第23話 魔力操作と肉体操作
探知で、山の中で人が集まる場所を発見。
「ここだ」
自然物だらけの山の中に、なんで小屋があるのだろうかと。
疑問に思ってもいけない。
悪の組織のアジトみたいな場所だろう。
「ごめんください。ドア、開いてますか」
ドアをノック。
ここは正面から入りましょう。
「なんだ。誰だ」
鍵はかかってた。
ドア越しで声が聞こえる。
見張り? 門番か?
「俺です」
「は? 誰だ」
「だから俺です」
「ふざけてんのか。てめえ。誰だって聞いてんだよ」
「俺だって言ってんだわ。ボケが! 耳聞こえねえのか」
魔力を足に全開。
前蹴りでドアをぶち破る。
鍵なんて関係ねえ。ぶち壊してしまえば、そんなの意味ない。
「ぐあっ。なにが、起こった!?」
「一人しかいねえのか。それはおかしい。ありえないな」
組織的犯罪。
誘拐は一人で行なえても、そこから身代金の要求か。勝手に売りはらう行動を起こすとしたら、人が必要だ。
人一人では出来ないはず。
だから、おかしいで確定だ。
「おい! どこにいる。お仲間はどこだ」
ドアに吹き飛ばされて、ぶっ倒れた男に跨った。
胸ぐらをつかんで脅す。
「が、ガキじゃねえ。なんだこの威力の蹴り・・」
「俺のことはどうでもいい。答えろ!」
ライラが無事じゃなかったらぶっ殺す。
それだけが俺の頭の中にあった。
「仲間。な、何の事だ」
「はい。そうですか。じゃあな」
「え!? があおは・・・お・・折れ・・・た」
尋問の時間すら勿体ない。
全力の拳で、こいつの肋骨を砕いて気絶させた。
どうでもいい事に時間を掛けている暇がない。
ここには大量の人の魔力の痕跡があったんだ。
最初から一人じゃないって分かってんだわ。
「これは、この小さな小屋に秘密がある。位置的にはここらだったんだ」
反応がここにありだった。
それで人がいないんじゃ。
考えられるのは一つ。
「下だろ。俺のあの技は、上下の位置が見極められないからな。大体の予測でしか分からないから、それを逆手に取れば」
地下がある。
たぶん。探せばどこかにあるはずだ。
だあ、面倒だ。
ぶっ飛ばす。
「はああああ。おりゃ!」
魔力弾完全拡散。
これは、あとで名称をつけよう。必殺技な感じで作り変えておこう。
中二的には名前がないとな。テンションが上がらねえ。
すげえカッコいい奴がいいから、ここはじっくり考えておこう。
魔力弾を自分から半径二十メートルの範囲で爆発させる。
自爆技のようだけど、俺の所は爆発させない。
ちゃんと周りを吹き飛ばす技になっている。
小屋が消し飛んだ。
サイズがちょうどいい感じだから、全部が弾け飛んだ。
机とか椅子とか。もちろん壁もだ。それに合わせて屋根も吹き飛んでいる。
「どこだ。床も削れたけど・・・。あった。これだ」
俺の右前に、蓋があった。
さっきの爆発で、外れかけてる。
「梯子だ」
ここから降りたら彼女の元に行ける。
急いで降りていった・・・。
降りた先の中が暗い。
松明があっても、微妙に暗い。
それと、人の気配がこの先にある。
人目に付かずにこの先は行けそうにないから、最初から全力で動くしかないか。
「ここからは近接で戦う羽目になるな。槍を持って来ていたらよかった。でも、引き返す暇なんてないからいくしかない。ライラ、待ってろ」
ここから俺は魔力弾と素手の格闘術で敵を制圧していった。
==ケイラ視点==
「クソ。なんだこいつ」
「それはこっちのセリフだ。ガキ。なんでお前はここまで戦える」
互角のような殴り合いだった。でも違和感がある。
「うっせ。早く寝ろ。沈め」
この男、強すぎる。
オレの攻撃が全部当たってるようで当たっていない。
それでオレの方は、そっちの攻撃から何とか身を守っている。
だから、実力差がある気がする。
この敵、この戦いで互角に見せてるだけなんじゃ・・・。
『ゴ―――――――――――――――ン』
大きな揺れが起きてから、細かい揺れが起きた。
一度揺れてから小刻みに揺れる場合は、あの衝撃波に近い。
もしかしたら、あいつが来たかも。
あいつ、オレがいる場所。わかってんのか。ペンダントもねえのに。
「その顔に今の音・・・そうか。ここに誰か来たってことか。ちっ。手こずってる場合じゃないな。傷つけねえようにしていたが。ここで崩す!」
「なに!?」
動きが変わった。速すぎる。さっきまでは本気じゃなかったんだ。
目ではこいつの動きを追えても、オレの体がこいつの動きに追い付かない。
「ぐはっ」
みぞおちに一撃!?
意識が持っていかれる・・・保て・・オレ!
「おらよ!」
持ち上げられて、そのまま叩きつけられた。
背中から落ちて、一瞬呼吸が止まった。
「がはっ・・はぁ。ふぅ。はぁ」
何とか空気を吸えた。あぶね・・な!?
「ねむれ! ガキ」
胸を踏みつけられた。呼吸が一瞬止まる。
まずい。意識が・・・このままだと。
あれ、あれは。あいつじゃねえのか。
めちゃくちゃ怒ってるぜ。
はっ。見たことねえ顔してやがる・・・。
あとは、たの・・む。
って嫌だ。誰にも渡さねえ。あいつが今から活躍すんだろ。
オレは起きる。絶対に・・・目開いててやるぜ。苦しくてもよ。
あいつの活躍、目に焼きつけてえ。
「馬鹿が・・・オレにかまける暇なんてねえぞ。このクソ野郎。今だけ、勝利を味わってな」
この男に言ってやった。
オレのあいつが、倒すってな。
「は!? 何言ってやがる。負け惜しみか。このクソガキ」
敵の顔がしっかり見えてる。
オレは目が良いからな。
最後まで完璧に機能してるのかも。
その顔、恐怖に沈め。
今から来る男の強さに怯えろ!
「おい。その足。どけろ」
「な!? なんだ」
「ケイラから離れろ。知らねえおっさん」
「ぐあっ」
あいつが、オレの前に来てくれた。
ボロボロだけど、オレ、助かるのかもしれないぜ。
オレの大事な人が負けるわけねえからな。
だって、オレ。こいつに一回も勝った事ねえ。
「ぶち殺す。この子を傷つけた分。お前には傷を負ってもらうぞ!」
はっ。カッコイイじゃねえか。
こいつ。いつもと違うぜ・・・。
「ケイラ大丈夫か。安心しろ。あとは俺がやる」
あれ、でも様子が変だ。
なんだか左目が変だぞ。あれ。
瞳が白目みたいに・・・なりかけてる?
目が見えてんのかこれ。
片目、失ってるんじゃ。
◇
「ぐはっ。また一人ガキが増えた・・いや、そんなことより、あいつらはどうした! なんで侵入者がいる!」
ケイラを傷つけた男が叫んだ。
「全部綺麗におねんねしてるぜ」
俺が全部倒した。
「お前の教育が悪いんじゃね? いや違うか。あそこの奴らを寝かしてあげなかったんだろ。そいつはお前が悪いんだ。寝させるなんて親の役目だぞ。忘れちまったんか?」
こういう感じが一番腹立つだろ。
お前みたいなヤクザ!
鼻ピアス男。
「このガキが!? 言わせておけば」
やっぱりな。綺麗にかかった。
ミストさんありがとう。
あなたの言い回し。参考になります。
「はあああ」
「おっしゃ!」
敵の叫びにカウンター。
敵の動きが速いけど、俺の目にはまだ見えている。
被せた拳が顎に入った。
「ぐお」
「次」
殴り。蹴り。全部が全力。
これほど人を本気で殴った事はない。
訓練を超えた先の行動に、躊躇するかと思ったが、遠慮する気持ちが全く出てこない。
ケイラのボロボロな姿を見たら、そこの部分の理性は吹っ飛んでる。
「ガキが。舐めんな」
「ん!? なんだそれ・・・・これはまずいか」
ナイフが見えた。
ギリギリのラインで見えたので、躱すのもスレスレだった。
頬が少しだけ切れる。
「ハハハ。躱しきれなかったな。ガキ」
「そのガキの顔を少し傷つけただけで、勝った気か?」
「ああ。そうだ。お前の負けだ」
なんだこの自信。
急に態度がデカくなったぞ。
いや、元々だけど、さらに大きい感じがする。
「こいつは一番厄介な武器だ。古のものだからな」
その普通の切れ味だったナイフが?
しかも、かなり小さく見えるんだが。
「もう少し経てば分かる」
ん!?
これは。
「症状が出てきたか」
魔力が練り込めるけど、違う。
これは使えないんじゃない。乱れていく感じだ。
ある意味で毒と同じか。
「わかったようだな。これは暫く。その状態だぞ。こいつは、対人間において最強の武器。目下の悲劇だ」
「おおおおおおお!」
カッケー。
名前はカッコいいな。
すげえ。テンションが上がる!
「ん? なんだこいつ。笑って叫んだ?!」
すまん。急に中二が出てきてしまった。
内なる中二の獣が、表で吠えてしまった。
オレ、重症患者なんでね。
ついつい、興味ある事には笑ってしまうのだよ。
そこらへんはスマン。
「じゃあ、乱れていくって言う毒状態か。練り込めば練り込むほど」
「そういう事だ。だから、これからは戦えねぞ。ガキ!」
「おりゃあああ」
「声だけだ。そこまでだぜ。触れ伏せ。生意気なガキ」
敵の攻撃を受けつつ、自分を探る。
魔力の動きが狂う。
足に入れると、手に入る。
手に入れると、腰に入る。
首に入れると、膝に。胸に集まると腹に。
全部がバラバラになっていく。
探っている間、しばらく俺が一方的にボコられていると。
「お前。逃げろ。オレのことはいいから、逃げろ」
ケイラが心配して、叫んできた。
この子、俺に対して心配する事あるんだな。
いっつも茶々入れて、軽い喧嘩になるから、心配なんてしないもんだと思ってた。
あの子らの中で一番俺に興味がないのかと思ってたよ。
「何言ってんだ?」
「にげろって。オレはいい。お前は生きろって」
そんなに心配するか。
逆に驚くわ。
「だから何言ってんだ。ケイラ。俺が負けるって思ってんのか」
「は?」
「俺はお前たちを置いて逃げねえ。絶対守る。いいか。スーパーレアを手にしている俺が、ここで逃げ出す? そんなん馬鹿がする事だろ」
「は?? 何言ってんだよ」
そうだ。
ライラたちはスーパーレアの俺の仲間だ。
SRだぞ。
違うかもな。
URかもしれない。
レアリティは、ウルトラレアだ!!!
守ってみせる。まあ別にレアリティなんて関係ないけどな。
「俺に任せろ。いいな。心配するくらいなら、応援しろ! それが出来ねえなら、黙って見てろ!」
「あ? 何言ってんだ?」
いくぞ。大体理解した。
この毒、別に魔力が練り込めない訳じゃない。
乱されるだけだ。
「なら、こうよ!」
敵の拳をキャッチする。こっちも魔力を込めてだ。
「な、なに、肉弾戦を!? 毒が効いてるはずだぞ。ありえない!」
「あんたのそれ。すげえ便利な道具だけど、俺には通用しない。俺は、生まれた時から魔力操作してるからな。乱されても屁でもねえ」
「はぁ? 何を馬鹿を言って・・・」
嘘じゃない。
こちとら、生まれた時から、魔力鍛えてるんだわ。
魔力を自分のどこに流してるかなんて、目瞑れば一発で分かる。
「こういう感じだろ。俺の体。いう事聞けや!」
俺の命令通りに、動けや。
俺!
「ぐはっ。そんな馬鹿な。この威力。魔力を拳に乗せてねえと出せねえ威力だ」
成功だ。右拳は左足だな。
そこに流すつもりだったら、魔力が乗るわ。
だから、ここで気をつけるのは、動かす筋肉の箇所じゃない部分に魔力を流す事だ。
間違えないようにしないとな。
「それで終わると思ったか。もう一発」
右足に魔力を込めて、左手で殴る。
おっさんの体が吹き飛んだ。
この部屋の中央でおっさんが膝をつく。
「がはっ。馬鹿な。また!?」
俺の優勢。
「勝機は、魔力コントロールの差って事だな」
やはり、魔力の基礎学習は、最強の基礎を作る。大切な勉強であるらしい。
赤ん坊からの修行。
それは、間違っていなかったようだな。
俺のここまでの頑張り実ってるらしい。




