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中二ゆえに異世界へ  作者: 咲良喜玖


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23/25

第22話 それぞれが見た状況

 ==ライラたち視点==


 「・・・・誰」


 うちの前に知らない人がいた。お屋敷の中にはいない人。

 鼻息が荒くて気持ち悪い。


 「お前がライラだな」

 「・・・・違う」

 「嘘つけ。黒髪ロングの少女だって話だ。そんな奴お前しかいない。他にいてたまるか」

 「・・・・ライラ違うし」


 黒髪ではあるけど、うちはナイラだし。


 「こっちに来い」

 「・・・・いかない。忙しい」

 「何言ってやがる。黙って座ってるだけだろうが」

 「・・・・目が見えないの。うち、本読んでる」

 「ふざけやがって、こっちに来い」


 知らない男が近づいてくる。

 気持ち悪い。知ってる人ならいいけど、知らない人は嫌だ。

 男の人は特に嫌。

 触れる以前に近くにいて欲しくない。

 ミスト。ケイ。二人以外は嫌。


 「・・・・離れてよ。臭い」

 「このアマ!? なんで冷静なんだよ。おらよ」


 お腹を殴られた。

 痛い。

 だけどこれは、まずい状況?

 

 魔力を小さくして練り込む。

 小声にして、言葉に力を乗せる。


 「・・・・展開」


 命の危機まではいかない。

 だけど今も危ない状態。

 この男の目的はうちにあって、どこかへ連れ出すつもり。

 ついて来いって言ってるし。

 

 だから・・・ここに発動タイミングを合わせる。

 窓。三番目の窓から出る。

 ここ!


 『足跡作成(ビターステップ)』 


 気付いてケイ。

 うちの魔法。こいつが踏んだよ。

 この男の足跡で、こっちに来て!

 お願い。

 うちを見つけて!

 ケイなら出来る。うちを見てくれる。



 ◇


 うちは今、男の肩に担がれて移動している。

 気持ち悪い。触れられたくない。離して欲しい。


 ・・・ここは森の中?

 木々がある。木の匂いだ。


 「クソ。人が多すぎたからな。森から移動になるのかよ。面倒だぜ」


 臭い男の独り言。こっちが言いたい事。


 「そんなに面倒なら、うちを降ろせば」


 だから言ってやった。


 「なんだと。この女。自分の状況が分かってないようだな」

 「・・・うちを誘拐」

 「は! 気付いてんじゃねえか」

 「・・・当然、うちなら分かる」

 「なんだこいつ。なんで余裕があるんだよ」 

 「・・・知らない」

 「こ、こいつ!」


 怒ってる。

 勝手に。


 「・・・降ろして」

 「誰が降ろすか」

 「・・・じゃあ黙って」

 「んだと」

 「・・・臭い」

 「この女!!!」


 怒らせた。

 お腹を殴られる。

 痛い。臭い。嫌だ。


 うちを運んでいるのがケイだったらいいのに。

 こんな男、嫌。

 ケイは良い匂いがする。

 魔力が綺麗だ。

 心が純真だからだ。

 こいつは汚い。

 心が汚いからだ。


 うち、魔力を鼻で感じるみたい。

 だから嫌。生理的に嫌。

 無理。

 ムリ。

 嫌。

 超無理。

 早く来て、ケイ。

 この匂いを消して。

 近くにいてくれたら。

 こいつを消臭できる。

 あなたの良い匂いで・・・。


 「黙れ」

 「・・・・く」

 「なに」

 「・・・・さ」


 腹が立つから一文字ずつ言った。


 「おい。急にどうした」

 「・・・・臭い」

 「この女!」

 

 また殴られた。

 

 ◇


 どのくらい移動した?

 だいぶ移動したと思う。

 この人、足が遅いと思うけど、ケイは?

 ケイの足ならすぐに追いつけるはず。

  

 でもケイは・・・。

 朝からお出かけってメイドの人が言ってた。

 来てくれるかな。

 来てくれるよね。

 気付いてくれるかな?

 気付くよね。

 ケイなら、うちの魔法の全部。

 ケイなら、知ってるはず。

 発動した魔法を見つけてくれるはず。


 「ここからなら出てもいい。町の奴らもいないはずだ」


 森から出た!?

 木が無くなってる。

 

 左を見た。

 長く移動してきた割には、町が近くに見える。

 まだ遠くない

 森の移動で遠回りしたんだ。

 膨らんで移動して、北側に進んだ・・・。

 このままだと、山に向かうのかな。


 「・・・くっ!?」


 うちにふらつきが出た。まさか魔力切れ?

 早い。いつもよりも消耗が・・・。

 まずい。魔力切れになりそう。

 こうなると、魔法が切れちゃう。

 うちの出現限界になりそう。


 ケイの予想。

 感情の大幅な揺れ動き。

 心身の不調。

 魔力の大きな乱れ。

 そして魔力切れ。

 これらで、うちらは変わっちゃう。

 うちが交代になっちゃったら、足跡作成(ビターステップ)が切れちゃう。

 そしたら、ケイが・・・。


 どうしよう。


 『ボクが少し貸そう!』

  

 え!? 誰?


 『ボクの分を少しだけキミの魔法に足すよ』 

 

 だ、誰??


 『カレが来てくれるのを待とう! 希望はある! 諦めないで』


 う。うん。


 誰かの声が聞こえた気がした瞬間。

 うちの魔力が少しだけ上がった。

 まだ足跡作成(ビターステップ)が出せる。 

 限界まで引っ張る。


 「・・・・はぁはぁ」

 「急になんだこいつ。息が荒いぞ。は。興奮でもしてんのか。連れていかれて嬉しいってか。ションベン垂らすなよ。嬉れションすんなよ」

 「・・・・うるさい。黙れ。クサ男。うちは集中してる。邪魔すんな」

 「このアマ!!!」


 殴られても気にしない。

 ここは限界・・・ま、で。


 あとは、お願いみんな。

 ケイに繋いで・・・。

 うちはもう無理みたい。



 ◇


 「は!?」


 お腹が痛い。

 それにこの状況は?

 足が地面に着いていない。

 え? どういうことですか。

 私が置かれている状況を把握できません。

 ということは、ナイラになっていましたね!?


 まずい。何もわからないです。


 「うるさい。黙ってろ女」

 「え? ど、どなたです」

 「は? なんだこいつ? 急に礼儀正しく?」


 男の人に触られて、気持ち悪いです。嫌です。

 全身の毛が逆立っています。

 昔を思い出して、嫌です。特に大人は、父が怖くて。

 は、吐きそう・・・。


 「・・・何、この状況? あ、あなたは?」

 「さっき自分で言ってただろうが。なんだこいつ」 

 

 何を? ナイラが何かを言ったのですね。

 何を言ったのでしょう。


 「もうすぐアジトだ。黙っとけ。次に口を開いたら、顔を傷物にするぞ」

 「・・・・」


 アジト。黙れ。傷物。

 担がれている状況。

 ここから分かる異常事態は、誘拐でしょうか。拉致?

 手足は縛られていませんが、魔力が上手く練れない。

 これは・・・、この人の手袋が魔力を吸っていますね。

 

 それなら、ケイオス君に頼むしか?

 え、彼がそばにいない?


 そうだとすると、緊急事態ですね。

 ならば。


 お願い。来てください。


 魔力と願いをペンダントに込める。

 注がれる魔力で、彼の光と共鳴させることが出来る。

 

 知らせなきゃ。

 ケイオス君が言っていた。


 『ナイラから目覚めたら、俺の確認が最優先。ここが重要だよ。いいかい。君は他の子とは情報共有できてるけど、彼女の時だけは繋がってないようだから。俺を頼ってくれ。そんで、近くにいなかったら願って。ルカちゃん先生がくれたペンダントにさ。俺が絶対に君の所まで行く』


 ケイオス君なら来てくれる。

 こんな状況でも助けに来てくれる。

 だって、私の事を友達だって。

 初めて会った時も、好きだって言ってくれましたから。

 信じてます。

 ミスト叔父様。ルカ様。ケイオス君。

 この三人だけは、私を助けに来てくれる。

 ケイオス君なら絶対に来てくれる。


 「・・・・」


 ここは、山?

 斜面を登ってる?

 

 「もう少しだ。やっとだ。生意気な小娘の荷運びなんて、面倒な仕事。二度とやらねえ。イイ女だったらやるけどな。俺が遊んだ後にでもな。キヒヒヒ」


 運んでる男性が嫌々そう。

 これが仕事。私を誘拐するのが?

 誰がこんな仕事を? 

 この人が決めた事じゃないですね。


 「おい。来たぞ。開けろ」

 

 山小屋の様な場所。

 入り組んだ場所にあるから、人目がつかない。

 これだとケイオス君が追いかけてきてくれても、わかるのでしょうか。

 正確な位置を知らせていると思いますが、このペンダント気付かれないようにしないと。

 光っているのが見えないようにちゃんと頭を下げておかないと。


 「お前か。入れ。連れてきたんだな」

 「ああ。俺の取り分は! これ、成功だろ」

 「頭に渡せ。そしたら頭から金の配分は言われるぞ」 

 「は? ここまで運べばもういいじゃねえか」

 「地下。いけ。地下」

 「ちぇ。面倒だ」


 小屋に入って、すぐの所に、地下に繋がる梯子があった。

 不安定な状況で、私は降りていく。

 正直怖い。

 下が見えて降りていく。


 「くそ。女がいるから降りにくい」


 階段を降りた先はどこか洞窟のような場所。

 暗く。じめじめ。

 でも松明で灯りを取っているから、意外と明るい場所もある。

 等間隔で照らされている。


 「もうすぐだ。今度こそやっとだ」


 男は仕事を終えそうだと言った。

 なら、終着点に私は向かっているんだ。



 ◇

 

 どこかで止まった。

 下を向いているから、状況が分からない。

 人はこの運んでる人以外だと、一人だ。


 「頭」


 前に人がいるんだ。

 頭って人だ。


 「来たか。そいつで合ってるか」

 「ええ。こいつがライラですぜ。屋敷からパクりました」

 「そうか。じゃあ、そこに置いておけ」

 「へい・・・」


 私を離さずに、男が立ったままになった。


 「ん? 何してる」

 「頭、金は?」

 「は?」

 「金貰いたい。先に」

 「は? お前程度で俺様と交渉できるとでも思ってんのか、あ?」

 「じゃあ、このままこいつを殺してもいいですよ」

 「・・・」


 え。殺す?

 でも、これが頭って人への脅し文句になるのなら、私を殺すことは目的じゃない!?

 そういう事ですよね。


 「いいすか」


 首元にひんやりする物が置いてある。

 形状からしてナイフだ。

 このままだと死ぬ。


 「ちっ。コノヤロ。払う。がまだ金がねえ」

 「いくらすか。俺の取り分はいくらになりそうっすか」

 「黒金30だ」

 「は? 少なくねえすか。本当すか」

 「俺様が引き受けた仕事が、100だ。3割貰えたらまだいいだろ。実行犯でよ」

 「半分は」

 「馬鹿。じゃあ、お前がこの仕事を取れたんか。雑魚一人で。大物と交渉できるのか」

 「・・・できねえっす」

 「だったら満足しろ。一般人なら泣いて喜ぶ額だぞ」

 「しゃあねえ。あそこに降ろします」

 「文句言わずに、とっととやれ。ボケ」


 黒金!?

 かなりの額です。

 そんな額を・・・私に価値があるのですか?

 黒のコード持ちなだけですよ。


 「じゃあな。ガキ。どこ行くか知らねえけど。可愛がってもらえ。ブサイクな男にでもな。キヒヒヒ」

 

 私を運んでいた男が、目標地点の地面に私を投げた。 

 ここで話していた頭と呼ばれる男の顔が見えた。

 顔に傷がある。半裸の男。


 「・・・」

 「おい。お前」


 その男が私を見て血相を変えた。


 「それは・・・まさか!」

 

 私のペンダントを見て、怒りだした。


 「お前。仕事をちゃんとしてねえぞ。馬鹿が。ちゃんと出来ねえ奴は駄目だ」


 怒った男は定位置から移動していた。

 椅子に座っていたのに、いつの間にか移動していて、私を運んでいた男の人の背後に回る。


 「ぐあっ・・・か、かし・・・ら・・・な、なんで」

 「仕事。ちゃんとしろって、前から言ってんだよ。約束破る奴は死だ」

 

 男の人が倒れた。

 血を流して・・・。


 「きゃああああ」


 首が切られていた。

 あの一瞬で、この男性は人を殺した。

 移動が速すぎる。

 これは、循環系。肉体強化の移動です。


 「この女。誰に知らせてる! この首飾り。共鳴してるじゃねえか !」


 私に近づいて、頭と呼ばれた男性は首飾りを握る。


 「や。やめて。こ、これは」

 「やはりな。こいつで誰かに知らせてんだよな。その慌てよう!」

 「やめて。それは大事なの・・・命よりも大事な・・・」

 「ふん。そんなものあるわけねえだろ」


 引きちぎられて、外された。

 大切な宝物が、私から離れていく。

 あれさえあれば、私は彼と離れていたって、一緒にいられる。

 大事な・・・大事な・・・。


 「こいつの光、魔力で繋がっていた。今失われてるのはそういう事だろ。じゃあ、これは壊すに限る」

 「や、やめて! 壊さないで」

 「誰が言う事聞くか。こいつは壊す」


 首飾りに足が乗る。

 そこから力が加わった。

 パリッと音が鳴り、粉々になった破片だけが、私の目の前に残った。

 

 「いや・・・・ああああああああああああ」

 「ああ。ああ。可哀想なこった。大事なものだったか。そんなに。よだれまで流して泣きやがって」

 

 私の・・・。私の大事な。大切な宝物が・・・。

 あの人と繋がっていた宝物が壊れちゃった。


 ・・・あ、まずい・・・意識が変わる。

 私の体に意識が引き寄せられてる・・・この感覚はケイラ・・・。

 この場面でケイラはまずいかもしれない。

 あの子だと戦っちゃう。

 この人、強い・・・。

 ケイラ・・・逃げて・・・お願い・・・無理ですよ。

 強すぎる・・・の。あなたじゃ勝てない・・・彼じゃなきゃ・・・。

 ケイオス君じゃないと・・・。




 ◇


 なんかちょっと体が痛い。

 何が起こった。

 あいつらは無茶する奴らじゃねえから、体が痛いのは珍しい。


 「あ!? てめえ。誰だ」


 知らねえ男がいた。

 鼻にピアスして、牛みてえな奴だ。


 「ん? なんだこの女、泣いてねえ? 雰囲気が変わった? 魔力を出せてるだと、なんでだ。あの手袋で全部吸いきってねえのか。あの馬鹿が、仕事できねえ奴だ」


 わけわからねえ事を言い続けてやがる。


 「知らねえ場所だな。なんだここ。じめじめしてんな」


 周りを見てもわからねえ。オレが来たことない場所だ。

 何が起こった。

 わけわかんねえ。知らねえ奴もいるし。


 「あいつは? どこだ」


 あいつがいない。

 目覚めたら、まずあいつを探せってのが、オレの最初の行動だろ。

 あいつの方がどこにもいないんじゃしょうがねえだろうが。

 ちぇ、探しに行くか。

 ったくよ。そばにいろよな。

 めんどくせー。

 つうか。そばにいるからねとか、言ってたじゃねえか。

 全然いねえ。

 は? オレと一緒にいろよ。あいつ!

 約束したじゃねえか。


 「てめえ。あいつどこいるか知らなねえか」

 「誰の事を言ってる?」

 「あいつだ。あいつ。オレは、最初に会わないとあいつに怒られる」

 「は?」

 「目覚めたら会うのが約束だ。じゃないと。オレが怒られる。オレが起きたって確認取ってもらわねえと」

 「何を言ってんだ。このガキ」

 「あいつだっつってんだ」

 「何言ってんだ。誰の事だ!」

 「あいつを知らねえなら。てめえは敵だ!」

 「は!?」

 「人相悪いし。別にいいだろ。攻撃開始だ!」


 魔力を足で爆発させた。

 移動を最速に持っていって、その流れのままで、拳の威力を最大に持っていく。

 だから、魔力の流れってものを感じながら、戦うんだよ。


 この戦法。あいつに教わった戦闘術だ。

 魔力を全開にして回したら、スタミナ切れちまうからな。

 長く戦うには、効率良くだぜ。


 「ガキの速度じゃねえ」

 「ちっ。躱すか。これを」


 この男も速い。オレのパンチを見極めたぞ。

 そんなの出来るのは、あいつだけ。

 ルカも、ミストも出来ねえ。


 「ん!? これは・・・」


 地面に粉々になったものがある。


 「どうしたガキ。ああ、そうか。お前泣いて喚いていたのも忘れたのか」

 「泣いて喚いた!? オレが?」


 これは、あいつとおそろいの奴。

 まさか。


 「ない!」


 オレの首元のアクセサリーがない。

 鼻ピアス!

 こいつが壊したのかよ!


 「ふざけんなよ。てめえ。ぶっ殺す」

 「威勢がいいガキだ。急にどうした」

 「てめえだけは許さねえ」


 大事なもんを壊しやがって。

 絶対殺す!

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