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中二ゆえに異世界へ  作者: 咲良喜玖


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第15話 わかった

 「ルカちゃんだ」

 「はい。ルカさんですね」

 「ルカちゃんだ」

 「はい。わかりました」 

 「ルカちゃんだ!」


 ・・・・ん?

 なんで三回も?


 「ルカちゃんだ!」

 

 四回目だ・・・そうか。そう呼べってことか。


 「ルカちゃんですか」

 「そう! よく気付いたのう」

 

 いや、あれだけ言われたら、そう呼べってことだよな。


 「じゃあ、ルカちゃん先生でいいんですか?」


 ルカちゃん師匠じゃ言いにくいし。

 これでいいや。


 「お。いいぞ。少年。ネーミングセンス抜群じゃ。あの馬鹿弟子とは違うのう」

 

 意味が分からないけど、褒められた。


 「ルカちゃん先生。ミストさんを倒した技は・・・魔法ですか?」

 「ルカちゃんの動き。あれが見えてたのかい」

 「はい。見えてました」

 「ほう。やるのじゃな。見どころ大ありじゃな」

 

 また褒められた。


 「馬鹿弟子を蹴った技は風弾頭蹴り(ルカちゃんキック)だ。奥義だ」


 キックが奥義なんだ。

 魔法使いなのに?


 「風弾頭蹴り(ルカちゃんキック)? 風魔法なんですか」

 「うむ。自分を風魔法でぶっ飛ばして突進する技だ」

 「それは・・・循環系では出来ない。放出系の技なんですね」

 「うむ」

 「・・・そうか。体中に風魔法を纏い。勢いをつけるのも風魔法で始まる。そしてその反動を制御するのも風魔法か。色んな風魔法で、あの一瞬の威力を生むのか」

 「よくわかったな。お前さん何歳じゃ」

 「8です」

 「うむ。逸材じゃな。セリ坊の子っちゅう話じゃったが・・・ほんとか?」


 セリ坊って、セリオスって意味だよな。


 「はい。そうです。セリオス・ブレイクの子です」

 「ブレイク? なんじゃそりゃ」


 ぶっ飛ばされたミストさんがこっちに来た。

 あれだけの威力がモロに当たっていたけど、全然へっちゃらそうだ。

 真顔だ。

 でも痛みを我慢してたりするのかな?


 「セリオスの偽名ですよ」

 「偽名じゃと!?」

 「ええ。この子を守るためにですね。ランドルフを捨てて、ブレイクとなったようです」

 「なぜじゃ?」

 「それが・・・」

 

 ミストさんが説明した。

 アンジュの事も一緒にだ。


 「なんともまあ、大変な事をしでかしたもんじゃな。セリ坊も」

 「ええ。まったくですね」


 納得してくれた模様。

 頷いては、ああ大変じゃと言っている。


 「ケイ坊」


 セリ坊にケイ坊か。まあいいや。


 「はい」

 「古代魔法を知りたいっちゅう話じゃが。なんでじゃ?」

 「面白そうだからです!」

 「・・・・ん?」

 「面白そうだからです!」

 「同じ事言うなじゃ。聞こえとるじゃ。ルカちゃんは、歳取っても耳が良いのじゃ!」


 自分は四回も言ったのに?

 俺は二回で怒られるの?

 理不尽じゃない?


 「いや。だって・・・返事がなくてですね・・・」

 「面白そうだけでやるのかじゃ? 現代での強さはいらんのじゃ?」


 俺の言葉は無視してんじゃん。

 聞こえてないんじゃない? 

 耳遠いんじゃん!


 「いらないです。俺は、面白いで生きてます。学習するなら、好きな事で生きたい!」

 

 やりたい事をやる。

 でも強さにも結びつくと思う。

 誰も持っていない魔法を持っていたら、俺の方が有利だぞ。

 そういう意味では強さを作れるはずだ。

 アドバンテージはこっちだ。

 知らないって有利になるよ。たぶん・・・。

 

 「ふ~ん。中々面白い小僧だの。どうしようか。この歳で、古代魔法か」


 やっぱり若すぎるのか。

 8歳だもんな。

 覚える年齢じゃないってのはよく分かるな。


 「まあ。やってみて。合わなかったら辞めればいいだけじゃな」


 試しにやっか!

 そんな感じだ。


 「じゃあとりあえず。循環をルカちゃんにみせてけろ。高速で回してみてくれじゃ」

 「わ。わかりました」


 高速で全身をってことは、放出系の確認だな。

 よし。集中。集中。

 目を瞑って、研ぎ澄ませる。

 全身を潤わせるイメージで、水を流す感じで魔力を出す!


 「はい!」

 「おお。これは・・・循環系の魔力循環を持ちながら、放出の力も強そうだ。不思議な男じゃな・・・魔法使いで、ルカちゃんクラスにもなれて。魔闘でアルビオンクラスにもなれそうなのか」


 ルカちゃん先生は、ニヤリと笑って言った。

 俺の魔力に満足しているみたいだ。


 「おい馬鹿弟子」

 「なんですか。馬鹿師匠」

 「む! ルカちゃんだぞ」

 「お婆ちゃんですか」

 「むむ!」


 この二人の関係凄いな。

 ミストさんも一歩も引かねえわ。


 「この子。預かるじゃ」

 「決めましたか」

 「うむ。すでに強いじゃな。綺麗過ぎて、ちょっち危ういけどの」

 「そうですね。それでも綺麗な魔力のままで行きたいですよね」

 「ああ。そうじゃな」


 いつか綺麗じゃなくなる?

 そう言っているのか?


 「それじゃ、もう一人も見るかの」

 「もう一人?」


 ルカちゃん先生は、ライラも見る予定だったらしい。

 彼女の部屋へ移動となった。



 ◇


 「どれ」


 ルカちゃんは、色んな方向からライラを見た。

 ちょこまか動いて、後ろから横からと忙しい。


 「・・だ・・・誰です」


 たくさんの方から見られているライラが物凄い困った顔をした。

 このバージョンは、基本形態がもじもじしている。

 引っ込み事案で、話すのに時間が掛かるライラだ。


 「ルカちゃん先生だ」


 ルカちゃんじゃなくなった。

 最初から先生になってる!

 本当に気に入ったんだ。


 「ルカちゃん先生?」

 「うむ!」

 「・・・・くっ。頭が・・・」


 来た。これ来ると変身するぞ。

 別人に変わる。


 「どしたじゃ」

 「ルカちゃん先生。ちょっと離れて」

 

 俺が言うと。


 「どうしてじゃ?」


 ルカちゃんが聞き返してきた。


 「変わるんだ。別人みたいに」

 「別人?」


 頭の痛みが治まる。


 「あ? 誰だ。てめえ」

 

 顔つきが変わる。常にイライラしたような雰囲気。

 怒りん坊のライラだ。

 口調も激しく、口も悪い。


 「・・・これは、なんじゃ。黒の力にしても変じゃな」


 黒の力?

 そっか。彼女のコードが黒だったな。


 「ミスト。天性鏡があるか?」


 ルカちゃん先生が真面目に言った。


 「ありますよ。こちらです」


 だから、ミストさんも真面目に答える。

 悪ふざけ無しでも会話が出来るみたいだ。


 「くれじゃ」

 「はい」


 投げ渡されても、ルカちゃん先生は天性鏡をキャッチした。

 小さな手鏡を、ライラの額に置いた。

 お腹じゃなくても反応するのか。

 それを初めて知った。


 「四色じゃ」

 「「え!?」」


 俺とミストさんが驚いた。


 「この子は四色じゃ・・・これはどういう事じゃ。ミスト。話によると、黒じゃよな?」

 「ええ。黒でしたよ。この子が赤ん坊の頃で黒を見てます」

 「・・・なんだこれは・・初めての経験じゃな」


 ルカちゃん先生でも分からない事態。

 当然俺では何もわからない。人生経験の差が激しい。


 「邪魔だ。てめえ。オレに触れんな」

 

 ライラが、ルカちゃん先生の手を払う。

 バシッと手首に攻撃を当てられても、ルカちゃん先生は微動だにしない。


 「・・・少し乱す。ちょっとだけ我慢せい」

 

 ルカちゃん先生は自分の魔力を彼女に当てたらしい。

 体内の魔力を乱しているみたいだ。


 「ぐあああ。な、何しがやる。てめえ・・・」


 まさか。強制的に頭痛を起こしてる?


 「・・・あら。あなたは、誰?」


 また別人のライラだ。

 あれはぺたぺた人に触れたい甘えん坊のライラで、人懐っこい感じになった。


 「天性鏡を出す・・・これは、白じゃ!?」

 「「え??」」


 また俺とミストさんが同時に驚いた。


 「なんじゃ、この娘・・・変わっておるのじゃ」

 「変わってる? あたしが?」  

 「ああ。そうじゃ。今は会話ができそうじゃな」

 「会話は誰でも出来るでしょ」

 「いや。さっきまでのお前さんは無理じゃったぞ」

 「さっき?」

 「覚えておらんのじゃ?」

 「あなたに会った事ないわ。あ。ケイオスがいる。あたしと遊ぼうよ」


 この感じの時のライラは、俺とよく会話してくれる。

 コミュニケーションが普通に取れるから、俺的には一番助かる形態だ。

 

 「あとでにしましょう。今はやめておきましょう」

 「ええええ。一緒にあそびた・・・ぐっ」


 ルカちゃん先生はもう一度魔力を乱した。


 「・・・だ。誰・・・うちに何かした? あ、あなたも良い匂い!?」


 また変わる。

 このバージョンのライラは、口数がぐんと減る。

 オドオドしているわけでもなく、ただ単に静かなだけだ。


 「また違っているようじゃな。どれ」


 天性鏡をかざす。


 「これは銀じゃな」

 「「銀!?」」

 

 今度もまた変化した。

 人の色に変化が起きるのは白だけなはず。

 それが、こんなにも色が変わるなんて・・・。


 「師匠。これは、どういった形でしょうか」

 「わからん。何がどうなって、この娘は、変化を起こしているのか。ルカちゃんでも分からんぞ」

 

 二人が真面目に会話している。

 それだけでも珍しい場面だ。


 「これだけ変化すると、難しいのう。ミスト。生まれた時は黒じゃったよな。そういう話だものな?」

 「はい」

 「白じゃないよな?」

 「ええ。黒でしたよ。私の兄と義姉が確認しています」

 「・・・じゃあ、白から変化したという線でもないのう」


 そうか、さっき白の時があったな。

 それが変化してという予想だな。今の話は。


 「う~ん。何がどうなって変化するんじゃ? 歴史にもこういう人間がいないのじゃ」

 「そうですね。そういう情報がないですね」


 俺、一つだけ思ったんだけど。

 これ前世の記憶からだから、こっちの世界で当てはまるかわからないんだけど。


 「あのお二人とも。ライラ様は、もしかして多重人格では?」


 俺の予想はこれだ。まるで別人。

 全部が全部変わっていくような感覚があるから。

 俺はそう思った。


 「なんじゃそれ?」「なんですかそれは?」


 あ、ないな。こっちの世界にその言葉が無かったみたいだ。


 「多重人格です。人格がたくさんある人です。分離されていたり、繋がっていたり、人の中にもう一人、人がいる状態です」

 「・・・・なぜ? そんな事になるのじゃ?」

 「おそらく、怖い思いをしすぎて、切り離したかもしれません」

 「切り離した?」

 

 俺の予想は、あくまでも前世の記憶。

 それも、中二の頃に雑に調べているからさ。

 完璧な答えは言えない。曖昧だろう。

 でも調べてたんだ。だって多重人格ってカッコよくないか。

 漫画やアニメだとさ。変身したみたいじゃん。

 中二心を擽るよね。

 多重人格、豹変系の主人公ってさ。


 「はい。人格を切り離していって、記憶を共有したりしなかったりするんです」

 「・・・・それはどういうことです。ケイオス君」

 「たぶん、本来の人格は、ライラ様。生まれた時に計測した。黒のライラ様かと」

 「黒のライラ?」

 「それで、今のこの子はまた別の子。ここで一つ確認を」


 俺は自分の予想を確信にするために行動に出た。

 彼女の前に行って、中腰になって目線を合わせた。


 「あなたは、どなたです?」

 「「?????」」


 二人は驚いていたが、このまま突き進む。

 彼女には答えて欲しい。


 「あなたは、ライラ様じゃないですね」


 たぶん、名前が違う。別の誰かを生みだしたはずだ。


 「・・・うちはナイラ」


 来た。多重人格だ。


 「やっぱり! ライラ様から人格を切り離したんだ。今までの子。それぞれが一人ずつ違うはずだ」


 俺は見つけた。 

 多重人格の少女を。


 俺は、最高の人物を見つけた。

 困難な時代の中では己の行く先を制御するのも難しいのに、己の内面を制御することも出来ない彼女。

 俺はこの子をこれから見守る役割をしてみせる。


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