第4話 感謝
あれから。
抜け出しては、盗み見。
抜け出しては、記憶に刻み込む。
両親の目を盗んで、コソ泥みたいに移動していた俺。
それで、こちらの世界の情報をだいぶ手に入れた。
この半年で読めたのは三冊だ。
もっとちゃんとした時間があったら、八冊くらい読めたんだけど、案外時間が作れない。
セリオスが家にいる時は、あの部屋に入り浸っている事が多いんだ。普段何の仕事をしているのだろうと思うばかりだった。
「いけるな」
言葉も出せるようになっている。
俺の成長って異常に早い気がする。
まだ二歳にもなっていないが、他の赤ん坊よりもあらゆる点で成長が早いだろう。
「えっと。こうやって、魔力を集めてと」
古代魔法集。それと戦闘技術基礎・応用に魔法工学基礎・応用。
この三つをマスターした俺は、この世界の魔法について完璧な学習をしたと思う。
他にも教科書があるのなら学びたいところだが、あの三つで魔法全般を網羅できているといいなと思うばかりだ。
俺は実物をまだ見た事がないが、現代魔法は魔法駆動装置と呼ばれる武装によって属性魔法を発動させることが出来るらしい。
魔法駆動装置の内部にある魔核石と呼ばれる石が、その特性に合った属性魔法の発動を補助するみたいだ。
だから、現代人は、装備に準じた魔法を扱う。
例えば、火の魔法駆動装置ならば、それのみ。
他は扱えないというとてつもない弱点が出来上がるのだが。
それでも、その欠点を補うくらいに、速度重視で魔法を発動させることが出来るわけだ。
魔法陣展開の際に行うことは魔法の属性管理、威力。そして範囲だ。
それらを、魔法駆動装置は省略してくれる。
内部にあらかじめ作ってある魔法陣が自動的に作動して魔法が発動する事となっているんだ。
威力と範囲を自動で設定できるのは、魔法陣二個目の連結部分が変動するからで、発動者の魔力規模を読み取って、自動調整して魔法を放つ。
それが魔法駆動装置の最大の役割だ。
実に、現代人は楽な方法で魔法を放っている。
自動的に魔法が出る。この世界ではそれを夢の代物として扱っているようだ。
こちらの世界の人々は嬉々として、その装置で魔法を扱うらしいのだ。異世界人の俺にとってだと、にわかには信じがたい。というか許せない。
「そう。俺的にはナンセンスだ。魔法陣があるんだろ? だったら使えよな。それに詠唱しろよ。みんな、魔法駆動装置を使用すると、無詠唱で魔法を放つって書いてあったぞ。無詠唱なんてつまんない事するなよ」
せっかくの魔法なんだ。
黙って扱うなんて、俺の中二心に刺さらない。
なんて面白みのない世界だ。この世界の人たちは、自分の魔法に誇りを持たないのか。
『詠唱をする』
それは魔法への礼儀だろう。これから魔法を使いますので、どうか上手く発動してください! って言うお願いだぞ。詠唱ってものはさ。
それと自分のテンションが上がるだろ。
詠唱ってものはさ。
崇高な行為だ。何が無詠唱だ! 詠唱しろ!!!
という不満点ばかりの世界に、不機嫌になりながらも、俺は魔法の基礎訓練を毎日している。
魔法の基礎訓練。
それは体内に眠る魔力を呼び起こして、体に循環させる。
手先、足先、頭部など、ありとあらゆる場所に早く循環させるのが特訓となる。
これを魔力循環と呼び、この時に肉体が強化される者を循環系と呼ぶらしく、流れが速くなる者が放出系となるらしい。
そして、循環系となる者は、必然的に魔闘と呼ばれる近接戦闘型の人間になる。
そちらの方が戦闘効率もよく、成長効率もよいらしい。まあ当然だろう。体内に循環させて、肉体強化が得意な人だからな。
斬る。叩く。殴る。の単純物理攻撃で成長したほうが、敵をより倒しやすくなるはずだ。
それと対をなすのが、放出系。
魔法を体内から対外へ押し出す人の事を言う。
いわゆる皆が思う魔法だ。
放出力が強いと、魔法の範囲と威力が高まる。
魔法発動を補助する魔法駆動装置との相性は抜群となるようだ。
「だから、こんな感じだろ」
二歳前にして、俺は魔力循環を発動させている。
体が白い光に包まれている。
この状態が体内の魔力を循環させている状態らしい。
「それで、ここから放出を」
手の平から魔力を出すと、小さな魔法の塊が出る。
これは基礎訓練の一環であって、この魔法を押し出すことが出来るとなれば、放出系となるらしい。
ここで出せない子は循環系に行く。
大体五歳くらいの時に判別するみたいだ。
なのに俺は今、両方やっている。
成長が早過ぎるのも困ったものだぜ。
って言うよりも、早くに基礎はマスターして、邪眼とか必殺技とか作りたいんだが。
俺的には、中二病が考える技をマスターしたいんだが!
そう、オリジナル魔法を作りたいんだよね。今すぐにね!
でもそれは無理そうだ。魔法陣、これが思った以上に難しい。基本が英語じゃないのさ。こちらの世界の古代語がメインになって魔法陣が出来るみたいなんだ。
まあ、漢字で魔法陣が出来るとは思ってなかったけど、英語くらいだったら何とか馴染みがあるからさ。頑張ればなんとかなるけど、こっちの世界の古代語だから、誰か先生にでも教わらないと・・・。
「こんな感じだ。まだ・・・」
俺の放出訓練はパスっと音が鳴って、手の平から白光がパッと出る感じだ。
豆電球みたいな形の楕円形の小さな塊が一瞬出て消える形で終わる。
「成功なのか? それとも失敗なのか? この歳でこれくらいできるのも凄い事なのかもわからない。どうしよう。誰かに教わりたいよな」
一歳半。当然、師匠が出来るわけもなく、自主練する歳でもない。
でも子供のうちに成長して、古代魔法くらいは扱いたいから、努力は続けるつもりだ。
日々鍛錬。これは強くなるためじゃない。最強になりたいとかの話じゃない。
俺は、俺の出したい技の為に修行している。
最初に実現したいのは詠唱して発動させる古代魔法だ。まずはここから、地に足を着けて頑張るのみだ。
そこからいずれ・・・。
俺は邪眼や聖痕を・・・
きっと作り出してみせる。
顕現させてみせるぞ。
めっちゃかっこいい技を作ってやる!
爺ちゃん、どっかで見ててくれ。
バリっと凄いの作ってやるからさ。
◇
そこから半年。二歳の誕生日。
「ケイちゃんお誕生日おめでとう」
「おめでとう」
夫婦揃ってクラッカーを鳴らす。相変わらず仲が良い。
「ありがと」
そろそろ単語位話しても不思議じゃないはず。
俺は年相応な感じで過ごしている。
「ああ。もう我慢できない。可愛すぎ! パク」
この人、こればっかりだ。
俺のほっぺを甘噛みするのが大好きらしい。
隙あらばチューチューしてくる。
俺、このままだと、全部吸われるんじゃないかな。
「やめとけ。ケイオスが迷惑そうだぞ」
「え。そんなことないもんね。ケイちゃんは、お母さんがそばにいても嫌じゃないもんね」
これに答えるのはやめておこう。
中二的には、『やめろよババア!』だろうけど、今の俺の年齢でそんなことしたら、俺が変な奴に見られる。
それに俺の性格上、そんな事言えないしな。この人が悲しい顔をするのも嫌だし。
出来るだけ悲しませたくない。もしかしたら、俺って、勝手にこの子に転生してるかもしれないしさ。
本来はケイオスって子が、ちゃんとケイオスだったのかもしれないしさ。
というか、ケイオスってケイオスだったのか?
生まれたばっかで、俺は俺だったぞ。
最初から俺がケイオスなのかな。完全転生?
「ほら、答えないんだから、べたべたするのはやめておけ」
「あなた。ケイちゃんにくっつけないからって、嫉妬してるの?」
「へ? 何言ってるんだ?」
「私ばっかりが、ケイちゃんと一緒にいるから!」
「なんでそうなる。僕は、ケイオスの顔を見て言ってるぞ。迷惑そうな顔をしてる」
あれ、バレてる!
意外とだけど、この人察する力が強いぞ。
表情隠さないと。
「うそ。違うわよね。ケイちゃん!」
くっついている頬と頬が離れて、アンジュの顔が目の前に来た。
やっぱり美人だ。化粧なんてしなくても、綺麗な顔をしている。
「うん」
「・・・・どっちだろ?」
たしかに。返事がうんだとどっちだろうな。
でもそれ以上話すと、弁明する感じになるから、二歳の子ではそんな事出来ないだろう。
これが、今の俺が出来る最高の返事だと思う。
間違いない!
「君もその辺にしておけ。またケイオスが困るぞ」
セリオスは、俺の誕生日用に豪勢に作られたシチューを食べながら言った。
大食いなので、皿も大きい。
「でも、ケイちゃんに嫌われたらどうしよう・・・死ぬ」
「君はずいぶん短絡的だな」
「だって、可愛い我が子よ。嫌われたら死ぬ!」
「大丈夫だ。ケイオスも、君の事が好きだよ」
「ほんと!」
「ああ」
「あれ、もってことは、あなたも?」
「当然」
「そうよね。家族みんなで大好きだもんね」
この人、口下手そうだけど、上手だな。
セリオスって、口数が少ないだけか。
という風に油断していたら、彼から話が来た。
「ケイオス。僕の言う事が分かるか」
「?」
「修行をしてみるか」
「え?」
「君、鍛錬しているな。その形跡があるぞ」
「え?」
「独学でやってるな。どういうことだ」
「・・・・」
「この子は。まさかだが、意識せずとも魔力を鍛錬できるくらいに、魔力コントロールに長けているのか・・・いや、天才か。異端児か? 神童?」
セリオスの目が真剣だ。
俺の修行がバレてるらしい。
なんでだ。誰の目にも映らないようにコソコソやっていたのに。
「君の年齢で、体の外に出す。それに、ここまで精錬された魔力は見た事がない。僕はそんな人に出会ったことがないんだ。これほどに、揺らぎがない魔力。それこそこれは・・」
俺の中の何かを見ている? いや、感じているのか?
武芸の達人だから、見ただけで分かるのかも。
しまった。この人、俺の予想を超える強さを持った人なのかも。
「僕のお師匠様くらいに静かな魔力だ。当然強さはあそこまでじゃないけど、本当に綺麗な魔力だ」
「???」
もしかしてあれか。俺が修行中。イメージ的には禅でやってたからか。
座禅した状態で、集中していたからかな?
爺ちゃんに教わった禅だったんだけど、それが功を奏したっぽいな。
俺の前世の爺ちゃんって別に武道とかやってなかったのに、背筋とか綺麗で、達人みたいな雰囲気があったんだよな。
そこも好きだったポイントだ。
中二に刺さるお爺さんだった。
「まあ、まだ二歳だ。でも・・・そうだ。アンジュ」
「え。うん。なに?」
「明日、出る。しばらく家を空けるけどいいかい」
「いいけど・・・どうしたの?」
「少し準備をしてくるよ」
「準備? 何の準備なの?」
「ああ。ちょっとしたものだ」
「・・うん、わかったわ。待ってるね」
「すまない。すぐに戻る」
セリオスは俺の誕生日の翌日からいなくなった。
◇
そこからしばらくして。
セリオスから修行してるだろと言われても、修行するなとは言われていない。
だから、俺は修行を続けていた。
一日でもこの鍛錬をサボると、気持ち悪くなる体質になっていたんだ。
この状態の例を挙げるとしたら、毎日ランニングする人が、ひと汗かいておかないと、気分が悪いみたい感じだ。
「どこいったんだろうな? 一週間以上は帰ってこないよな」
セリオスが家を空けるのは珍しくもない。たまのたまに、ニ、三日いなくなることはある。
その隙を突いて、俺は本を読んでいたから、セリオスの動向は結構把握しているんだ。
「珍しいな。何の準備なんだろう」
ドン!
と下から音が鳴る。
玄関が開いた音じゃなくて、玄関前の庭から音がした。
俺は、部屋の窓から下を見る。
「あ。セリオスだ」
大荷物を持って、家に帰って来た。
玄関から飛び出して、嬉しそうに笑うアンジュが、彼に飛びつくのが見えた。
会いたくて仕方のない様子だ。
かなりのアツアツカップルです。少なくとも新婚から三年は経っているけど、いまだに新婚みたいに仲良しだ。
「さてと。俺も降りようかな」
父親が何をしてきたのかが気になったので、俺も遅れて庭に出た。
◇
「ケイオス。やはり呼ばずとも来たな」
俺が来るのがわかっていた。そんな言い方だ。
「うん」
「良い目だ。すでに戦う男の目をしてる」
「え?」
俺の目ってそんな目なの?
「ケイオス。これを持て」
「うん」
巨大なバックから取り出したのは、槍。
子供用で、俺の身長と同じくらいの槍である。
「さすがだな。持っても乱れがない。これは鍛えがいがあるな」
持つと何かがあるのか?
重さは感じないけど、手がしびれるような感覚がある。
もしかしたら、これは魔力を吸ってるのかな?
「これなに?」
このくらいの返答ならいいでしょう。二歳児だしね。
「それは訓練槍だ。子供用に改良してもらった。あと数本持って来たから、壊れてもいいようになっている」
「壊れるの?」
「たぶんな。ケイオス。君は訓練したいんだろ。その魔力の洗練さからいっても、相当な鍛錬をするつもりだろうからな」
「・・・・」
あれ? なんか槍の修練をしろ的な?
勝手に決めつけられているのですが。どういうことですか!
もしかして、聖槍流という奴を教えようとしているのかな。
俺、あんまり興味ないんだけど。
今は古代魔法を勉強したいんですけども・・・あれ?
「僕が教えよう。聖槍流の技をね」
あ、やっぱり。
「え?」
「大丈夫。心配しないで、ちゃんと基礎からやるからね」
これは、やらないと駄目みたい。
今までセリオスを見てきた中で、一番楽しそうだ。目が輝いている。
この時を待っていました的なノリだ。
これはずっと楽しみにしてたのかもしれないぞ。
ほら、息子と酒を飲みたい親父さんみたいな感じだよ。
それの槍バージョンだろこれ。
「うん。わかった」
こう返事をするしかない。笑顔になってくれるからさ。まあいいでしょう。魔力を鍛えるのにも良さそうだしね。
「じゃあ、さっそくやろう」
「え?」
いきなりかよ。スパルタか。あんた!
◇
聖槍流。
水と風の槍技の武術。
聖道騎士団となる者たちが覚えないといけない技。
元騎士団長であるセリオスは、この技の使い手として上位クラスの人間みたいだ。
聖槍流のAAクラスであるセリオス。そこは七段階の上から二番目。
最高位のAAAには、ただ一人が君臨している。
魔闘四帝が一人。
『静寂の閃光』
アルビオン・クロスナーだ。
セリオスの師匠で、伝説の槍技を持つ人物である。
「いいかい。これにはまだ魔法駆動装置が付いていないからね。本番の槍とは少し違う。それに、君の今の時点では、魔法を纏わせながら槍を勉強する事もないんだ。大事なのは、槍術を勉強する事だからね。でも、魔力を消費しながら、槍術を勉強した方がいいからね。だから訓練用の槍を使う。これは持っていると魔力を吸収するんだ。いいかい。よく聞いてね。持つと、魔力を常に吸収するから、気を引き締めて槍を振うんだ。魔力を一定に保ちながら、槍を扱う。いいかな。わかったかな?」
槍を教えようとしてくれるセリオスは、凄い早口だった。
今まで話してきた数を、この瞬間に全部吐きだしたみたいに、流暢に言葉を並べてきた。
「う。うん」
だから、本当に戸惑った。聞き取りずらいのもあったし、何よりセリオスがこんなにしゃべるんだと思った。
横から彼女が来てくれる。
「あなた。たくさん話し過ぎよ。ケイちゃん、困ってるわよ」
「あ。すまない。そうか。伝えるのはシンプルにしないとな」
今度は母親が理解してくれた。正直有り難い。ここで口答えするのも違うような気がしたから、助かった。
「まずは、真っ直ぐ振う事。その次に槍を突く練習をする。一日・・・百はやろう。そうしていく内に良くなっていくからね」
百? 二歳児にやらせる量かよ。児童虐待じゃね。
「いいかな。それが出来ているか。一か月後に見よう」
「う。うん」
その言い方だと俺を放置するつもりなのか?
やらせるだけやらせて、放置するの?
まあいいや、自主性が大事だと思って頑張るか。
◇
一カ月。俺は本を読むのをやめて、自主鍛錬を続けながら、槍を振い続けた。
いつもの特訓はしないと気持ち悪い体になってるから、苦にも思わずにできたが。
この槍、これは苦だった。
普通に槍を真っ直ぐ振り下ろすだけだったら、二歳児の自分にもできるんだけど。
この槍、かなり不気味な槍で、持っているとどんどん魔力を吸収していくんだ。
五十あたりで、腕がだるくなって、七十あたりで、全身が疲れ始める。
百の頃には眠気が出てくるくらいに、ヘトヘトになるんだ。
よくもまあ、自分の息子にこんな事させるな。セリオス。
無茶ぶりだろ。この修行・・・。
最後の一振りを終えると、セリオスが庭にやって来た。
どこかで俺の事を見ていたようだ。
「ケイオス。槍を持って、最後に一回。渾身の力で振ってみてくれ」
「う。うん」
渾身の力って言ってるから、全力を出せって事だよな。
それじゃあ、遠慮せずに・・・。
「はぁぁぁあああ」
いつもの修行の要領で、自分に集中しつつ、魔力を全身に回してから、自分の槍と持ち手に流し込む。
そこから槍を高くあげて、真っ直ぐに振り下ろした。
すると、今までとは違う音が鳴った。
(キュイーン)
鳴った後も、耳の中に残る高い音。
いまだにこの音が離れない。
「素晴らしい。セリオス。やはり君は・・・神童。お師匠様にも届くかもしれない逸材だ」
セリオスがとても嬉しそうだ。ニヤニヤ笑う彼なんて見た事がない。よほどだぞ。
「今の一撃。Cランクでも中々出せないぞ。まさかのこの歳でCか。若い頃から片鱗を見せるなんて、確実にお師匠様クラスだろうな」
俺が、AAAと同じって事。
いやいやいや、またまたお世辞でしょ。
槍を勉強させようと、褒めまくってるだけだよね?
「これ、はい」
槍を返すと。
「次だな。突きをやろう。その次は薙ぎ払いだ! いいね」
修行が追加となった。
どうしても聖槍流を教えたいらしい。
「・・・うん」
返事は遅くなったが俺は承諾した。
この一カ月、確実に俺の魔力が伸びているので、勉強しておいても損はない。
俺が修行を続ける理由として二つ。
魔力を伸ばすのに最適である事。
それともう一つは、このセリオスの嬉しそうな顔だ。
無表情な男の明るい笑顔。それが俺にやる気をくれている。
前世の父は、俺に全く興味も期待もしていなかったら、俺は今の状況が嬉しいんだ。
父に期待されているって、こんなにも嬉しい事だったんだってさ。
ありがとうセリオス。
そういう頑張る気持ちにさせてくれてさ。
こういう感情になるのか。嬉しくて楽しいって感情にさ。
セリオスを喜ばせたいって思うものなんだな。
俺は、新たな父に感謝して修行を継続させた。




