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女の子は危険なり④

 よし。では、実戦で練習。ちひろ、六本木に行くわよ。着いてきて。』

本当に六本木に行くんだ。参ったなあ。歩き方は分かったけど、このミニスカートが気になって、目線がどうしても下になってしまう。

『ちひろちゃん、パンツ見えそうで恥ずかしいの?』

おっといけない。レイちゃんに心を読まれてしまった。

『彩姉ちゃんは、ちゃんと考えてるよ。』

そう言いながら、レイちゃんが、俺のスカートをめくった。

『レイ姉ちゃん、何するの?』

『ごめんね。でも、お姉ちゃんの言うことをちゃんと聞いてね。ちひろちゃんのパンツは、薄いピンク色。スカートは、濃いピンク色。だから、スカートの裾がひらりと舞っても、パンツは目立たないから、気にしなくて平気よ。』

『レイ姉ちゃん、ありがとう。私、自信が出てきたわ。彩姉ちゃんのところに行ってくるね。ママ、大好き。行ってきます。』

俺は六本木に飛んだ。


 六本木の夜は賑やかだ。若い男女で溢れている。

『遅いぞ、ちひろ。何分、待たせるの。帰ったらお仕置きね、覚悟してね。じゃあ、1人でヒルズからミッドタウンまで歩いて。』

『えっ、私一人で歩くの。』

『そうよ。私がいたら、殿方は皆、私を見るでしょ。貴方なんて、誰も振り向かないわ。』

なんたる自信家。私だって、そこそこ綺麗だもん。てか、いかん。男にナンパされるのを張り合う必要などない。

『彩姉ちゃんは、どうするの?』

『私は離れたところから、分からないように見張ってます。だてにCAIに勤めてないのよ。尾行は得意なんだから。だから、サボってたら恐ろしいことになるからね。』

良かった。むしろ、見てくれていた方が安心だ。

俺は意を決して、歩道を歩き始めた。かすみのアドバイスを守り、颯爽と歩いた。すると、すぐに視線を感じた。前からも、後ろからも見られているのが分かる。交差点で信号待ちをしているときに、声をかけられた。

『お姉さん、ちょっといい。うちで働かない?』

キャバクラのスカウトだ。俺は無視し、信号が青になると、再び歩き出した。今度は、横断歩道を渡ったところで、また、声をかけられた。また、スカウトだ。今度はモデル事務所だが、もらった名刺を見たら、何とも怪しい事務所だ。俺はやんわりと断った。まだ、半分も歩いていないのに、脚が痛くなってきた。歩道の隅で休んでいると、またまた声をかけかけられた。

『どうしたの?気分でも悪いのですか?』

真面目そうなサラリーマンといった感じの男だ。

『ちょっと疲れて休んでただけ。大丈夫よ。』

俺は微笑んだ。すると、男も微笑んだ。

『良かった。気をつけて下さいね。そうだ、もしよろしかったら、そこのカフェで、休みませんか。』

おお、ナンパされちゃった。俺は、男の心を読んだ。下心はあるものの、普通に一目惚れしたようだ。悪い男ではない。すると、すぐに彩先生からテレパシーが来た。

『ちひろ、ついて行きなさい。』

彩先生が言うのであれば、まあ、問題ないであろう。俺は男に答えた。

『そうね〜。ちょっとお喉も渇いたし、休もうかしら。』

男はやったあと声を出しそうなほどの笑顔になっている。

 俺たちは、通り沿いのカフェに入った。そして、互いに向かい合うように、テーブル席に着いた。俺は、何だかドキドキして、男の顔を見るのが恥ずかしくなっていた。

『僕は、西条洋介といいます。28歳の会社員です。しかし、あなたは綺麗ですね。』

いきなり、褒められてしまった。よく見るとなかなかのイケメンではないか。なんか、照れ臭くて、もじもじしてしまう。

『あのー、お名前聞いても、いいですか?』

『ちひろといいます。赤崎ちひろです。』

一応、自己紹介をしたのだが、ここで問題発生。囮になるときなら、全く問題ないのだが、今の状況のようなときには、基本情報が無さすぎる。例えば、俺は何歳?職業は?何も設定してなかった。仕方ない、臨機応変に対応するしかない。

『年齢は19歳。今年、短大を卒業したばかりなの。』

男は、完全に俺に見惚れている。ウエイトレスが注文を取りにきた。

『僕はビール。それと、シーザーサラダとソーセージの盛り合わせ。それから、ポテトフライ。ちひろさんは、何を飲まれますか?』

ビールと答えたいけれど、女の子だから、どうしよう。そうだ、かすみがときどき注文するカクテルにしよう。

『私は、カシスオレンジ。少し薄めでお願いね。』

『こらこら、ちひろさんは未成年でしょ。アルコールはアウトー!この子には、オレンジジュースで。』

あらら、なんて好青年なんだ。

『洋介さん、真面目なんですね。感心しちゃいました。』

『そんなことないですよ。それより、ちひろさんは、初々しくて、なんだか初めてのタイプです。』

そりゃそうだよ。初々しくて当たり前。だって、女性として初めてのデートなんだから。ん?これって、デートなの?やばい。恥ずかしい。俺は顔を赤くした。

『ほら、その仕草が、すごく初々しくて可愛い。』

ドリンクと食べ物が運ばれてきた。

『それじゃあ、乾杯しよう。ちひろさんとの出会いに、かんぱーい!』

ダメだ。この男に惚れそうだ。俺は何をやってるんだ。冷静にならないといけない。

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