮くわけでもなく、みんなが真剣に頷くのを見た。




