真ビリー無双「仲良うしようや親戚やろ?」
さて、この様なビリーの一連の暴走を連合国側、特に英仏が掣肘しないのかについて説明をいれよう。
英国の場合
ドイツのお陰でその陰り無き支配に罅が入り始めた大英帝国。彼らは口では非難しているが、損失を補填するならば良いと言う、実質的に好意的中立の立場だ。ビリーによるチート外交が効いている証拠である。
暴れん坊(元)皇帝の腰は異様なほど軽く、武装を下したゴータ G.IVでもって
「親戚に会いに来ただけや。なんか文句ある?」
英本土に度々ゴータの襲撃を掛け、独・英政府の頭越しに王室外交かましている。英政府はこの勢いに徐々に取り込まれ、どうにも死にそうにない(二度着陸ミスで機体がオシャカになったが生きてた)こいつが生きている内はドイツの対英復仇戦は無いと思う様になってしまっていた。頼むから護衛も付けずにロンドン市内を歩いてくれるな。お前に今死なれると困るんだよ。と言う所まで態度が軟化したのだから凄いモノである。
英国民にしても同じ。史上初めての戦略爆撃を受け、出来るなら絞め殺したいと考えていたロンドンっ子すら、実際に何度襲撃(素手・刃物・銃・馬等多岐に渡る)にあってもしつこくパブに飲みに来る(そして全部平気で生き残る)ビリーの胆力と悪運には呆れ半分、感心半分で
「「ビリー!また来たのか!帰れ!」」
「ワイは市民や!何処に行くんも自由やろ!まあ固い話はナシにしようや?一杯どうですぅ?」
「「お前持ちだからな!」」
とまで言い合い、飲む中にまでなっている。近ごろはロンドン市内のパブに不定期に出没するビリーを見つけると只酒にありつけるので、ビリー訪英のニュースは無いか新聞を目を皿にして見る飲んだくれさえ現れるざまだ。
ビリーには不思議な魅力があった。殺す心算で近づいてもあれよあれよと言う間に一緒に酒飲んで激論を交わし、何時の間にやら人生相談を始め
「ドイツ人じゃなかったら娘を嫁にやるのに」
「ワイの歳考えろや!娘さん可哀そうやろ!第一ワイは既婚者や!」
と言う中にまでなる魅力が。勿論チートの力だ。だがこれが恐ろしい。何時の間にやら彼を好きになってしまう。コイツだったら信用して良いのでは?元とは言え皇帝だし…こいつなら信用ならないドイツ人を如何にか出来るでは?と思ってしまうのだ。
故にビリーに篭絡された新人保守党議員…モズ何とか卿…と恐ろしく勢いの良い彼の主導で実現した参考人招致の場で
「先の大戦に於いて王室の価値が下がったとはワイは考えてへん。むしろ上がったと考えとる。大戦の原因はなんや?政府も国民も頭に血が上がって止めるもん居なかったからやろ?家のアホンダ共もワイの言う事なんてちーーーーっとも聞かんで、しまいにはワイに死んでくれ言うて泣きついてくる始末や。
その尻拭ったんだれや?ワイや!ツケ払うたん誰や!兵士や!つまり国民やないか!文民!軍部!口開けば刷新だの改革だの耳障りの良い言葉ばかり並べたてるクソインテリ!それが冷静でなくなった時、何とか出来るんは国民と心を共にするワイら王だけや!
誰や!今、退位したやろって野次った奴!好きで退位した訳やないわい!それしか責任取り様が無かったからや!それとも何か?おまはんらはワイをギロチンに掛ける決断出来たか?その責任を負う度胸無かったやろうが!
そう責任や、最後に責任を取れる王が居たから大戦は終わったんや!証拠は目の前におるやないかい!
ワイがパリに突入した時、ああも長々と責任の押し付け合いして、停戦の決断するん長引いたのは、足の引っ張り合いしか出来んフランス共和政府の奴らが、イモ引くんを嫌がったからに他ならならん!もし、ボナパルトなりブルボン家なりがパリに居れば、ワイが殴り込んだ時、決闘して話は付いとる!
ふざけとらん!ワイはワイと同格なら何時でも決闘ぐらい受けたるわ!それでナシつくならええやないか?勝負は決まっとるのにダラダラと揉めて国民に迷惑掛けるよりは!
その点貴国はどうか?ワイと腹を割って話せる王と、それに話付けられる貴族がおったから拗れんかった!名誉は守るとワイが言った時、大人しゅうパリ市民と退去出来たんは貴国だけや!徹底抗戦するんか降伏するんか上がアタフタして現場が可哀そうな事になった奴らとは違う!
そして今でも立っとる!どれ程国が疲弊しようと王と国民がおれば国は持つ!どっちが欠けてもあかん!今のフランス見いフランス!何ドイツ?それはこれからワイが公正な選挙の元どうにかするので見といて下さい。
ゴホン!ともかーく、ワイが言いたい事は一つや!王なき場所に秩序なし!象徴と言ってもええ!国家を国家たらしめるナラティブが無ければ国は持たん!現状一番コスパが良いのが王なんや!革命やなんやと言いくさる腐れアカ共!騙されたとも知らずに踊り狂うインテリ!物語もそれに付随する歯止めも無い集団がどれだけ人をひき潰すか覚えとけよっちゅうこっちゃ。
そしてこの場にワイを呼んだ酔狂な議員諸君にも言わせてもらうんやが、ワイの親戚を大事にせい!国民の次くらいにはな!最後に責任を負うのは王なんや!そうであればドイツは貴国の友や!ドイツがうんと言わなくとも、ワイは貴国と共に肩を並べたる!パリ…は不味いか…あ~…ワシントンでもモスクワでも付きおうたる!」
等と言う一説をぶちかましてくれやがったビリーに英王室一同、入れたて紅茶を頭からかけてやりたい気分ではあったがコイツは敵に回らんなと言う確信を持った。コイツは19世紀的価値観で未だ動いているのだ。コイツが権力の座に就くならば、ドイツは少なくとも次の戦争では味方に出来る可能性が高いという安心を得たのだ。ビリーは馬鹿だが敵ではない。そう言う雰囲気が英国内で情勢されている。
因みに史実未来に於いてドイツ最大の敵になる、サー・ウィンストン・レナード・スペンサー・チャーチルは
「おー肉屋さんやん!元気しとる?魔術的煌めきを体現しちゃってごめんね~。サインしたろか?」
と煽られたので危うく首を絞める所であったが、この物語の世界から出て来たアホンダラがアカを言う事を聞かない自国参謀本部の次に嫌いと言う事なので意見の一致はしている。自伝ではボロクソには書いた。
曰く、酔っ払いのペテン師、自分をアレキサンダー大王だと思っている誇大妄想狂、指摘してやったら
「いんや、フランス皇帝とスルタンと戦略破壊覇王と大ハーンも兼ねてるで?カエサルもちょっと入っとる。ワイは禿とらんけど」
と人の頭見て返してきた救いようのないバカ。人の酒飲むな!何勝手に葉巻吸ってんだ返せ!




