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ゴースト・ハンターズ  作者: (仮説)
二章 ゴースト・インベーダー
20/48

0.プロローグ2

 

 ◎


 ――それは二月、冬も真っ盛りな寒い寒い日のこと。雪でも降らんばかりの悪天候と、今季の最低気温を更新せんばかりの寒さを更新した冬の中の冬。

 対霊互助機関――通称ゴースト・ハンターズにて極秘の作戦が実行に移されていた。

 霊力を用いた犯罪、霊力の存在の流布、霊能力者への攻撃を行う異端者達の掃討作戦である。この不可視の世界に害なす霊能力者はゴースト・インベーダーと呼ばれていた。


 本来なら極少数であり、徒党を組むことはなかったゴースト・インベーダー。しかし、荒くれ者達を纏め上げ、組織を作った巧妙な何者かがいた。


 集団には集団を、と抗争の規模は徐々に大きくなり、遂にはゴースト・ハンターズ総勢での作戦と化した。

 総勢と言っても、戦意・実力のあるものだ。

 実力のある…………その中に含まれていたのがかの嫌われ者の霊能力者――桜坂京都である。


 その勇姿はまさに一騎当千。

 通常の青い霊力は勿論、本気を出した時の黒い霊力は上級ゴーストですら瞬殺するほどだ。霊力を用いた戦闘に限れば、彼は最強と言っても差し支えなかった。

 とは言え、若干一六歳の少年である。ついでに嫌われ者である。


 ゴースト・ハンターズの霊能力者達は桜坂が人相手に力を発揮できるのか気掛かりだった。桜坂だけではない、今まで普通に生活していた者が突然暴力に晒され、まともでいられるか、と言えばノーである。

 人に殴られる覚悟。

 人を殴る覚悟。

 もしくは、そのまま殺す覚悟を持っているのか。

 結果的には無駄な心配に終わる訳だが――桜坂を見守る余裕などなかった。戦闘は苛烈を極めた。


 ゴースト・インベーダー達は厄介かつ、強力だった。対人戦闘に特化した能力、異様な練度の〈霊纏〉――。

 作戦は完璧とは程遠かった。

 凄まじい被害が出たものの、とは言え、数に勝るものもない。数という暴力の下にゴースト・インベーダー達は続々と倒れていった。


 その中で見えてきたのは例外的な強さの少数の存在だった。ゴースト・ハンターズにも、ゴースト・インベーダーにもあらゆる障害を薙ぎ倒した鬼神の如き戦士がいた。


 ゴースト・エスクプローダーー――十条景光。


 ゴースト・マリオネッター――皇戯天廻。


 ゴースト・ストライカー――鎧金豆山。


 そして、ゴースト・オーバーライダー――桜坂京都。


 誰もが若々しい青少年である、ということを込みしなくともこの四人の戦果は異常なものだった。抗争に参加したほとんどの霊能力者は彼らにやられた、と言っても過言ではない。


 誇張なく、戦況は四つの駒により左右されていた。

 しかし、戦闘中に圧倒的破壊を齎す四人がぶつかることは遂になかった。その前に、ゴースト・ハンターズの援軍が到着し、勝利が確定したからだ。

 皇戯と鎧は引き時を誤らなかった。逃げ足は戦闘力以上にあっただろう。


「オーバーライダー――覚えてなさい」

「……………………」


 皇戯は、身を翻しながら桜坂に言った。

 それが決着を意味しているのか、どんな意味で言ったのかは彼はあいにく興味なかった。当時の桜坂は赤い地獄だけを求め、力と経験を積めれば何でも良い、と思っていた。

 桜坂は相変わらず何でもないような顔をして、寒そうにポケットに手を突っ込む。首をパーカーに埋ませ、目を閉じて呟くのだ。


「あぁ、眠い…………」


 朝早い招集だったためだ。

 桜坂京都にとって、皇戯天廻はどうでも良い存在だった。眠気にも負ける程度の存在である。ただ顔を合わせただけであり、敵としてもまともに取り合ってはなかった。

 故に、彼はこの因果に気づけない。

 皇戯天廻が彼に対して行う全てに理由を見い出せない。その態度を彼女が見たらどうなるかなど考えるまでもなく。



 ――さておき、この一件は後に、第一次侵伐抗争と呼ばれることとなる。それはつまり――。


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