真ビリー無双「ワイらはズッ友だよ(笑)」
フランスの場合
フランスにとってビリーとは愛憎1対9の割合の男である。ここで不思議なのは、なぜ愛が1割と言う驚異的数字を叩き出しているのかと言う事だ。祖父と同じくパリに雪崩れ込んだ男の何処に愛するとか憧れる部分が有るのだろうか?
そこを説明するのが、コルシカ産大迷惑が体現し、近代フランス人に宿ってしまった思想であるボナパルティズムの存在だ。フランス人民は良くも悪くもビリーの示した(本質はともかくとして)英雄性と父性に魅せられてしまっていた。
臣下から死ねと言われた男が「宜しい本懐である」と応えて見せ、秀才と凡人が支配する時代に、とっくの昔に散ったアダ花を大輪と咲かせるその姿は、天地入れざる宿敵のドイツ人であったとしても、パリを滅茶苦茶にされたとしても眩し過ぎた(特にパリに反感を抱く地方には)
「「破滅的な大戦争の中、救国の英雄がなぜ攻め込んで来た側に現れる?なにより共和政府はこれをなぜ止められなかったのだ?彼らは英雄主義を恐れる余り、本当の英雄の登場をスポイルして来たのでは?
我々は回帰すべき時に来たのではないか、でなければギロチンに処す事も、島流しにする事も出来なかったアイツが戻って来るのでは?我々は三度パリに鉄十字が翻る所を目撃しなければいけないのか?」」
その様な意見が確実に芽生えつつあった。神の視座に立てば、んなこた~ないのは分かる。ビリーはチートしていて、あんなのはこれより先に生まれる事はないのは分かる。それに彼は高齢だ。少し待てば死ぬかもしれんだろうがと言える。
であるが、つい昨日、英雄の輝かしき蹂躙劇を強制試聴させられてしまって冷静でいろと言うのは酷である。アルコレ橋で突撃の先頭に立って走るコルシカ直輸入藁っ鼻を見て、ドンレミ村の田舎娘の鼓舞を受けて、脳ミソが電子レンジの中のダイナマイトにならないのは少数派だ。
突進公とネイ元帥が栄光に向かって突撃すると言った時、付いて行かない人だけ残りなさい。ほれラッパが鳴った!山だし蛮族とウェリントンを踏みつぶせ!ビリーなら出来たぞ!しかも相手はハルバードでもマスケットでもない機関銃だ!
話が逸れたがが、かくの如き事情で、フランス市民の潜在意識にとぐろを巻いたビリーへの恐れと一種の憧れは、惨憺たる大戦の結末と不十分な賠償金(史実五分の一、現在貨幣価値で20兆円くらい)に怒りを滾らせる、コンコルド広場でビリー首ちょんぱかエッフェル塔投擲事件を起こしたい人々と科学反応を発生。
フランス政治は共和派、ボナパルティスト、王党派、社会主義諸派(ラッサ―ル派詰まり国家社会主義者含む 注 国民社会主義ではない)が殴り合う混迷の時代へと突入した。
何時ものだろ?と言っては言けない。これらの主張の中に
「強力な大統領権限!フランスを一つに!」
「皇帝(王)による国民の仲裁!彼が正しかった!」
「全ての権力をソビエトに!前衛党の指導による労働者の統合!」
「国民、文化、経済の国家による統制!その象徴としての王!我々は妥協できる!」
と言う危険な物が(アカは主張を変えていないが)含まれているのだ。
この元凶であるビリーは、自分への(ドイツではない)英国の心象が良くなった事を背景にこれらを煽る煽る。どうせどうやった所でフランスはフランスで、ドイツより憎い超大国に常に睨まれていない限り融和など絶対に不可能なのだ。精々自分が英国に呆れられるくらい混乱してて欲しい。出来るなら暴走して史実の役回りを変わって欲しいくらいだ。そん時は独英米でボコってエルザス・ロートリンゲン以外は英米に分割統治して貰う。なのでこれ位煽る。
フランス人記者に答えて
「そもやね、フランス革命が失敗な訳ですやん?気には食わんがオーストリアと組んどれば家とこは手が出せんかったはずや。諦めて大人しゅう融和政策とった可能性もあるで。それをやね、幾らムカついたかしらんがアントネット殺してワヤにしたんは君らや。
あ~分かる分かる。事情があったんやろ?そこはもうこれ以上言わんは、狂犬第一共和制に付いてもなぁ、同じキリスト教徒,船に詰め込んで底抜いたのも、大砲の的にしたのもや。大変やなぁ~神さんも拝めん政体こさえると。まっ、干渉戦争したワイらが言える口でもないけどな。そやけど…ナポちゃんで調子こいてケツに火が付いたんはどう言い訳すんのや?
次の機会だった第二王政蹴飛ばしたんも君らやないの市民の皆さん?ええやん、使うても、ワイだって今は市民やで?なんか文句あるのボクゥ?市民はフランス専門用語でメルシー?なんやねん、そんな睨まんでもええやん。
ワイなぁナポちゃんに思うとこないで?所詮ヨーロッパ情勢複雑怪奇なんや。でもなぁ、家とこボコった後ナポちゃん止めんと熱狂してたんは君らやん?ちょ~っと主君と一体になり過ぎやなかった?王の行き過ぎに諫言するのが臣下の務めや。ワイは君主独裁を称揚しとらんで?そこんとこ誤解してもらっては困るなぁ。
そうそう、ナポちゃん言うたら第二帝政やん!確かにエムスは家のストレス性爆食いジジイが悪い。それは認めたる。幾ら君らの皇帝がノコノコ出て来た事実があってもなっ!なんで君らはワイに感謝しないかなぁ~、あの爺さん叩き出したんワイヤで?
アカ共もそうや。社会主義者鎮圧法止めたんはワイやし、大戦中、穏健なら議会参加せい、後押ししたるって言うたんやが、今あの有様や、暴力で政権とれなんてワイ言った覚えないんやがなぁ?アカには感謝~とか恩って言葉が無いなぁ。君どう思う?
どこまで話たんやっけ?ああそう第二帝政や。確かに家の爺様と卵暴食公は君らをケチョンケチョンにしました。でもや~っぱりナポちゃん放りだしたんは君らや。ファンなら最後までファンでおらなあかんで!幾ら気に食わんでも暴政働いた訳でもないんやろ?君らフランス人は王や政府を消耗品と勘違いしとらん?そこいら辺がワイに負けた原因やで?
負けておりません?フランスは負けておりません?はて?ワイなぁ、兵士たちと確かパリに行った記憶があるんやけど勘違いやったっけ!なに震えとん?エリゼ宮に土足で入ったんは不味かった?ごめんねぇ~ワイ強すぎて~(ゲラゲラゲラ)
ー灰皿掴んで殴り掛かる記者と笑いながら躱すビリー。しばし追いかけっこー
息落ち着いた?じゃあ続きや、真面目に話そか。君らはワイに負けたんやないで?自分らに負けたんや。民主主義の原則として自分らで選んだ怯懦な共和政府にな。エリゼ宮にワイが踏み込んだ時、大統領居らんかった。あそこでケツ捲らんと男見せたらな。民主主義の良ぇとこは変えが効く所なんやから、根性いれて自分事ワイらを吹っ飛ばせば良かったんや。
でもそれが出来んかった。ワイが大統領室で葉巻吹かしている間、舐めた事しとるワイをぶち殺せる決断が出来る王なり皇帝なりが居らんかったからや。酷な事言うで、時に誇りや名誉ちゅうのは命より大事や。それを守らんと後でもっと人が死ぬ。だから例え鬼畜と呼ばれ様と責任を取れる人間が…王がいるんや。下々には身が余るからなぁ、大統領だろうとなんだろうと…人の上に立っちゅうのはそう言う事や。
君らがパリを焦土にしてもワイを殺しておれば恥は雪げた筈で、敵の皇帝に首都を好き放題された上、腰が引けて停戦飲みました~なんて100年はネタにされる事にはならんかったのになぁ…まっ!次は気張ることやね!まあ…次はないかぁ、時代は独仏融和やワイらは大戦の悲劇を繰り返してはアカン!惨禍を乗り越え手を取り合わなかればあかんからなぁぶへへへへっ」
これである。フランス人としては生かしては置けない事を言っているのだが、これで軍事行動なり報復に領土を占領するなりすれば、国家が個人の煽りに負けて行動してしまった。ビリーと言う今は一市民でしかない人間をドイツを代表する者だとフランスが認めてしまったと言う事になるので、非常に悪手であるから質が悪い。
そしてドイツ国民からすると、打ちひしがれる自分達に代わって陛下が留飲を下げてくれるとなるので、ビリー人気は上がると言う寸法である。ある意味ご意見番ワイドショーのコメンテーターの様な扱いをビリーはドイツ国内から受けていた。
無責任なご意見番と違うのは、実際にドイツ国民を食わせられると言う事だ。(チートにより)どこからか金を引き出してきたビリーは超インフレに苦しむ人々に職とパンを確かに(政府を差し置いて)齎している。インフレに乗り売れる物は全て売りに売るドイツ。その先は米国そして東洋であった。
この人気を背景にビリーは本格的にドイツ国内で跳梁を始める。目標は勿論アイツ…
「であるからして!ドイツがドイツである様に…」
「ドイツドイツって五月蠅いんや!具体的に話さんかい!お前は壊れたレコ―ドなんか!」




