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中二ゆえに異世界へ  作者: 咲良喜玖


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第9話 重なる予兆

 「お友達が出来た? ケイちゃんに?」


 ハロ君と遊んだ日の夜。

 俺は、アンジュに彼の事を話した。こっちでも遊んでもいいか聞くためだ。


 「うん。だから、ここで遊んでもいい?」

 「・・・・」


 いいよとすぐに言うかと思ったが、彼女は黙った。


 「あれ? 駄目かな」

 「・・・う~ん。そうよね。ケイちゃんにも友達が必要よね・・・・私も覚悟を・・・」


 俺の友達で、アンジュが覚悟?

 どういうことだ?


 「駄目?」

 「うん。いいわ。遊びたい時に連れて来なさい!」

 「ありがと。母さん」

 「うんうん。お母さんは、ケイちゃんの友達も大切にするわ」

 

 なんか随分仰々しいな。

 こっちのお母さんも変人だったか。

 

 ◇


 出会ってからだと、三日後。

 ハロ君が家に来た。


 「お邪魔します」

 「は~い。どうぞぉ」


 家に入ったと同時に、アンジュがハロ君を出迎えた。

 彼の前に立って、軽くお辞儀した。


 「は。はい。ケイオス君のお母さん。僕、ハロルドって言います。こんにちは」

 「挨拶しっかりしてるわね。ハロルド君、偉いわ!」

 「あ、ありがとうございます」


 褒められてハロ君の顔が赤くなった。瞬間沸騰したみたいに一気に真っ赤だ。


 「ケイちゃん。後でおやつあげるからね」

 「うん。じゃあ。ハロ君こっちだよ」

 「は、はい」


 俺がハロ君を案内した。

 二階の部屋へ進む。


 「ここがケイオス君の部屋!」


 君の部屋よりも小さいけどね。


 「うん。まあ、狭いけど休んでよ」

 「ここに座るね」

 「いいよどこでも」


 どこに座ってもいいのに、許可をもらおうとする。

 健気な少年だ。


 「友達の家って初めてだ。楽しいね」

 

 まだ何もしてないけどね。そっか。初めてだったら嬉しいし、楽しいだろうな。

 俺も小学生の頃は楽しかったしな。

 中二病であっても、その頃はまだ普通の友達もいたし・・・。

 

 「本が・・・あ、これ僕の部屋にある本と同じ本だ」

 

 彼が見つけたのは魔法工学基礎・応用だ。

 やっぱり同じ本を読んでいるんだ。


 「ハロ君も読んでたんだ」

 「僕、将来。魔法駆動装置(マジカルギア)を作りたいと思ってて、今から勉強してたんだ」

 「・・・ん? 魔法駆動装置(マジカルギア)を?」

 「夢なんだよ。カッコいい道具を作りたい! これ・・恥ずかしい夢かな?」


 夢を語ったのに、質問してきた。

 どうした。ハロ君の中で、何があった。

 この短い期間で、この気持ちの揺れ動きは何だ?


 「どういうこと? 恥ずかしい夢ってなに?」

 「え。あの・・・学童の時に同じ話をしたら、馬鹿にされて」

 「ん? なんで? 今の夢を話したら、馬鹿にされたの?」

 「戦わないのかお前って。腰抜けがって。言われちゃって・・・」


 ああ。なるほどね。

 このくらいの歳の子なら、戦闘がメインになるのか。

 補助系。裏方のお仕事を馬鹿にしてるってわけだな。

 この子くらいの歳で、魔法駆動装置(マジカルギア)を作りたいってのは珍しいって事にもなるわな。


 「そっか。そういや、ハロ君っていくつだ?」

 「七才」

 「俺と同じ?」

 「うん」

 「そうだったんだ!」


 俺と彼はタメでした。

 それじゃあ、さっきの夢も珍しいかもしれないし。

 そしてやっぱりその歳だと理解されにくいかもしれないな。

 この年代の子は、ハッキリした強さが評価基準かもしれないね。


 「ハロ君。俺はさ。良いと思うよ。素敵な夢だ。ハロ君は、これからすげえ武器を作っちゃえばいいんじゃない?」

 「え?」

 「誰にも真似できないさ。オリジナルの武装を作ってさ。馬鹿にしてきた奴らを黙らせたらいいんだよ」

 「・・・・へ・・・ほ~・・・・あ・・・・」


 なぜか呆けた。

 

 「どうしたの?」


 俺は彼の顔の前で手を振った。

 反応がない。

 数秒経ってから、話し出した。 


 「ぼ。僕・・・夢を語って馬鹿にされないのは初めてだったんだ・・・そして、そんな解決法があったんだって・・・思っちゃって、ぼうっとしちゃった」


 解決法というよりも、考えの転換なんだけど。

 まあ、ハロ君がスッキリした顔つきになってるからいいか。


 「あのさ。ハロ君ってさ。特訓してる?」

 「・・特訓?」

 「こういう奴」


 魔力循環を見せた。

 

 「うわ。凄い綺麗だ。ケイオス君の魔力・・・」


 ハロ君の目が輝いた。


 「これ、やってみないかい?」

 「僕が?」

 「うん。これで魔力を鍛えた方がいいよ。魔法駆動装置(マジカルギア)を作るのにも、魔力が関与すると思うからさ。鍛えておいた方が、のちのち楽になると思う」


 魔力がないよりは、あった方が良い。

 それに子供のうちにしか、伸びない分野だから、早めに鍛えた方が良いはずだ。


 「・・・それはそうだと思うんだけど、僕って鍛えることが出来るのかな」

 「え? 鍛えられないの?」

 「おそらくそうだと思うんだ。僕、反応種(カラーコード)が銀なんだよ」

 「銀?」


 銀色・・・それは何の反応種だ?

 聞いたことがないな。


 「銀は、戦闘の色じゃなくて。肉体反応型の色で、手先が器用になる色。そのかわり、体の動きが鈍くなるんだよ」

 「え? そんな色があるのか」

 「金と銀。この二つは内政系の反応種(カラーコード)なんだ」

 「金も?」

 「金は接合色って言って、魔法駆動装置(マジカルギア)に革命を起こした色なんだ。滅多にいなくて、情報として残っている人は、過去に三人なんだ」

 「接合色。それなに?」

 「魔法陣展開における第二陣。そこには連結陣があるんだけど」


 あれ。この子すでに詳しいぞ。

 魔法陣を学習してるんだ!


 「第一陣。第三陣。威力と範囲を繋げる方法を見つけたんですよ。最初の金の人がですよ。凄くないですか!」


 嬉しそうに話し始めた。

 目がキラキラになっていく。


 「へえ。そうなんだ」


 俺は正直な話魔法駆動装置(マジカルギア)に興味がないから、そこら辺の話を知らなかった。

 なるほどな。魔法陣を組み込むときの話だね。


 「そしてもう一人は、魔法陣を重ねることに成功した人です」

 「重ねるってなに?」

 「はい。四大元素は? 知ってる?」

 「火水風土かな。これじゃない?」

 「はい。それで、応用もご存じかな?」

 「うん。雷とか氷の事だね。他にもあるけど主なのはこれだよね」

 「はい。そうです。本来、応用を放出する際は二つの魔法を出さないといけない。でも人間は、その魔法を頭で理解しているから、一つの魔法陣で完成させることが出来ます。人間は、魔法駆動装置(マジカルギア)とは違い、属性を一つに出来たんですね!」


 ハロ君がどんどん興奮状態になっていくぞ。

 次第に敬語が定着していく。

 これは興奮すると丁寧になっていく子だ。

 

 「じゃあ、魔法駆動装置(マジカルギア)では、魔法を一つしか出来ないってことなのか?」

 「はい。そうなんです。魔法駆動装置(マジカルギア)は、四大元素でしか魔法を発動出来ないんです」

 「・・・え。でもたしか扱えるよね。氷とかを出せるよね」

 「はい。第二世代で、その条件を突破したんです。例えばですね。氷を出す時は、風と水の魔法陣を重ねて扱うんですよ。魔法陣同士を合わせて発動させて、第二陣に当たる連結部分を二つ合わせる。これを金の人がやったんです。同量を合わせるっていう神業ですね」


 人間って、好きな事を話す時って早口なんだな。

 この子、最速を出してるね。


 「それが二人目か・・・じゃあ三人目は?」


 話したそうだから、話せるように促そう。

 質問をしたらもっと話してくれるはずだ。


 「はい。三人目は、自動調整に成功した人です」

 「自動?」

 「第二世代までだと、魔法の威力と規模について。こちら側が魔力を合わせて、魔法を放出していました。なので、魔法を失敗するという現象が起きていたんです」

 「そうか。魔力が足りなかったり、多かったりして、発動が上手く出来なかったのか」

 「そうです。それで事故が頻繁に起きていたんですね。それが千年前までの魔法駆動装置(マジカルギア)です」

 「意外と今に近いな」


 魔法駆動装置(マジカルギア)の歴史は、五千年前くらいだった気がする。

 今の状態が、千年前になるのか。

 五千年の歴史の内だと、現代に近いよな。


 「はい。それで自動調整機能と呼ばれる画期的な仕組みを金の人が作ったのです。現代魔法学の父。ガンバー・ジョルジュさんです。この人が確認された中で最後の金の人です」

 「へえ。その人が今を作ったのか」

 「はい」


 まあ、その人のせいで面白みのない世界になったとも言えるな。

 皆が皆。魔法が使えるのは良いけど、そのせいで、オリジナリティーが無くなったんだよな。

 古代魔法を扱おうと考える人も、そこで完全に消えたんだろうな。

 

 「彼のおかげで、爆発事故とかは無くなりましたね。安全に魔法を扱えるようになりました。それで家庭用の魔法が出来上がりましたね。冷蔵庫とか、カメラとか。街灯とか。万人が使えるようになりました」

 

 そうか。そういうことか。

 そっち方面にとっては、メリットになるのか。

 一長一短だな。やっぱり物事には悪い面があっても、良い面もあるもんなんだ。

 

 「そっか。それが金の人の功績ね」

 「はい。金の人は凄いんですよ」

 「滅多にいないんだよね?」

 「はい。確認されたのは三人だとの話ですよ」

 「へえ。三人だけか・・・あのさ透明ってのは何人?」

 「透明ですか」

 「うん。透明ってあるよね」

 「ありますね。たしか、魔法工学に書いてあったような」

 

 まだ興奮状態のハロ君は敬語が抜けてない。

 いつになったら対等に会話できるんだろう。

 戻って来てくれないかな。いつものハロ君にさ。

 いや、これがハロ君か。

 俺の中二病と一緒で、好きな事を話してる時の素の彼か!

 だったらこれでもいいや。人間、好きな事を話してるのが一番だな。


 「人数分かる?」

 「わかりませんね。でも透明っていう情報が残っているので・・・」

 「だよね。最低一人はいたって話だよね」

 「はい。だと思います」


 そうだよな。

 最低一人はいたもんだから、書物に残っているってことだもんね。


 「なんで急にそんな事聞いたんですか?」

 「うん。俺が透明なんだ」

 「透明!? ケイオス君が?」

 「うん。透明ってどういうのなんだろうね」


 俺もここがよく分からない。赤ちゃんの時に覚えた情報だし。


 「・・・えっと。たしか、万能の色?」


 そう聞いたよね。俺もさ。


 「うん。らしいよね」

 「でも透明も珍しい。基本色じゃない場合は、何か特殊な事が出来ますよ」

 「金と銀みたいに?」

 「はい。特殊は、金と銀。白、黒。この四つです。あ、でもこの中に透明も入るのかも」

 「黒・・・えっとなんだっけ」


 基本色じゃない黒。これは覚えてないな。

 俺の透明のインパクトが強すぎて、忘れてるな。


 「黒は操作系と言われているよ」


 だんだん興奮状態が解除されてきたようだ。

 話し方が落ち着いて、敬語が取れ始めた。


 「・・・操作?」

 「魔力を操作する事に長けてて、何かを起こせるんだ」

 「何か? ってなに?」

 「何かなんだよ。えっと黒も珍しくて、百万人いたら一人くらいの割合で存在しているんだ」

 

 その割合だと、金と透明よりかはいるのか。


 「それで、何かとは人それぞれになるので、詳しく言えないんだけど。主なものだと魔力を操作して物体操作することが出来たり。魔力の操作が上手いから、魔法の遠隔誘導も出来るんだ。それと相手の魔法を操って反転できたりするんだよ」

 「・・・へえ。凄いな」


 誘爆が出来るのか。黒、かなりいいな。

 使い勝手が良さそうな能力だ。

 俺の中二心にも深く刺さる技だな。

 攻撃来てもさ、全部勝手に誤爆させるんだろ。

 それ、カッコいいな。


 「他にも特殊な能力に目覚める人もいるらしくて、黒は能力的に最も魅力的だとも言われるんだ」


 そりゃそうだな。黒が一番良い感じだ・・・最高だな。

 俺の大好きな色が評価高いわけだ。


 「だけど」

 

 ん? だけど?


 「貴族の間では忌み嫌われてるらしいよ」

 「そ。そうなの?」

 「うん。過去に精神操作系の能力を持った人が、生まれた事があったみたいで。その人がみんなを操ったとの話があってね。貴族の大人たちはそれを怖がるって話があるんだ」

 「操る・・・怖いね。そんな人いつ出たの?」

 「二千年前」

 「古!?」

 「うん。でもその頃からの言い伝えで、家族の中に黒がいたら。当主が焦るって聞いた。その家が破滅に向かうって思うみたい。呪いを受けたみたいな感じだってさ」

 「なるほどね」


 要は貴族の家に黒が誕生したら、殺すに殺せず。かといって生かすにも怖いって事だな。

 いや。なんでだよ。 

 カッコイイだろ。黒!

 会ってみたいな。黒の人。それと金の人もいいな。

 銀の人には会えたし、透明が自分だから、他の色もコンプリートしたくなってくるな。

 

 「はい。ケイちゃん。おやつの時間だよ。降りてきて。お友達もだよ」

 「うん! 降りるよ」


 俺が返事をして、そして。


 「ハロ君。一緒に食べよ」

 「うん!」


 俺はハロ君と共にビスケットのおやつを食べた。


 ◇


 一週間後。

 最近出かけることが多かったイルベスタが帰ってきていた。

 話があるとして、リビングで会議となる。


 「義兄さん。アンジュ様」

 「はい」「どうしたの?」


 二人が返事をした後に、彼女の顔が神妙な顔つきになる。


 「きな臭いです」

 「「はい?」」

 

 俺も同じ事を言いたい。文脈がない!


 「里周辺に怪しい人影が多発しているとの事」

 「イヴィ、どういう事?」


 俺もアンジュと同じことを言いたい。説明が下手糞か。

 あの時は上手だったのに急に馬鹿みたいになってる。

 というか、そうか。焦ってるのか。

 気付かなかったけど、イルベスタの眉が若干下がってるぞ。


 「あ。すみません。戦の気配ではないかとの話です」

 「戦? お嬢。それって里が襲われるって話かな?」

 「はい。その影がですね。偵察のような動きをしているとの事で。私も実際に探りを入れたのですが、はい。そんな感じでした」

 「お嬢が調べてもそう思うと?」


 今のは信頼の言葉だ。

 イヴィ姉さんが動いて、そう思うなら確実だというセリオスの判断だ。


 「はい。何かこちらに仕掛けるつもりなのでしょう」


 随分と物騒な話だ。


 「お師匠様はなんと?」

 「移動するとの話です」

 「里をか・・・五十年ぶりに?」

 「はい。以前の場所に移動してみて、それでも人影が追いかけてくるのなら、確定だと」

 「・・・たしかに。それは戦う気があるな」


 今の位置でコソコソしてて、移動中も追いかけてくるなら、それは決まりだよな。

 イヴィ姉さんのお爺さんもやるな。


 「ええ。そうなるのなら、迎撃してやるとの事です」

 「勇ましいな。お師匠様の判断は・・・まだまだ現役だな」

 「はい。まだまだ強いですよ。祖父ですが化け物です」

 「そうだね。そうか。それでお嬢もそっちに?」

 「ええ。さすがに心配ですし。私もそちらに行こうかと」

 

 アンジュが会話に入る。


 「それじゃあ、イヴィも行くのね。寂しくなるわね」

 「はい」

 「でもいつでも遊びに来てね。あなたはケイちゃんのお姉さんだからね」

 「はい。もちろんです。遊びに来ますし、私の弟だと思っています」

 「うん。それならよかった」


 安心して送り出せるわ。

 アンジュはそういう意味で言っていた。


 「お嬢。僕も行った方がいいかい」

 「いえ。それはやめておいた方がいいでしょう。敵がどこの組織によるかで、危険度が変わりますよ。まあ、私たちの里に、義兄さんがいてくれれば百人力となりますが」


 そりゃAAだもんな。

 凄い戦力だよな。元騎士団長だし。


 「しかし、もし義兄さんだとわかられてしまえば、アンジュ様もケイオスも危険な目にあうかもしれない」

 「・・・・たしかに。そうだね」

 「はい。ですから、大丈夫です。私がお爺様のそばにいるので・・・でもお爺様なら、一人で解決すると思いますがね。むしろ里にお爺様がいて、敵が攻めてくるのでしょうか? そこがわかりませんね」


 AAAの力って凄いんだな。

 一人で魔獣と戦えるって話だもんな。

 人間と戦うのは楽勝だって事かな。

 たしかにさ、イヴィ姉さんが言ったように、そんな人がいる所を攻めるもんなのかな。

 怖くないのかな。敵方の人の方がさ?


 「まあ。そうだと思うけど。でもお嬢、頼みます。お師匠様の事」

 「はい。おまかせを」

 

 アンジュが席を立った。

 根性の別れじゃないけど、しばらく会えそうにないので、俺も挨拶をしたくなった。


 「イヴィ姉さん」

 「はい。なんでしょう」

 

 彼女が俺の頭を右手で撫でてくれた。


 「お元気で。また一緒に修行したいです」

 「ええ。稽古を忘れずにしてくださいね・・・って言わなくてもあなたは勝手にやってますもんね」

 

 俺の自主練が姉さんにもバレていた。


 「あなたは私の弟です。これも忘れないでください」


 彼女が俺の頭から右手を離した。

 彼女が動かす手が両手となり、俺の頬を触る。


 「どうか。健やかに育ってください。アンジュ様と義兄さんと、これからも無事に一緒に暮らせるように、私も別な場所で願っています」


 中腰になった彼女は自分の額を俺の額に合わせた。

 祈りのポーズらしい。彼女は目を瞑っていた。


 「どうか。ご無事で」

 「うん。姉さんも」

 「はい。ありがとう。では」


 最後に彼女は素敵な姿を見せてくれた。

 あの頼もしい背中は、伝説の祖父と同じなのでは?

 俺はそんなことを思いながら、彼女を見送った。

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