↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
4/18

夏は飛ばせ

暑い夏。汗をかいても気にならなかった。

「――ボーイ・ミーツ・ガール」、夏と言えばこれでしょう。

男子高校生3人が「ボーイ・ミーツ・ガール」の出会いに向けて奔走する。

「食パンをくわえた少女、西日に照らされる制服少女、うなじの汗が花火に輝く浴衣少女――、それらが僕らにとっては青春だった」


「ボーイミーツガール」はシチュエーションから生まれる!?

青春の管理下、高校生の日常がここに――。


▽第一話▽

https://syosetu.com/usernoveldatamanage/top/ncode/1279551/noveldataid/10647085/


◆こちらからどうぞ!

 チャイムが鳴った時、僕たち三人はプールに飛び込んだようにびしょびしょになっていた。

「五時間目どうする?」

 庵野が聞く。

「どうするもこうするも出れないだろう」

「ここで乾かすか」

「じゃ、この夏について語り合おう」

 そればっかりだと思いながらも、僕は今年の夏に少し期待できるような気持ちになった。

 太陽は僕たちを焼き殺すかのように、ぎらぎらと光る。ワイシャツが風にはためいて、もう乾きそうだ。

「夏といえばさ、キャンプ、バーベキュー、花火、祭?」

 庵野が楽しそうに言った。

「川遊び、海水浴、スイカ割り?」

 原田がそう言って僕を見つめる。僕はもうないよ、と思いながらも必死に絞り出した。

「肝試し、合宿?」

「合宿ってなんのだよ」

 と庵野が突っ込んでくる。

「なんのって言ってもなあ。何もしてないしさ、なに、バンドとかしちゃう?」

「バンドかあ、かっこいいけれど、できるかなあ」

「僕は楽器なんてひけないよ」

 と原田が言うので、「お前はドラム、ポジションはキャッチャーとゴールキーパー」と言うと、「デブにだって人権はある」と彼は大声で言う。その声が思いのほか響くので、ボーカルでもいいじゃんと思ったが、癪なので言わないことにした。

「でもさあ、バンドなんて青春小説みたいで、恥ずかしいや」

 庵野が少し笑いながら言った。

「難しいねえ」と原田が倒れこむ。汗のせいがびしゃんとコンクリートが音を立てる。

「どうする? とりあえず祭りでも行ってみるか」

 原田が天を見上げて、眩しそうに目を細めながら言った。

「祭りがあるの?」

 庵野が嬉しそうに聞いた。

「それは調べてみよう」

 と原田は変にビブラートを効かせて続ける。

「ねえ、僕、ボーカルならできるかもよ」

「ボーカルは顔だよ」

 僕が言って庵野が笑った。原田もひどいなあと言いながら笑っている。三人の笑い声が青空に吸い込まれるように消えた。

「天体観測もいいなあ」空を見上げながら庵野が言うと、ちょうどチャイムが鳴った。

「帰るか」

「図書室で祭りについて調べよう」

 ワイシャツを触ると、もうとっくに乾いていたようで、熱すら持っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。