【SS】俺の奥さんは、とんでもなくカッコいい!①
昨日が11/22で、『いい夫婦の日』だったので、つい思いついちゃってSS書いてみました!
お久しぶりのカルーさんとクラちゃん、楽しんでいただけるといいのですが。
「カ、カルーさん……コレ、まだ登るんですか?」
思わず弱音が口をついて出てしまった。なんせもう軽く二時間はでこぼこの山道を登り続けている。まさか頂上まで行くつもりじゃないだろうな。そんなん多分俺、死ぬと思うんだけど。
「うん! やっと中腹かな。あの時ここでね、オッドノーズを見つけたんだよ」
俺のぐったり度なんて目に入っていないらしいカルーさんは、犬耳をピンと立てたまま、ひょいひょいと軽く岩場を登っていく。しなやかな動きにつられるように、フサフサの尻尾が元気よく揺れて猛烈に可愛いが、今はそれを楽しむ余裕もない。
そんな俺の足元を、二つの犬耳が追い越していった。
「えー、オッドノーズってあのお鼻が長いおっきな魔物ー?」
「おいしいよね! ユイねえ、オッドノーズのハンバーグ大好き!」
「ぼくもー」
七歳になったばっかりの我が子、ユイとレオンも跳ねるように山道を登っていく。疲れなんて微塵も見えないほど、めっちゃ元気だ。
獣人族ってやっぱ凄いんだな。
ていうか、狩してるところが見たいなんて、言うんじゃなかった……。
なんて、反省してももう遅い。
俺の申し出に「デートだ!!!」とめちゃめちゃ喜んだカルーさんは、「じゃあね、じゃあね、クラちゃんにプロポーズした時に飛竜を狩った思い出の場所を見せたげる!」と言い放った。
「ええっ、ユイも見たい!」
「ぼくもー!」
こうなるともう俺に発言権などない。三人のパワフルさに抗う術など俺には想像もつかないんだ……。
結局、生まれて半年の四つ児をカルーさんのお母さんに預け、親子四人でその「思い出の場所」とやらに来てみたわけだが。
なにこの険峻な岩場。
角度が急すぎない???
ひとり汗だくになって、肩で息をしている自分が情けない。運動不足がこんなところで祟るとは。
「ママ、そのオッドノーズやっつけたのー?」
「シュンサツだった?」
可愛い声で物騒なことを聞いている我が子のふわふわ揺れるシッポを目印に、なんとか足を進めるのみだ。
「やっつけなかった。だってさぁ、せっかくパパに『結婚してください!』って言うのにね、そんなありきたりの肉じゃヤダなって思って」
「それで飛竜をやっつけたの?」
「ママかっこいい!!!」
「えへへ〜、愛のなせるワザかなっ」
子供相手にカルーさんが恥ずかしいことを言っている気がするが、もはやツッコむ気力もない。
「あっ、見えてきたよ。あれ! あれ見て!」
カルーさんの元気な声につられて指さされた先を見てみれば、真っ青な空を背景に、そそり立つ絶壁が見えた。
「あの崖の上がね、飛竜の住処だったんだよ!」
俺は膝から崩れ落ちた。
マジか、カルーさん。あんなとこまで行った上、飛竜なんてエゲツないものを狩ったというのか。




