少年は出会わない
暑い夏。汗をかいても気にならなかった。
「――ボーイ・ミーツ・ガール」、夏と言えばこれでしょう。
男子高校生3人が「ボーイ・ミーツ・ガール」の出会いに向けて奔走する。
「食パンをくわえた少女、西日に照らされる制服少女、うなじの汗が花火に輝く浴衣少女――、それら僕らにとっては青春だった」
「ボーイミーツガール」はシチュエーションから生まれる!?
青春の管理下、高校生の日常がここに――。
▽第一話▽
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すーっと光が繊細な線を描いて、空に向かって上がっていた。それは儚く今にも途切れそうで心細い。か細い線が消えたと思うと、大きく夜空に華が広がった。花弁の先からきらきらと散っていく。そうして華が真っ黒なキャンパスに残像を残して消えた時、腹の底から響くような爆発音が聞こえた。
――、僕はエアコンの効いた部屋で、テレビを見ていた。BS放送が流す、去年の花火大会の録画放送を見て、夏に浸っていた。窓の外では公民館から流れてくるお囃子の練習が聞こえているはずだろうけれど、閉めきった僕の部屋には流れてこない。エアコンの風で足先が嫌に冷えていた。
花火はフィナーレを迎えていた。あるいはそれは、肉眼で見るよりも綺麗に見えるかもしれない。次々に打ちあがる花火の煙で、徐々に夜空が汚れていった。
全ての花火が終わってしばらくすると拍手が起きた。それと同時にカメラが客席を捉えて、色とりどりの男女が映った。
――、ボーイミーツガール。
少年と少女の出会い。言葉で言うのは簡単だが、現実は難しい。現に僕は様々な女性と出会っている。学校の女子や、塾の女友達。しかし彼女らとの出会いは「ボーイミーツガール」ではない。ボーイミーツガールと呼ぶには圧倒的に何かが足りない。その何かはひとつかも知れなければ、複数かもしれなくて、考えると頭が痛くなってきたので、窓を開ける。車の喧噪、木々の揺れる音、お囃子の音、そうして夏を告げる蝉の鳴き声、その全てに夏が含まれているようで、いくらか解放的な気持ちになった。
明日皆に聞いてみようと思って、窓を閉めると、むっとした空気がすでに部屋を満たしていて、窓を開けたことを後悔した。




