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総合スーパー店長が異世界転生して〜店舗ごと召喚された俺と従業員七十三人  作者: もしものべりすと


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第十六章 魔王城突入

魔王城の地下水路は暗く、湿っていた。


戸塚が先頭を、歩いていた。


氷魔法を扱う、魔導士たちと組んで、水路に、氷の道を作り進んだ。


王国軍の本隊は城門に正面から張りついて、敵兵を引きつけていた。


その間に俺たち店の従業員部隊は、地下水路から城内へ侵入する。


目的地は、魔王城地下の、封印庫。


「敵兵二名、左側面」


戸塚が囁いた。


「対応、します」


戸塚は足音を、立てずに、敵兵の背後に回り首筋を、刃の腹で軽く叩いた。


二人とも声も、なく崩れ、落ちた。


「気絶です、死んでません」


戸塚は淡々と言った。


「店長は人殺しを嫌うから」


「ありがとう、海斗」


俺たちは、地下水路を、進み続けた。


途中何度も、敵兵に、遭遇した。


そのたびに戸塚とミッチ姉さん、そして騎士団の精鋭が対応してくれた。


ミッチ姉さんは薬草の知識を活用して、敵兵を眠らせる薬を撒いていた。


「殴り合いより寝かせる方が、早いわよ」


「ミッチ姉さん肩、大丈夫」


「もう塞がってる、心配しないで」


俺は頷いた。


しかし彼女の、肩からはまだわずかに血が、滲んでいた。


それでも彼女は薬草を撒き続けた。


俺は、ひたすら、地下封印庫の、地図を見ていた。


二十年、店の在庫表を読んできた、経験が、地図の読解を楽に、した。


封印庫の入口は岩盤の中に、隠されていた。


俺たちは、夜半過ぎそこに、到達した。


巨大な石の、扉。


扉には無数の魔法陣が刻まれていた。


宮廷魔導士長が、震える声で、言った。


「真壁卿、これが千年誰も開けられなかった扉です。魔法陣は二十三層。最後の解錠魔法を間違えれば爆発」


「沙耶ちゃん」


「はい」


「計算、頼む」


沙耶ちゃんが、魔法陣をしばらく、眺めた。


そして、ぽつりと言った。


「店長これ、暗証番号です、二十三桁の」


「暗証番号」


「ええ。毎日変動する暗証番号です。月の満ち欠けと関係しています。今日の暗証番号は」


沙耶ちゃんは、両手の指を折りながら、暗算した。


「三七二九五五一八八四四三九八五五五一七六二二〇三六」


「沙耶ちゃん何で、わかるんだ」


「家計簿三十年で、暗算は得意です。それと月の二週間分の推移を覚えておけば、後は足し算と掛け算です」


魔導士長が、ぽかんと、口を開けた。


「家計簿と月の、満ち欠けが関係するのか」


「節約主婦は、満月の夜に特売を、見極めます」


沙耶ちゃんはにっこり笑った。


「店長解錠、しても、いいですか」


「頼む」


沙耶ちゃんは、目にも止まらぬ速さで、魔法陣を、解錠した。


二十三層すべて、瞬時に、解いた。


ぎぎぎと音がして、石の、扉が開いた。


封印庫の中は巨大な倉庫だった。


天井まで棚が、積み上がっていた。


棚には、無数の黒い水晶玉が、並んでいた。


呪いの、封印体だった。


俺はぐるりと見渡した。


そして思わず声を上げた。


「これまんま、うちの店の冷凍倉庫、だ」


棚の前面に、入庫日が、刻まれていた。


奥に、行くほど新しい、入庫日。


手前に、来るほど古い、入庫日。


完全な、先入れ先出しの、配置だった。


「店長、これは」


戸塚が振り返った。


「ああ魔王は、店長の俺と同じ、管理方法を使って、いる」


俺は台帳を、取り出した。


二十年磨いてきた俺の、筆跡。


「棚卸し開始、する」


七十三人の店の、従業員が頷いた。


それは最後の月末棚卸しの朝礼のような空気だった。

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