夏は飛ばせ
暑い夏。汗をかいても気にならなかった。
「――ボーイ・ミーツ・ガール」、夏と言えばこれでしょう。
男子高校生3人が「ボーイ・ミーツ・ガール」の出会いに向けて奔走する。
「食パンをくわえた少女、西日に照らされる制服少女、うなじの汗が花火に輝く浴衣少女――、それらが僕らにとっては青春だった」
「ボーイミーツガール」はシチュエーションから生まれる!?
青春の管理下、高校生の日常がここに――。
▽第一話▽
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階段を駆け下りると、五時限目終わりで生徒が教室から溢れだしていた。テスト週間が終わり、夏休みまでの繋ぎの時間、皆はどこか羽目を外したように輝かしい。
皆、青春してるなあと思って口に出すと、なに爺臭いこと言ってるのと原田に笑われた。
「おいおい」という声に振り向くまでもなく、僕たちは走り出した。走ってすぐ、――、本当に走り出した瞬間に「はい、おしまい」という声で振り向くと、案の定――、原田が捕まっている。
「きみたち、似非ずっこけ三人組」
と竹内先生が僕らを呼ぶ。
「似非ずっこけ三人組?」
僕らが思わずきょとんとすると、
「あれ、知らなかったのか」と先生が笑って続ける。
「おまえたち、あだ名つけられているぞ」
ええと僕たちは驚愕する。
「なんでずっこけ三人組なんだよ」
庵野が抗議をすると、
「ずっこけ三人組じゃない、似非ずっこけ三人組」と先生はわざわざ言い直した。
「言い直す意味ある?」
と原田が言うと、「そりゃ、あるだろう。博士がいないんだから」と先生は笑った。
なるほど、デブとやんちゃとやんちゃか。――、教育委員会に、PTAに先生のことを訴えてやろうかと僕は考えながら、
「なんで追いかけたの、五時間目さぼったから?」
と、素朴な疑問を先生にぶつける。
「おれの授業じゃなきゃ知らんよ、ただ、お前らが逃げたからだろう。逃げれば捕まえるよ。それが本能」
「性犯罪もそうやって生まれるのか」
原田がしみじみと言って僕らは笑った。
「なんか浮かれてたからだよ、君たちが。楽しそうに」
「いいことじゃないか」
庵野が驚いて叫ぶと、
「確かにそうなんだろうけれど、ろくなことしないだろ、なんか楽しそうだったしさ」
と先生は無茶苦茶なことを言った。
「夏だからさ……」と捕まったままの原田が言うと、
「お前がいるから暑いのか」
と理不尽なことを言って、先生は原田のことを僕らの方へ押し返した。
「何かしようと思って」原田は僕らの方へけんけんのように飛び跳ねながら言った。
「何かってなに?」
先生は興味深そうに聞いてくる。
「原付で旅行に行くとか?」
僕はそれを聞いて、なるほど、と納得をする。
――、僕らは夏休み前に原付の免許を取りに行ったばかりだった。
「学校をさぼって行くからには一発で合格しろよ、自称進学校の名に恥じるなよ」と言って、竹内先生が早朝からやっている裏塾のような場所を教えてくれた。僕らは八時半の受付前に勉強をするために、六時に家を出た。
「学校よりつらいじゃないか」と庵野が言って、
「学校行ったほうがよっぽど楽だったよ」と僕が言った。
結果、僕らは自称進学校の顔に泥を塗ることはなかった。
――、ただ午後の乗車練習で、原田が泣き出しそうな顔で、皆の注目を集めていた。
原田のぎこちない運転を見て「飛べねえ豚は、ただの豚だ」と誰かがポルコのものまねをして、思わず僕も笑ってしまった。そのモノマネをした金髪の男も原田と同等か、あるいはそれ以上に太っていて余計、ぼくはツボにはまってしまった。
「金髪豚野郎」と原田が帰りの電車で呟いて僕たちは腹がよじれるほど爆笑した。乗客は僕らを避けるように、関わらないようにしているだった。
僕らが原付の免許を取ったのを忘れていたのを見て、先生は「何のために原付の免許を取ったんだよ」と笑った。
「勲章みたいなものだよ」かっこよくないポルコが言うので、僕は思わず噴き出した。庵野も当時を思い出して笑っている。原田は怒ったように、しかし彼もたちまち噴出した。
先生はついて行けないとばかりに、歩き出したが、ふと振り向くと、
「なあなあ、君たちには関係ないかもだけれど、夏と言えばボーイミーツガールだろう」と言った。
そろそろストックがきれて、
更新日時にムラができると思いますが、
引き続き読んくださると、ありがたいです。




