第十二部 第三章 母ちゃんがサキュパス
「いやいや、ねーわ。なんだよ。その話」
俺が夢の中でそう呆れた。
「サキュパスってまだいるのか? 精霊とかが我々と近かった時代の話だろうに」
親父もドン引き。
「いや、本当なんだからしょうがないじゃん」
イエスが恥ずかしそうだ。
「あ、そういや、イエスのお父さん亡くなってたな」
「そうだよ。精気吸われ過ぎちゃって」
「マジかよ」
俺の言葉にイエスだけでなく親父まで乗って来た。
「それですぐに母親は新しい人と再婚したのか? 」
「死活問題だからな」
「息子としては嫌だろうな」
親父が自分を棚に置いてそう話す。
いやいや、あんたが言うかとは思うが……。
「まあ、と言うわけで内緒に」
「他人の夢に入ってサキュパスみたいなことは出来るのか? 」
「いや、夢と言うか明晰夢に入り込めるだけで他人の精を吸ったりは無理だけど」
「ほほう。母さんはお前の精を吸ったりは? 」
「いや、ハーフだけど、仲間には無理らしい」
「しかし、まさか、サキュパスが未だに残っていて、しかも、人間とのハーフとはな。しかも、姿はイエスキリストとか興味深いな」
親父がちょっと興奮している。
「ってか、イエスキリストを知ってると言う事は、親父も転生者か? 」
「ああ、そうだ」
親父が淡々と話す。
「いやいや、聞いて無いぞ」
「神聖帝国絡みはお前も知っての通り転生者ばかりだ」
「やっぱり、神聖帝国の枢機卿なのか? 」
「いや、内部の人間でないし、それはまだ言えないな。それよりも君の母親のサキュパスの仲間はいるのか? 」
「母ちゃんが最後の独りだとは言ってた」
「サキュパスと人間のハーフは結構いるのかね」
「いや、俺が初めてだと言ってた」
「ふむふむ。興味深いな。たまたま、そういう人間の血筋と母親が会ったと言う事かな? 」
「あのさぁ。今のエンシャントドラゴンとかの問題のが先なんじゃないの?」
「いや、私にとってもこの世界の不思議な部分と言うのは研究対象でな。こういう話は是非いろいろと調べてストックしておきたい」
「いや、貴方もご存じだと思うんですが、そろそろケルト王国の兵と地のエンシャントドラゴンの戦いが始まりますけど」
「えええええ? 」
俺がイエスの言葉に驚いた。
「むう、仕方が無いな。ではお前が起きたらあのモヒカンのハリネズミをコントロール出来るようにしておく。それでお前はあのハリネズミと地のエンシャントドラゴンを一度撃退しろ。勝つことはできないが、想定外の事が起これば相手のナビゲーターのハリネズミが撤退を指示するだろう」
親父がイエスと話すのを諦めて残念そうに呟いた。
「そんな無茶苦茶な事が出来るのか? 」
「安心しろ。すべての流れは出来ている。まあ、イエス君とは今度機会があれば話そう」
親父が俺の言葉にあっさりと返答した後イエスを見てしみじみと話す。
本当にイエスの話に未練タラタラでやんの。
絶対に冒険者じゃねーな、これは。
気質が違い過ぎる。
「では、お前もそろそろ目を覚ませ」
親父がそう言うと急に現実に戻ったらしくて俺の目が覚めた。




