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中二ゆえに異世界へ  作者: 咲良喜玖


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第11話 記録 ①

 ==アンジュの日誌==


 勇印(セレイブ)歴9641年5月11日。


 私の子。ケイオスが誕生した。 

 玉のように可愛い男の子。

 とても可愛い男の子。

 可愛すぎて食べたいくらいに可愛い男の子。

 可愛いが溢れている子。

 それが私の息子で、彼の子供。

 一生をこの子に捧げる。

 夫婦でともに、この子に全部を・・・。



 勇印(セレイブ)歴9641年6月1日

 

 ケイオスが急に母乳を吐くようになった。

 上手く飲めないみたい。

 心配で次もすぐにあげるんだけど、また飲めない。

 口から溢れて苦しそう。

 どうしたらいいんだろう。セリオスで試せばいいのかな。

 でも飲んでくれるんだろうか。

 大人も飲めるの?



 勇印(セレイブ)歴9641年6月6日

 

 無事に飲めるようになった。 

 スクスク元気に育って欲しいな。

 


 勇印(セレイブ)歴9641年6月9日


 色が透明?

 そんな話聞いたことがない。どうしたらいいの。

 魔力がない人間なんてこの世にいない。

 そんな子を私が産んだとなったら、この子にどんな顔をすればいいの。

 魔力がない子に産んでごめんなさいって。

 謝ったって、取り返しがつかないわ。 

 どうしよう。セリオス。大丈夫よね。



 勇印(セレイブ)歴9641年8月1日


 色が透明はバランス型の色みたい。

 よかった。魔力は持っていて。

 私のせいで大変な人生を歩ませることになりそうだった。

 ただでさえ大変なんだ。私の子供ってだけで大変なんだよ。

 それなのに、そんな重荷を背負わせたら・・・。

 とりあえずよかった。透明がよく分からないけど。


 

 勇印(セレイブ)歴9642年1月22日

 

 ケイちゃんは、いつもコソコソと移動しているみたい。

 本を持つのが好きみたいで。

 私がチラッと彼を見ると、絵本とか。普通の本とかを手に持ってる事が多いの。

 それに中の絵をよく見てるから、美的センスがあるのかもしれない。

 芸術家になるのかもね。それも良さそうね。

 戦うよりも普通に生きることが出来るかもしれないわ。

 でもセリオスがいつも言っているように、身を守るくらいは強くないと駄目かも。

 せめて騎士団レベルの強さはないといけないのかもしれない。

 聖槍流か・・・センスが必要よね。

 セリオスの子だし、大丈夫よね?



 勇印(セレイブ)歴9643年5月11日


 二歳にして魔力が綺麗。

 それは戦わない私でも分かった事だった。

 とても穏やかで、とても静かな光。

 あの光は、お会いした事のある伝説の偉人。

 アルビオン様にも似ていたわ。

 あの方もそんな光だったわ。

 静寂の閃光(ブリューナク)に似ているなんて、おこがましいかもしれない。

 親バカかもしれない。 

 でもそれくらいに、ケイちゃんの光は綺麗なの。

 信じられないかもしれないけど、とても綺麗なのよ。



 勇印(セレイブ)歴9643年6月12日 


 ここ最近のセリオスは、凄く楽しそうに日々を過ごしてる。

 ケイちゃんの成長が楽しみだって言っていた。

 わずか一週間であの槍を操っていると言ってた。

 一カ月経った今では自由自在に使ってるって。

 まだ二歳。それであのレベルはおかしいくらいだって言ってた。

 ケイちゃんは、順調に伸びたらお師匠様の領域まで行くんだって。

 セリオスも親バカになっちゃったのかな。

 って思ったけど、私もそう思い始めた。

 あの槍捌きは・・。

 昔、聖道騎士団の訓練を見た時の兵士と、そんなに変わらない気がしたんだ。

 大人と変わらないってことは、この子はまだ二歳よ?

 末恐ろしいのかもしれない。

 本当にアルビオン様に・・・なれるのかもしれない。

 その器があってもおかしくない。

 


 勇印(セレイブ)歴9644年8月1日


 裏の山でピクニック。 

 家族水入らずで、同じ時間を過ごす。 

 私の料理もだいぶ板についてきた。

 セリオスから習って、五年くらい経ったのよ。

 そりゃ美味しくなかったら悲しいわよね。

 ケイちゃんはいつも美味しいって言ってくれるし。

 そういえば、嫌いなものがないわ。

 ケイちゃん、何でも食べるわね?

 あれ、何か嫌いものってあるのかしら。

 好き嫌いがないって素晴らしいことだけど、子供の時から無いと逆に不安になるわね。

 


 勇印(セレイブ)歴9646年6月6日


 とんでもない女が家に来た。

 義兄さん。義兄さんって。あの女、誰よ!

 セリオスが浮気するなんて信じられない。

 酷い! 嘘つき。

 一生大切にするって言ってたのに!

 次、あの女が来たら!

 ケイちゃん連れて出て行くもん。

 

 セリオスのカッコいい顔なんて二度と見ない!

 二度と見てあげないよ。

 絶対見ないんだよ!

 ・・・ちょっとやだな。

 でも見ないんだ!

 ・・・いやどうしよう。

 次・・・の次に出たらにしよう。

 そうしよう。



 勇印(セレイブ)歴9646年6月13日

 

 嫌いなキュウリを出してやった!

 どうだ。

 反省しろ!

 ごめんなさいって言え。


 って思ってやったのに、のらりくらり躱してきた。

 ケイちゃんを盾にして、あの人言い訳ばっか。

 酷い。浮気も本当かもしれない!

 嘘ばっかりだもん。嘘ついて結婚したんだ。酷い。

 酷い酷い酷い。

 ああ、スッキリした。

 書いてたらスッキリしたから、寝よう。



 勇印(セレイブ)歴9646年6月14日 


 また嫌いなキュウリを出してやった。

 どうだどうだ。これでどうだ。

 反省しなさい。

 ごめんなさいって言えば、ちょっと許してあげてもいいわよ。

 

 って思ってたのに、あれは違うんだって言うばかり。

 こっちは何が違うんだって思うばかりよ。

 本当に、困っちゃうわ。

 誠心誠意謝れば、許してもいいのに!

 ふん! 

 


 勇印(セレイブ)歴9646年6月16日

 

 話してみれば良い子だった。

 義兄さんが好きだったんですが、幸せのために身を引きますと。

 あっさり諦めていたのは嘘じゃないと思う。

 彼女の目が嘘をついているように思えない。

 だって、あの目は本物よ。

 王宮にいる人間の目とは違う。純真で綺麗で真っ直ぐな目。

 あれが嘘だったら、人を信じられないわ。

 それにアルビオン様のお孫さんだったのね。

 お嬢とばかりセリオスが言っていたから、気付かなかったわ。

 彼女もイルベスタだけしか言わないから!

 クロスナーって言ってよ。

 そしたら察する事が出来たのに!

 なんで、名前だけなの!

 不器用よ。聖槍流の人は不器用なの!

 うちの人も。彼女も。

 あ、じゃあ。ケイちゃんもそうなるのかも!?

 どうしよう。ケイちゃんも不器用になっちゃうのかな。

 心配よ。お母さん!

 稽古止めようかな。


 

 勇印(セレイブ)歴9647年1月14日

 

 彼女が来て半年。

 一緒に買い物とか、一緒にケイちゃんの服とか編んでると思う事がある。

 普通の女の子に見える。

 今すぐにでも凄い騎士になれるんだろうけど、物静かな女の子に感じるの。

 うん。一緒に過ごしてると分かるわ。


 それで、タダで長居しても悪いのでと、彼女も仕事をするようになったわ。

 セリオスと一緒にアルビオン様の指令をやってるみたいで。

 魔獣調査の仕事の手伝いをしていて、交互に調査しているみたい。

 家を空けるのは危険だから、セリオスがいない時は、彼女が私たちを守ってくれて。

 彼女がいない時はセリオスが守ってくれる。

 みたいな感じで、私たちは守られていた。

 こっちは助かるけど、それで本当に彼女の為になるのかは疑問だわ。

 このまま一緒にいたいけど、誰か良い人と出会った方が・・・。

 こんな狭い所にいるような人でもないし。

 アルビオン様のお孫さんだし。

 どうしたらいいのかな。居たいって言ってくれる限りは、一緒に居たいけど。

 難しい所だわ。



 勇印(セレイブ)歴9648年2月1日


 ケイちゃんも強くなったし。そこら辺の大人よりも強いだろうから。

 お外で遊んでもいいよって言ったの。

 そしたら、すぐに友達を連れて来た。

 とんでもないくらいコミュニケーション能力がある子ね。

 

 いじめられていたって話だったけど。

 ハロルド君。

 とても素直過ぎていじめられていたのかもしれないわ。 

 優しすぎたのかも。

 やめて! って強く言えなかったのよ。たぶん。

 そう。文句も言えなかったのかもしれないわ。

 でもこの子なら、ずっと友達でいてくれるかも。

 ケイちゃんの正体がわかっても。

 たぶん一緒に居てくれるかもしれない。

 あとは、裏の者との繋がりが無ければいいな。


 それとお父様って今も生きてらっしゃるのかな。

 生きている限りは安全だろうけど、もし死んでいたら。

 いつ裏がやってくるのか。

 前にセリオスが言っていた。戦争の情報。

 あれも変だわ。お父様だったら、口外しないだろうし。

 体調でも悪いのかな。

 二度と会えないけど、親子の縁は切れたけど。

 心配はしてもいいよね。

 

 皆の国王じゃなく、私のお父さんとして・・・。

 


 勇印(セレイブ)歴9649年8月11日


 黒服の男は、エルメラスの関係者だった。

 ここを他の者に知られたくなければ、大人しくついて来い。

 一週間後に、森で。

 これを言い残して消えていった。

 私の子を見て、私の子だと気付いた。

 だから咄嗟に偽名を言った。

 あれは、脅しだった。

 セリオスに言えば、この家がどんな事になるのかが楽しみだとも言ってきた。

 絶対に脅しだ。


 エルメラス・・・。それってじゃあ、裏は王族が関わってる?

 伯父様?

 お姉様?

 お兄様?

 どれ?

 他にも私が生きてるって、知られたのかな。

 まずいわ。

 セリオスも、ケイオスも。

 二人とも危険。一緒に逃げる?

 いや、ここで私が捕まった方が。二人が生きられるのかも。 

 だって、殺しは出来ないはずよ。

 彼を殺すなんて難しいもん。元騎士団長よ。

 ケイオス一人だけなら、セリオスなら守り切ってくれるはず。

 

 でも血眼よね。王家の血筋を持つケイオスの事なんて・・・。

 名前って知られたのかな?

 偽名を言ったけど、大丈夫かな。

 家を出て行けって書置きすれば、二人は無事かしら。

 私だけが移動すれば追われない?

 う~ん。どうなんだろう。

 そういえば、お子さんですか。って聞いたんだ。

 二人のことは、深く知らない可能性もあるよね。

 なら今のうちに、私がここから遠く離れれば、家には興味が無くなるよね。


 ケイオスを守るためには、囮になった方がいいかも。

 育てるのはセリオスに任せていけば。ケイちゃんは生きていける!

 そうよ。

 生きてもらうには、私が囮になればいいんだ。


 私が二人を守る。

 だって愛してるもん。

 怖くない。怖くない。

 二人を守れるって思えば、この後。何が起こっても怖くない!

 頑張れる。大丈夫。

 二人の為なら、頑張れるんだ。


 

 

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