1ー3 転校生の実力
生十会室に戻った十人は軽い話し合いをした結果、結のことは保留となった。
結が保留にしたことで、結と同じように生十会に誘われていた楓もまた、保留にしていた。
生十会は【F•G】のエリート集団だ。
そこに入ってしまえば、楓の実力はばれてしまうだろう。
楓の性格を考えれば、ここは即答で否なのだが、楓には思うことがあるのか、拒否ではなく、保留にしていたのだ。
桜は入会させようと言っていたが本人たちが乗り気でないための保留だ。
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入会を断ってから数日後、結と楓は入会していないにも関わらず毎日の様に会長から呼び出しをくらっていた。
「失礼しまーす」
もとから敬語を使っていなかったこともあるが、なにより年齢は同じなのですでに完全なタメ口で話していた。
「待ってたわ、さあ、座って」
「断る、失礼しました」
「『氷結』」
このところ毎度のことなのだか会長が当然のように会議に結を参加させようとしたため颯爽と立ち去ろうとしたところ銀髪の少女、柊六花に靴と床を凍らせて固定されてしまった。
「毎回言ってるがいくら生十会メンバーは庭内での法具の使用が許可されてると言ってもこれはいいのか六花?」
結は六花の行動に呆れつつ愚痴を言うと
「会長の意思です。上官の意思に従うのが副長の役目なのでこれは無罪です」
「結も諦めたらどうだ?毎回毎回六花と漫才をしていないで入会すればいいじゃねえか」
六花は桜と同じぐらいの身長で髪は銀髪のロング、結んだりはせずに背中に垂らしているセーラー服を着た基本的に無表情の冷静な同じくクールビューティーな陽菜と比べるとまだ表情の変化のある美しい少女だ。
最後の一人は土屋鏡身長は高めで一七五程度で剛木ほどではないが筋肉に覆われた男で性格はガサツだ。
服装は結と同じブレザーを着ている髪型は短髪、顔は悪くはないが暑苦しい性格をしているためモテない。
ちなみにだか、鏡はBランク、そして会長と六花の二人はなんとSランクという他の学年を見ても超エリートグループだ。
「誰が入るかよ、めんどくさい」
「まぁまぁみんな落ち着いてってば」
桜が皆を落ち着かせようと割り込みながら結の足を引っ張って床から剥がすのを手伝っていたが
「元凶はお前だ桜」
「あぅっ」
足を引っ張っていたためしゃがんでいた桜の頭にチョップを食らわせた結であった。
「ほらほら漫才してないで座りなさいっ」
「あたしは帰りたい」
会長がパンパンと手を鳴らすと皆、結に至っては渋々といった具合で座った。
しかし、結と一緒に来ていた楓は、その場でターンをすると、今入ってきた出入り口から退散しようとしていた。
「六花っ!」
「了解です。『氷結』」
会長の号令で、六花が結にやったように、楓の靴を地面と縫い付けようとすると、楓はその場で軽くジャンプをすると、六花の『氷結』からうまく逃げていた。
「今日もあたしの勝ちだね」
生十会室に来る度に、楓と六花は今回のような逃走劇を繰り広げている。
ちなみに今のところは楓の全勝であり、六花に捕まった姿を見たことがない。
(同じSランクでも、これだけ差があるのか)
結が内心そんなことを考えていると、手を振って帰ろうとしている楓に向かって、再び冷気が襲っていた。
「今日こそは返しませんっ!」
六花が使っている【幻操術】『氷結』は、対象物を凍らせるだけの単純な術なのだが。
単純な術であるが故に、術師の能力が極端に表れるのだ。
同じ『氷結』でも、そこらへんの【幻操師】の使う術と六花の使う術とでは、その冷気のレベルが違うのだ。
『氷結』は名前からわかるように、氷属性に属する【幻操術】だ。
「あらよっと」
楓は迫ってくる冷気を、軽く手を払うだけて押しのけると、「じゃっ」っと言って帰ろうとしていた。
いとも簡単に自分の【幻操術】を押し退けられて、悔しそうな表情を浮かべる六花は、横目で結に合図を送ると、結は動いていた。
「捕まえた」
「……え?」
帰ろうとしていた楓は、いとも簡単に結に捕まえられていた。
何故かはわからないが、楓は結に対しての警戒心がまるでない。
結は模擬戦の時みたいに高速移動をした訳ではない。
ただ普通に立ち上がり、ゆっくりと楓の後ろに回って、後ろから両手を押さえつけただけだ。
それなのに楓は一切の抵抗も無く捕まえられていた。
「結、お疲れ様です」
「……なんで結が六花の味方をしてるのさー」
結は楓の問いをスルーすると、口を膨らませて、剥れている楓を椅子に座らせながら、結は隣に座ると、会長にどうぞっと目で合図を送っていた。
「今回の議題は……六花よろしく」
「はぁー。今日は一年生のための歓迎会があるます。歓迎会は本館ではなく別館で行うのですが、トラブルが発生しないようにそれぞれ監視をしてもらいます。アクシデントがあった場合は無理矢理で良いので抑えてください」
会長に言われた六花は立ち上がるとホワイトボードに別館の地図を取り付け、それぞれどこに誰を配置するかを決めていた。
「それで最初は結と楓も監視に加えようと思っていたのですが、結と楓は役員ではありませんので、法具の使用が許可されません」
アクシデントとはつまり生徒同士の幻操術を使った喧嘩が大半を占めている。
法具の携帯は許可されているためこういったことがあるのだが、結は役員ではないため法具を使うと同罪になってしまう、生十会としては許してもいいのだが教師が許さないだろう。
「よって、喧嘩を目撃したらこっちに教える程度で済ませてくれ」
「というかなんで当日なんだ?」
通常、行事の担当決めなどは遅くても前日にやるものだと思っている結だか、その疑問に対して答えてくれる人はいなかった。
「……うるさい」
いや、答える必要もなかったか。顔を赤らめた会長がそっぽを向いてつぶやいていた。
(完璧な人間だと言われているらしいが実際は何処か抜けてるまだまだあおい子供だな)
「みんな配置はわかったわね?それじゃ解散っ!」
誤魔化すように大声を出す会長の声は良く響いていた。
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歓迎会は始業式でも使われた第四講堂で行われることになっているらしい。
会長が朝から毎日呼び出すせいで、ほとんどクラスの皆とは交流を深めることが出来ず、楓や桜を始め生十会のメンバーとしかほとんど話せていない結はクラスでやることになったらしい幻操術を利用した踊りについて全く知らなかったため不参加となっていた。
(なんで楓はちゃっかり参加してるんだ?)
結同様、毎日生十会に呼ばれていたはずなのだが、楓は今日を除いてずっと上手く逃げていたため、クラスメイトとの交流はちゃんと出来ていたのだ。
楓は会長に呼ばれているのに勝手に帰ってもいいものかと思われるが、それは問題がなかったりする。
会長に呼ばれれば、集まるのは絶対だ。
会長には生徒を呼び出す権限が与えられているからだ。
これを無視すれば、生活指導部に直行することになるのだが、楓はこの制度の穴を使っていたのだ。
結も毎回しようとしていたが、来るのは絶対だが、帰るのはいつでもいいのだ。
常識的に考えて、相手の話が終わるまで参加するのが普通だが、結と楓はそんな常識なんて知るかと言わんばかりに、生十会室の扉を開けて、一歩中に入ると、即座に帰ろうとしているのだ。
結は六花に捕まってしまうため、結局最後まで参加しているのだが、楓は毎回上手く逃げることが出来ていた。
今回結が六花に協力したのは、いつも自分だけ逃げて、助けてくれない楓に対しての軽い嫌がらせだ。
会長たち生十会の皆も、見回り及び監視があるためこの行事には参加しないが、暇ではないためぼっちになってしまった結は始業式の際にも利用した二階で一人幻操術を使った様々な出し物を見ていた。
(ん?これは)
結は何かの違和感を感じると二階から階段を使って下に降りると、違和感の発生源に向かって走り出した。
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結が走り出してから数分後、ガーデン全体に警報が鳴り始めた。
それは物理世界の裏に存在する幻理世界、世界の裏、歪みの中から生まれし、心を喰らう者イーターの出現を合図するものだった。
幻操師が生まれて間もない頃、世界に歪みが生まれていった、その歪みは幻操師だけが見ることができ、その歪みに触れると術師は強制的に歪みの作り出した幻域に引きずり込まれてしまう。
引きずり込まれた幻域の中にはイーターと呼ばれる化け物がおりその化け物は命あるもの、特に人間の心を好物にしていて襲いかかってくる。
犠牲者は心がなくなってしまい感情を表さない人形のようになってしまう。
イーターは歪みから生まれているためなのか、物理的攻撃が全て通用しない、通じるのは幻操術だけであり、イーターが多くの心を摂取するたびに幻域はその規模が広がっていき、最終的には世界中の心を壊してしまうことになる。
そうならないためにイーターに対して有効手段を持つ幻操師がこれを滅することでそうならないようにしている。
幻操師は元々は化学兵器に代わるものを作り出すために育てられていたが、今では専ら幻操師=イーターを滅する者というのが現状だ。
結が感じていたのはイーターの気配であり、既に結は生十会の誰かが来るまで足止めしようとするが
「ぐっ!」
なにも出来ずに吹き飛ばされてしまった。
イーターは既存の生き物の姿をしていることが多く、現に今、目の前にいるのは二メートルにも及ぶ巨大な蟹の形をしていて距離を置いて様子を見ていた結に凄まじいスピードで近寄るとハサミ状になっている手で結を軽く殴り飛ばしていた。
イーターの強さは幻操師の実力と同様個人差があり強いものはSランクでも倒せないものがいるらしい。
今回出現したのは中型イーターと分類されておりAランクと同等の力を持つ強力な個体だった。
「っ大丈夫ですかっ!!助太刀しますっ!!『風弾』」
そのイーターがそれだけ強力なこともわからずに一人の女子生徒が逃げずに結の元に駆け寄ると、イーター目掛けて風の弾丸を撃ち込んでいた。
「なっ……」
まだまだ未熟な女子生徒の幻操術が通用する訳がなく、風の弾丸はイーターの硬い甲羅によって弾かれてしまい弾かれると思っていなかったのか女子生徒は驚きの余りにその場で固まってしまっていた。
「ひっ……」
自分に攻撃してきた女子生徒に対して敵意が湧いたのか、蟹型イーターは横歩きでいっきに女子生徒に近付くと、怯えて動けなくなってしまっている女子生徒に向かってその大きなハサミを振り下ろした。
「『ジャンクション=カナ』」
ハサミが女子生徒に当たる瞬間、小さな呟き声が聞こえたと思ったら、女子生徒はその姿を消してしまっていた。
急に消えてしまった女子生徒を探そうと辺りを見渡す蟹型イーターだったが、気配を感じ、後ろを振り向くと、そこには二丁の拳銃を携えたまま、女子生徒をお姫様だっこしている結の姿があった。
「あ、ありがとうございますっ!」
「……生十会を呼んで来て」
「わ、わかりましたっ!」
女子生徒をその場に降ろすと、女子生徒に生十会のメンバーを呼ぶように声を掛けた結の目には、燃えるような殺意が輝いていた。
バババンッ
またもや火速を使い、蟹型イーターの背後に回った結はさきほどの女子生徒との攻防を見ていて、並の威力ではその頑丈な甲羅の防御力を貫通できないと思い剛木にやった時と同じく一点に三連射するがその全てが弾かれてしまっていた。
「効かない?なら……」
結は火速で距離を取ると、空中で回転弾倉を回し、弾を変えていた。
弾を変えた結は、今度は三発ではなく数え切れないほどの多量の弾を撃っていた。
その弾は弾丸同士でぶつかり合い反射し蟹型イーターの周辺で無数の火花を散らせていた。
結が撃ったのは先程使用した衝撃弾ではなく跳躍する跳躍弾というものだった。
(跳躍弾で敵を捉えそしてーー)
結はまたもや回転弾倉を回し、弾を変えると二丁拳銃から一発ずつ計二発の弾を撃った。
弾は撃たれた瞬間無数の玉を放出し無数の玉が蟹型イーターの周りで弾き合っている弾に向かって向かっていった。
(散烈弾で爆発させる)
弾同士がぶつかり合った瞬間、連続した爆発が起こり爆発によって生まれた煙が蟹型イーターを覆い隠してしまった。
結が撃った跳躍弾の中には爆発物が仕込まれており散烈弾の衝撃を使いそれを連続で爆発させたのであった。
「……嘘でしょ?」
煙の中からは全くの無傷で出てきた蟹型イーターの姿があった。
「音無君っ!!」
あまりの衝撃で動けずにいた結のところに先程助けた女子生徒と一緒に日向兄妹がやってきた。
「後は真冬達に任せてくださいですっ!」
『氷牢』
真冬は安心させるかのように、自信ありげに年齢を考えれば成長し始めている胸を叩くと、ブレスレット型法具を使い氷の牢屋を作り出し蟹型イーターを閉じ込めていた。
『氷牢』は『氷結』から発展した氷属性の【幻操術】だ。
『氷結』は使用者が凍らせる範囲も形も全て手動でやるのに対して、今真冬の発動した『氷牢』は、三次元的に範囲だけを指定するだけで発動する。
細かい設定が出来ないため、汎用性はないが、牢獄としての役割は十分果たすため、『牢』シリーズは良く使われる【幻操術】だ。
「はっ!!」
『嵐弾』
真冬が閉じ込めると、すかさず春樹が真冬とお揃いのブレスレット型法具を使い、先程女子生徒が使った風弾の上位系の術、嵐弾を発動した。
「まだまだっ!」
春樹が叫ぶと嵐弾をさらに複数作り出し同時に撃ち込んだ。
二人の連携は兄妹ということもあってか、完成度の高いものであり、蟹型イーターは為す術もなく全ての弾丸をそのままモロに喰らってしまっていた。
嵐弾によって氷牢が砕け散り、白い水蒸気がまたもや蟹型イーターを覆い隠してしまうが、二人は今の連携に然程自信があるのか結の治療のために無防備に背を向けてしまった。
シュッ
小さな音がした瞬間、背を向けていた春樹がなにかに吹き飛ばされてしまっていた。
「お兄ちゃんっ!!」
「ま、真冬っ!」
兄が吹き飛ばされて動揺してしまっい完全に意識を兄に向けてしまっていた真冬の前にはハサミを振りかぶった状態の無傷の蟹型イーターがいた。
春樹は妹の名前を叫ぶものの虚しく蟹型イーターの腕は真冬に向かって振り下ろされてしまった。
「真冬っ!!!!」
土煙が巻き起こり、真冬の姿を覆い隠してしまうが真冬がやられてしまったと思った春樹は、一刻も早く、妹を助け出すために、痛む身体に鞭を打って立ち上がり嵐弾を蟹型イーターに向かって撃とうとするが、突如、後ろから大きな衝撃音が鳴り響く。
思わず振り返ってしまった春樹の目の前には巨大なハサミが、蟹型イーターのハサミと同じ形状のハサミが深々と地面に刺さっていた。
「え?」
思わず呆然としてしまう春樹の耳に今度は余りにも耳障りな悲鳴が届く、またもや音のする方に振り返るとそこには丁度土煙りが晴れ、振り下ろしたはずの腕が根元から完全に切断されてしまっていた蟹型イーターの姿が映っていた。
『ジャンクション=ーー』
土煙が晴れたそこに真冬の姿はなく、そこより少し離れた場所に純白の二本の刀を携えまたもや真冬をお姫様だっこする結の姿があった。
『ーールナ』
真冬を助け出した結からは、今までとはまた違う威圧感と殺気を巻き散らかしながら冷たい、余りにも冷たい目で蟹型イーターを見つめていた。
「ねぇ、僕の仲間になにしてるの?この雑草が」
真冬を降ろした結は、冷たく言い放つと二刀を構え蟹型イーターの懐へと一瞬で入り込んだ。
蟹型イーターは即座にもう一つのハサミで、間合いに入った結を押し潰そうと振り下ろすが、その腕もまた虚しく宙を舞っていった。
結は【幻操師】であれば、属性さえ合っていれば法具に入力することによって使えるようになる基本術『弾』シリーズや『牢』シリーズが使えない。
いや、使えるには使えるのだが、到底実戦レベルじゃないのだ。
しかし、結には代わりの力があった。
それが、『ジャンクション』だ。
『ジャンクション』それは己に幻覚を掛けることによって、認識出来ているか、つまり覚えているか関係無しに、記憶の中にいる人間を象った人格を作り出し、作り出した偽りの人格『幻人格』と己自身をジャンクション、接続することによって、模している人物の戦闘能力を己にコピーする、結オリジナルの幻操術だ。
現在結は認識出来ていない記憶から四人の人物を『幻人格』として『記憶』している。
結はとある事件を境に、記憶の一部が欠落してしまっている。
結はその四人のことを覚えていない。恐らく欠落した記憶の中にいた人物なのだろう。
結にとって、その四人を探すことは、無くした記憶を蘇らせる手掛かりになるはずだ。
四人を探すこと、それが結の目的の一つだ。
結は右太刀を振り上げ、左太刀を居合切りのように腰の右側で構えると、二刀を同時に振るい、蟹型イーターを十字に斬り割いた。
十字に斬り割かれ、蟹型イーターが消滅を始めた頃、楓と生十会メンバーが到着していた。
「こりゃ……」
思わず声を出してしまった鏡の目の前にはボロボロになっている春樹と、その場に腰を抜かしてしまっている真冬、同じく腰を抜かしている女子生徒、消えつつあるAランクと同等の戦闘能力をもつ中型種、蟹型イーターと、それにトドメを刺したと思われる、純白の二刀を持ちいつもと違い恐怖を覚えるほどの殺気を放つ結の姿があった。
結はこちらの気配に気が付いたのか、こちらを横目で窺うと、今の結の姿に驚き、ボーと見ていた皆と目が合った。
「っ!!」
その余りにも冷たく鋭い目を見た皆は、三人を除いて死さえも覚悟してしまうほどだった。
「ん?みんな遅かったね」
楓と会長達、生十会メンバーだと気が付いた途端、さっきとは一変、あれほど溢れ出ていた殺気は綺麗に消え、優しげに微笑む結の姿があった。
「悪いけど僕限界」
「え?」
結は力無くそう呟くと
「後よろしく」
最後にそう残しその場に崩れ落ちたが
「お疲れ様です音無さん」
崩れ落ちるのをいち早く察知した六花は、結のことを優しく抱き留めると、そのまま結と一緒にその場に座り込み、自分の膝で枕を作り、その場に寝かせてあげていた。
優しげに声を掛けながら結の頭を撫でる姿はまるで女神様のようだった。
「むー」
なんとなく良い雰囲気になっている二人を見て、楓は不満そうに不貞腐れていた。
六花は結をしばらくそのまま寝かせてあげると、途中から心配そうに駆け寄って来た楓に結のことを任せると、軽い放心状態になっている女子生徒へと駆け寄っていった。
他のメンバーもそれぞれ負傷している春樹と腰を抜かして動けなくなっている真冬へと駆け寄っていった。




