第十一部 第六章 逃走
本当なら寝ないといけないのだろうが、リスクはあるが闇の中を俺の隠れ家に向かって移動することになった。
いきなりモンスターに襲われる危険性もあるし、反対意見はあったが、恐らくケルト王国から派兵がこのあたりにあるだろうから急いで移動するべきと言う意見が勝った。
ノーマとかそれで愚痴りまくってる。
「いやいや、ケルト王国に捕まったら、問答無用で処刑されるかもしれんだろうに」
イエスが流石に突っ込んだ。
正直、イエスの羊さん達に運んでもらってるだけなんだがね。
「まあ、夜は嫌だよな。仕方ないけど」
「主。いよいよなったら木の龍のエンシャントドラゴンを呼び寄せれば良いだけですから」
「いや、お前。さっきもケルト王国の兵士なんか一撃ですよとか言って笑ってたろ」
「いやいや、現実的にそうなんですし」
「そういうのやられたら俺達が完全に反逆者になるだろうが」
「いずれ、貴方が滅ぼす国ですよ」
「げぇぇぇ」
俺がモヒカンのハリネズミの言葉に絶句した。
やばいな。
このまま行くと本当にそういう事やらされそうだ。
「ガチでそうなの? 」
イエスが興味深そうにモヒカンのハリネズミに聞き直す。
「当たり前ですよ。まだ今起こってることは、これから起こることの初動の初動ですから」
モヒカンのハリネズミが胸を張った。
「これで初動の初動なんだ」
ジェシーがため息ついた。
「あり得るな。五体の地火風水木の五体のエンシャントドラゴンだけでは無いしな。これからは色々な事が起こる」
セシリアちゃんの師匠のヘンリー契約枢機卿がそう話す。
「いやいや、他に何が起きるんですか? 」
俺がたまらず聞いた。
「徹底的に滅ぼすために地獄の門を祖師が開けると言われてる」
「はああああああ? 」
「ああ、そういう描写はあったな。魔法少女ハッピネスで」
俺の絶叫をイエスが冷静に答えた。
「いやいや、どんな魔法少女なん? 」
「最後は狂ってるから」
「それを日曜日朝の子供のアニメでやったんかい」
「そうだよ。だから、伝説になった」
「碌な話じゃないなぁ」
「……ごめんね」
俺の愚痴にセシリアちゃんが辛そうに頭を下げた。
「何で? 」
俺が驚いて聞き返した。
「いや、私の為にこんなことに巻き込まれてしまって……」
セシリアちゃんが辛そうな顔で俯いた。
「いや、わざと親父が巻き込まれたっぽいから良いよ」
俺が親父の夢を思い出して笑った。
「ほほう。やっぱり、何か隠してるな? 」
イエスが羊に命じて俺の近くに来ると囁いた。
こいつは、本当に目ざとい。
「いやいや、そうじゃないけどさ」
俺が誤魔化したけど、イエスの目は笑ってなかった。




