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中二ゆえに異世界へ  作者: 咲良喜玖


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第2話 忙しそうなパパ

 生まれてからだと初めてだろう。母と二人きりの生活。

 父が王都に行くと言って以来、アンジュの笑顔が少なくなった。

 俺を見つめる時は笑顔になってくれるけど、ふとした時には無表情になっている。

 セリオスの事が心配で心配でたまらないといった感じだろう。

 この後、大変な事態になるのかもと憂いているのかもしれない。


 「はぁ」


 ため息も増える。憂いた表情になる機会も増えている。


 「・・・はぁ」


 時間差があっても、ため息のオンパレードだ。

 美人は儚げであっても綺麗だ。


 「大丈夫かしら。あの人・・・抜けてるから。ドジするかも」

 

 そうなんだ。あの人、武骨な感じなのに天然なのか。

 ん? そうなると騎士団長にはどうやってなったんだ?

 頭じゃなくて、戦闘力で団長になったタイプの人か。

 そうなると、天然騎士団長ってなるよね。

 強者の証だよな。

 うん。やっぱりこの家族って、俺の中二心を燃やしてくれるんだわ。

 どんどん燃料投下をしてくれて、やる気が出るぞ。

 早く色んなことを調べたいな。


 ◇


 そこからしばらくするとハイハイが出来るようになった。

 筋力が少ないから上手く動けないけど、いち早く動きたいから、毎日必死に這いずり回る。赤ちゃんだけど、早速筋トレから開始だ。


 「うわ。ハイハイしてる!?」

 

 アンジュが目をパチクリさせた。赤ちゃんがハイハイするなんて普通の事だろう。なぜそんなに驚いているんだ?


 「まだ三カ月くらいよ。早過ぎない?」

 

 それは驚くわ。俺、まだ生後三カ月だそうです。まずい。驚いていたのは、成長速度が早過ぎた結果だ。そこは申し訳ない。俺に意思があるから、成長が早いみたいだ。

 すまない、新しいお母さん!


 「ど。どうして・・・魔力が補助をしているのかしら? それってまさか、ケイちゃん。あなたは身体循環系なのかしら? それなら魔力がないのはありえない。安心してもいいよね」

 

 身体循環系?

 系統があるってことは、どこかに別の系統があるんだな。そういう情報が欲しいんだよ。もうちょっとそんな感じの言葉をお願いします。赤ちゃん言葉はいらないんで!


 「ああ。そうだ! しまった。大事な初めてのハイハイ。あの人に見せられなかったわ。あ。写真写真。今のこの瞬間を撮影しなきゃ」

 

 写真!?

 おいおい。この世界に写真があるのか。

 木の家に暖炉、壁には盾と鎧があるから、時代背景・文明レベル的に、中世ヨーロッパ的な雰囲気かなと思ったんだけど、まさかカメラがあったとは。


 アンジュが部屋を慌てて出て行く際、扉の角に足の小指をぶつけた。

 『イテテテ』と言いながら、走っていく彼女。

 あなたの方がドジじゃないのか?

 そう思っていたら、彼女がすぐにこっちに帰って来た。カメラはこの部屋の隣辺りにあるのだろう。


 「ケイちゃん。持ってきましたよ。ハイハイしてくださいね」


 さっきまで動いて疲れたから、俺は座って休んでいた。

 

 「あれ? 止まっちゃった。動いてください。ほら、動いて~。ケイちゃんは可愛いでしゅよ。ほら~」


 声は優し気だけど、表情がなんだか悲しそう。おそらくまだセリオスを心配しているんだ。だから、俺は頑張って動くことにした。

 疲れているから中々前には進まない。

 それでも彼女が嬉しそうだから良しとしよう。


 「あ。動いてくれた! 良い子ですね。ケイちゃん、ハイチーズ」


 どことなく日本的な掛け声だけど、彼女が楽しそうにしているから気にしない事にした。


 「うん。上手く撮れた! こっち向いて、こっち!」


 しょうがないから、そっちを向く。


 「こっち向いた! 凄い。私の言葉が分かるのかしら」


 分かるよ。何故かね。日本語なんだもん。どうしてだ?


 「ポーズ頂戴。ケイちゃん。ほらほら」


 しょうがないから、ウインクしてみた。


 「うわあああ。ウインクしたああああ。凄い凄い! 私の子。言う事聞いたよ。この歳で言葉がわかるの! 天才よおおおお。ポーズも可愛いよおおお。食べちゃいたい!」

 (毎回俺を食べたいんかい!)


 テンションマックス状態のアンジュは、過去最高に元気一杯だ。天井に頭をぶつけそうな勢いで飛び跳ねてる。

 さっきまで元気がなかったから、母親に喜んでもらえてホッとした。

 人間笑顔が一番だよ。悲しい顔よりもさ。確かそんな風に爺ちゃんが言っていた気がする。

 

 「あれ? ああ、眠りそうね。ごめんなさい。私が無茶をさせちゃった。ハイ。元の位置でおねんねしましょうね」


 抱っこされた俺は、寝かしつけられた。

 最後に見えた顔が笑顔だった。だから安心して眠りにつけた。


 ああ。よかった。楽しそうにしてもらえて。

 そうだ。俺の目標の一つに、笑顔も加えよう。

 中二的な生き方をしても、誰かを笑顔にする。

 爺ちゃんも笑顔が大切って言ってたし、これを大事にしていこうぜ。

 斎藤・・じゃないや。

 ケイオス・ブレイク!


 ◇

 

 長くハイハイしても疲れなくなった頃、部屋の扉が勢いよく開いた。この大袈裟な開き方で誰が来たかが分かる。

 赤ちゃん用のベッドの隣で、俺のほっぺを突いているアンジュの肩がビクっとなった。


 「帰って来たぞ」

 「え。あ、あなた!」


 待ちに待った人の登場で、アンジュの顔が嬉しそうな顔になる。


 「ああ」

 「無事なの」

 「ヘマはしていないと思う」

 「そこは聞いてないわ。体は? 怪我は?」

 「おい。なぜ戦ってきた前提なんだ? 僕は戦っていないぞ」

 「え。だって、王都に行ったんでしょ」

 「でもコソコソと裏ルートで行ったから大丈夫だ」

 「そ。そうなの」


 裏ルート。そこが気になります。詳しく教えてもらえないでしょうか。新しいお父さん!


 「王立図書館の本をいくつかコピーしてきた。複写の本として持って来たからここから調べるよ」

 

 大荷物を背負っていたセリオス。中身が全部本だった。俺の近くの机に本が四冊置かれる。しかし、それでもまだ後ろに本がありそうだ。どれだけの本を持って来たのだろうか。


 「わ、私も」

 「いや、僕がやるよ。君はケイオスを見ててくれ」

 「・・う、うん」


 そこからセリオスは、俺の隣にある椅子に座って、本を読む生活をした。

 分厚い本なので、一冊を読むのにも時間が結構かかる。

 真剣な表情だから、念入りに読んでいるのかもしれない。

 

 それにしても、それ読みてえ。

 この人の顔を見てるふりして、本をちらちら見た。

 そしたら、そこから見える文字が日本語だったんだ。ここの世界観が西洋風だから、てっきり英語なのかと思ったけど、日本語で書かれている。英語だったら頑張んないといけないと思ったけど、これなら読みやすいぞ。何冊かこっちにくれないかな。俺もそれ読みたいです!


 という独り言を言っていると。


 「お父さんの邪魔したら駄目ですよ。ケイちゃんは、こっち」

 (あああ。本がぁぁ)

 

 アンジュに抱っこされて、本を読むセリオスから引き離された。

 

 「どうなんでしょうね。あなたの反応種(カラーコード)はどうなっているのでしょうかねぇ。可愛いですね。うらうらうら~」


 俺のほっぺに自分のほっぺを重ねて喜ぶアンジュ。

 セリオスが帰って来たから、いつもの彼女に戻ったようだ。


 彼女が一通り俺をあやしたら、ベッドに戻していく。

 その隙を突いて、俺は横目で本を見た。ただし表紙しか見えない。

 書いてあるタイトルは『魔法工学基礎・応用』だ。

 

 (工学? どういうことだ。魔法基礎じゃなくて、工学の基礎? ん? 魔法と機械が混在? 両方関係しているのか)


 色々と疑念があるが、中身が見えないので、ここを考えても仕方ない。早く歩けるようになれれば、こういう事を理解していきたい。


 ◇

 

 ほぼ同じ状態で、数時間が経つ。

 

 「これかもしれない」


 本に目線を落としているセリオスが呟いた。

 

 「なになに?」


 アンジュがセリオスの背中に回る。

 大きな体のセリオス。

 座っていたとしても、アンジュが立っているのと同じくらいの背丈だ。

 だから、彼女はセリオスの右肩から顔を出して、同じ本を読んだ。


 「ここだよ。ここに書いてある」


 セリオスが顎で場所を示した。


 「ええっと、どこ?」


 場所指しが、曖昧だから見つけるのが難しい。


 「ここ、ここ。これだ。おそらく、ケイオスの力はこれだ」


 なので、指で示してあげた。左手で本を持って、右手で指を差す。


 「反応種(カラーコード)に透明ってあるの!?」


 示された場所を、アンジュが読んだ。


 「うん。これだと思うんだ」

 「そ。そんな色があったのね?!」


 聞いたことがないんだけど感が満載だ。顔に驚愕って書いてある。


 「うん。そうみたいだ。僕が騎士団にいた頃でも、そんな子はいなかったから、かなり珍しいんじゃないかな。他にもいないんじゃないか。この本だって、学校くらいでしか勉強しないだろうからね。周知の情報じゃない。透明って一般常識じゃないからね」

 「あ。あなた。じゃあ、ケイちゃんは何が得意になるの? 透明は何が得意なの?」


 反応種(カラーコード)は、得意分野の判明なのかもしれない。

 個人の得手不得手の調べ物のようだ。

 俺の予想である。


 「えっと。透明は透明らしく。何にでも対応が可能となる色。白とは違い。生涯透明って書いてある」


 セリオスが、該当箇所を読んだ。


 「白・・たしか、白って成長すると固定色になる色の事よね?」

 「そう。白は、子供から大人になる辺りで、どこかの色に落ち着く。青になったり、赤になったりね。そういう子は騎士団にもいたよ。白は結構いるんだ」


 白は、一般的な色みたい。

 そういう情報プリーズです。いいですよ父上! どんどん話してください。


 「じゃあ、この透明って、白とは違って一生変わらないって事?」

 「ああ。器用貧乏になるかもね。最高出力が出せなくなるかも」


 それはまずい。具体的に何がまずいかわからないけど、のちのち強さが出せなくなるのは、中二的に大問題だ。

 若いうちに手を打たねば・・・・。


 「・・・・そんな・・・」

 「特に魔闘の分野では難しいかもね。尖った方が各流派での勉強がしやすい」

 「・・・じゃあ、あなたとは違うって事なのね」

 「いや僕と比べたら、誰でも可哀想だよ。僕は聖槍流のAA(ダブルエー)クラスだよ。上位中の上位だ。僕の上のランクにはお師匠様しかいないし」


 凄い感じに聞こえるけど、そのAAってのは、どの程度のレベルなのでしょうか。父上、もう少し詳しい説明をください。お願いします。


 (話が止まった。クソ。もうちょい頂戴よ!)


 聖槍流。これもインプットしておこう。

 何かの流派なんだろうな。槍って言っているから、槍の武術だよね。


 「そうよね。いくらあなたの子だからって、ケイちゃんがそこまでいくとは限らないものね」

 「そう。親子であっても、同じになるとは限らないさ。僕の親なんて、槍なんて持ったこと無いしね。だからEクラス以下だよ」

 「そうね」


 Eクラスが習いたての子のクラスで、最低のクラスなのかな。持ったことがないってのから考えるとそういう事だろう。


 「まあ。あとは、循環系か。放出系か。どちらによるかで、この子が進む道がわかるだろう。あと三年くらいしたら、きっとわかるだろうから。期待しながら待つとしよう」

 「何を期待するの」


 旦那さんの答えがわかっているのに聞いた。アンジュの笑顔は、そんな悪戯な笑顔だった。


 「もちろん。循環系だったら、僕が教えるよ。聖槍流の戦闘技術をさ。この子は、透明なんだ。水と風も扱えるはず。それなら僕が教えられるよ」

 

 普段から表情の変化が少ないセリオスが、こちらを見て微笑んだ。

 息子の成長を楽しみにする。顔にそう書いてあった。

反応種(カラーコード)

別名、魔力色別判断。

魔力を色で査定する。

ただし、これは相性判断であるので、他の色の魔法が扱えないという話ではない。


赤ー火

青ー水

黄ー土

緑ー風

紫ー蒸気(火と水)

黄緑ー砂

水色ー氷

茶色ー熱


混じり合わない

二色や三色。四色もある。

これらの中にも混合型もある。


黒ー特殊 

白ー変化 

金ー接続 

銀ー精密 


透明は、透明。

何にでも魔力が変化するが、何の属性に対しても得意とならない。

万能色。

器用貧乏と言ってもいい。

ただ努力次第で化ける色だ。



魔法駆動装置(マジカルギア)

魔法の発動を補助する機械。

基本は籠手型が多い。

魔法発動させるのに、手を使うのが一番手っ取り早いからだ。

応用として靴や武器もだ。

それと特殊なものはアクセサリー型。

イヤリングやピアス。指輪などなど。小道具にも仕込める。

ただし特殊のものは精巧な作りが必要で、才能ある職人が必須だ。


そして、近接武器にも当然仕込まれる。

剣や槍、盾などにも仕込むことが出来て、近接でも魔力の力を使って戦闘する。

魔力が主体の世界。

必ずしも外から放つ魔法だけに魔力が使用されるわけじゃない。

武器に魔法を纏わせて戦う場合も多い。

むしろ現代の達人たちは、こちらに多くいる。


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